AoE4 Road to Wololoを敗退した上位プレイヤー視点で振り返る
Road to Wololoとは本戦賞金総額30万ドルのオフライン大会Redbull Wololo:Legacyの予選であり、オープンな予選を勝ち抜いた16人の通過者が本戦を戦うことになる。
一般的な賞金配分からすると本戦で最下位だったとしても7500ドルから1万ドルは固いだろうと予想され(実際に全予選終了後に発表されたのは優勝者10万ドル、13-16位6000ドルだった)予選である程度上に行った止まりで突破できないと、せいぜいウィークリーの賞金50~600ドル、月一の進出者決定マンスリーファイナルの賞金100~1250ドルの積み重ねにしかならないため、突破できるかどうかで見返りが全く変わってくるとされた。
ここでは各週に導入されたマップの特徴やその時のメタ、筆者の所感などを書く。
筆者は一応本戦出場できるか惜しかった人である。上位勢ほぼ総出の大会でも半分以上はトップ16に入れていて、純粋な実力のランクではないがATRという大会結果に基づくランキングでは世界10位になっている。
本戦出場者候補と言ってくれる人も少なくなかった。予選突破に五分五分のチャンスはあると思っていた。加入を打診してくれるプロチームもあった。
イベント中の戦績を見ても、常に上位16名のラインを跨いでふらふらしていた。
早期に通過した人から1本取ることはあったし、後半で通過した人にBO3・BO5で勝つことも何度もあった。
しかしラインの上で留まることは出来ず、半端者で終わった。
オープンな予選で突破するというのはSC2時代ほんの少しあっただけで、国別地域別に割り当てられた枠に甘えた面が大きかったため、自力で得る枠を味わいたかったのだが、無念極まりない。
毎週深夜0時スタートでコンディションを維持するのが難しいとか、最後のほうは思い入れからくる興奮や緊張、実生活でのストレスなどが合わさって睡眠不足が響いたとか、自分に対する言い訳はひねり出せるかもしれないが、色々教えてくれたり練習に付き合ってくれる仲間に恵まれていたのに学び切れなかったことが、涙がでるほど申し訳ないというのがあり、そういう悔いに対して申し開けることはない。
HuTやSortOfなどは、PUPの新パッチを練習しないといけない状況になってからも長時間付き合ってくれたので、どうしても報いたかったところがある。まあダメだったのでとりあえず忘備録を書きますね。
Road to Wololoの構造
Road to wololoの構造としては4ヶ月間毎週末に大会が開かれ、月に3回のウィークリーのあと1回のマンスリーがある。
ウィークリーは本戦出場決定者も含め誰でも参加できて、厳密には予選ではないとされる。
マンスリーが予選本番とされ、予選未通過者のみからその月のパフォーマンスが良かったりATRのランクが高い上位16名のみが参加でき、マンスリーで上位2名が毎月通過できる。
しかしウィークリーも順位に応じたポイントが溜まっていき、最後の週には予選未通過者のうち上位2名が予選通過になるので、予選として機能している部分があった。
究極的にはトップ3などのプレイヤーを引くかどうかの運要素が影響を与えるのはどうなのかという議論が長らくディスコードを賑わしていた。
結果的にはHuTとKasvaという非常に実力も実績もある2人がポイント通過者となったが、この仕組みがうまく回るためには上位勢の安定参加など、必要な前提条件も多かったと思われる。
ポイント通過枠は一応配慮として、4ヶ月も毎週参加し続けなければいけないのは無茶だからと、ウィークリーでの成績の良かったものを上から6つだけカウントし、その合計でポイント通過者を決める、という仕組みになっていた
毎週導入される新たなカスタムマップ
最も特徴的だったのは毎週ユーザー製のマップが導入されていたことである。
RTSのバランス調整はユニット等の数値をいじるだけのものではなく、マップによるところも非常に大きいため、
公式がマップを全然追加しないなら自分たちでマップを作ってしまおうというのは意欲的かつ効果的な正しい判断なのだが、
毎週毎週ウィークリーの3日前2日前にようやくマップが発表されるため、どの文明・どの戦略が強いのか最適解発見スピードランの様相を呈していた。
これは短い時間で本質を見抜く能力やクリエイティビティが試せる一方で、短期間で十分な数をこなせる時間がある人(専業プロなど)を優遇してしまっていたという指摘にも首肯せざるをえない。
また発表の直後に問題のある生成や不具合が指摘されて数日の間に必死で何度も修正され、最終版を練習できる時間が1日を切るケースや、一度はバランスに致命的な問題があって導入が見送られてしまうケースまであった。
しかしこの試みによっていくつもの良マップが生み出されたことは確かで、Frisian MarshesやHoly Island、Four Lakesなどはおそらく今後ともプレイされていくだろう。
KawasanやFour Lakesなど元ネタがそもそもAoE2にあるのはご愛嬌。
Weekly June #1
まだユーザー製マップが導入されないまま始まった週。
GENESISでTop4のRecoNを破れてRo16に残れるという、幸先の良いスタートだった。彼も後に本戦進出することになる。
その後DeMusliMに当たってあっさり負けたので「いつもラダー回してくれてありがとう、俺みたいな下々の者も練習機会がもらえてありがたい」とか言ってアピールしていった。
日曜日のRo8に進んだpuppypawが、キーボードにコーヒーをこぼしてしまい、兄弟のWamが使っているキーボードはデザインが違いすぎるので借りるのも難しいといって棄権する事案があった。確かハリケーンの影響だかで自宅からホテルに避難して弱い回線でプレイするなどしていたので、悲惨が重なった話だった。カナダはあまりネット環境が強くないので、しっかり調べて契約するならともかく、適当な場所でネットに繋ぐと速度は期待できない。 しかしこのpuppypaw、実は絶好調だったようで翌週優勝するのである。
Weekly June #2
ユーザー製マップFrisian MarshesがBO3の開始マップとして導入。屈指の良マップとして今後一貫して残り続けることになる。
羊が30匹以上いるのが特徴的で、少し動物が多すぎてルーシが強すぎるということで1,2週間後には狼が減らされたほか、
導入当初はレリックが他の資源に上書きされて4個や3個になってしまう不具合があった。
しかしマップ製作者の責任ではなく、レリックの生成規則が「デフォルトの不公平になりがちなもの」と「Relic spawnerという平等な配置になるロジック」があり
後者を使ったときだけレリックが上書きされるバグがあったのだ。(7月のPUPから修正)
ユーザーマップを導入するのはより良い対戦マップを生み出すための試みなので、後者を使うことは当然といえる。
導入当初はとにかくルーシが壊れであることに気付いてルーシをBANすることが何より大切だった。
これは今もそうだが、狩りのバウンティ蓄積による食料採集速度へのバフが、浅瀬の魚にも適用されるので内政の爆発力が飛び抜けているのだ。
狼の数調整が入って以降もルーシマップだが、そもそもルーシは海戦しないマップではどこでも強いので特別感は少し薄れた。
基本的には自分のベースを横に進んでいくと食料がふんだんにあるのでマップコントロールを取る、あるいは少なくとも自分の食料を守れる程度の軍量を確保し続けることになる。羊が多いのでマップコントロールを取れなくてもしばらく糊口を凌げるが、相手は効率の良い浅瀬の魚を悠々と食べて差がついていくので、一時しのぎにしかならず、進化して逆転するビジョンでもないと厳しい。
この回はpuppypawにRo32で負けてノルマ未達……と思ったが、なんとこの週はpuppypawが優勝してしまった。
Weekly June #3
Four LakesがBO3の開始マップとして導入。
当初は近くの大きな森が2個しかないことや、金鉱が偏って配置されがちなことなどから、
フランスの騎士槍タワーラッシュで森を抑えて木枯渇で倒してしまうとか、タワーラッシュで金枯渇で倒してしまうという戦略が有力視されたものの、
その後の鉱山生成の改善や、受け手プレイヤーの対応洗練により、お互いに自分の湖を確保した強い内政でぶつかり合うマップとなった。
当初は遠海魚が陸地からかなり遠くにあったため漁船の往復時間が馬鹿にならず、往復の必要のないルーシが最強の一角だった。
ルーシの漁船が木150で人口2の立ち上がりの遅い漁船として生まれ変わり、水マップで使えなくなったと言われていた頃だったにも関わらず、である。
その後魚の距離が短く設定されると、中国・ローマ・イングランドあたりが最強候補となって今に至る。アップグレードなしで片道平均5秒以上は短縮されたと思われる。
このマップは自分の漁船を出している/出すつもりの湖に港を建てられてしまうとそれだけで非常に損なので、相手が港を建てにくる余裕のない時間、3分過ぎなどに自分の湖沿岸に柵を建てるのが基本となった。
(「軍船を1つ出して漁船を執拗に狙い撃ちしたあと戦いを放棄」というだけのムーブがもう強い。こちらは漁船のダメージ+軍船2の生産を強要される。港だけ建てて放置されても軍船1を一方的に出す羽目になる。
しかも領主のアーチャー船は港を割れないので、城主入りしたあと廃船の類を出されてやられる危険まである。)
最初のうちは上位陣でもこのマップの完成度には差があったが、1ヶ月後には自分の湖に途切れ途切れの柵を乱立して敵が港を建てるスペースをなくすタイミングも洗練され、安全を確保するプレイがかなり広まりマクロ寄りに転換していった。
この月は練習相手とのカスタムなどについてかなり受け身だったのだが、
この週はHuTに多分これが強いよと色々教えてもらっていて、しかし言ってくれていたcivのban/pickを十分理解していなかったのが敗因になった。
端的にどのマップでもルーシがOPな週だったが、実際練習したことの印象で間違ってフランスをBANしてしまった。
この週はRecoNにRo32で負けた。またしてもRecoNとDeMusliMと同じグループだったので、今回はそっちがDeMuに挑戦する番みたいやな、GL的なことを言って終わった。
といっても同じ人達と当たるのは奇遇なわけではなくて、シードの根拠となる数値が大きく変動しないことから同じ人との組み合わせが繰り返される事が指摘されていた。
事態を問題と考えた運営は今後はシードの1-8位をシャッフルするなど、一定の区切りの中をランダム化するという対応を取ることになる。
Monthly June Finals
基本的にマンスリーファイナルでは新規マップは追加せず、出ている中で評価が高く安定しているマップを使う。
タイブレイク3位とかでギリギリ足りなくて出れなかった。Ro32のどちらかがRo16だったら……という感じだった。
この時まではラダーでの順位によるマンスリーファイナル参加枠」も存在したのだが、
この時のラダーランクが決まる「ポイント」はマッチングに使われる内部レートとは別物で、ゲームをプレイすればするほどポイントがインフレする仕様になっていたので、
今後は基本的にはラダー枠はなくなり、その月のウィークリーでの平均獲得ポイントとATRのみで決まるようになった。
また、この月はラダー枠があったとはいえ、ラダー表示されている順位ではなく、AOE4Worldの管理人が内部レートを取り出したものを元にして決められた。
Ranked Season1の開始当初はこの逆で、トップ200ぐらいの勝率の高い人達以外はゲームをプレイすればするほどポイントがデフレする総ブロンズ時代になっていたので、なんともやることが両極端だが、
幸いSeason 2では流石にゲーム数が増えることで実際のレートから大きく乖離するようなことはなくなったようだ
Beeとの練習と、色んな練習相手のタイプ
ちょうどこの頃Beeからプラクティスパートナーに誘われ毎日のように何時間とプレイするようになる。
後にルール違反としてWololoから失格になったBeeだが、失格理由の詳細は公表されてないので厳密には俺にもわからない。
「柵バグを明らかに悪用していた」のは間違いないしそれだけでも失格事由にはなるが、囁かれているマップハック疑惑に関しては鹿や羊の発見率などの統計を持っていない俺が判断することはできない。
ただ練習中に怪しいところはなかったし(もちろん練習中に不正がバレるリスクを負う人もそういないわけで、何の証明にもならない)
元々実力やビルドを考える能力は本物なので練習自体は本格的で有意義なものだった。
特定の文明・ビルドの組み合わせがどうなるかを確認したいと言ったり、新マップで強そうと目をつけた戦い方を一通り検証したり、
誰々のビルドを対策したいから資源配分や建物のタイミングまで正確にコピーしてくれ、要点はこんな感じで~といったもの。有名な勝利の塔ビルドも立ち回りの調整にかなり付き合った。
ほかにもMarineLorD Leenock HuT SortOfなど色んな人と練習させてもらったがタイプにちょっとした違いはある。
大きく分けると戦術に関してよく話すタイプと、会話よりもガンガンプレイして行くタイプだ。
Beeはとにかくよく話すタイプで、ゲームとゲームの合間をかなり長く取る。英語は得意ではないので文章を考えるのに少し時間もかかるし、
会話が途切れてもすぐに次のゲームには移らず何か考えていたりする。ゲーム、セオリークラフト、ゲーム、セオリークラフトと丁寧に繰り返す感じだ。
HuTも試合後によく話すタイプだが、ガンガン喋って一瞬途切れたら落ちて次に行くのでテンポ自体は早い。めちゃくちゃ効率がいい。
返事が遅れると会話終了と思われるので、とにかく細切れの返事でもいいから返せることをどんどん返す癖がついた。
Leenockはガンガンプレイするタイプでテンポが非常に早い。言葉の壁やSC2での癖もあるかもしれない。ただ英語が大得意ではなくても慣れてはいるので知ってる語彙で上手く答えてくれる。
MLもテンポはガンガンで何事もなければ次々ゲームをやっていくが、一度会話が始まるとどんどん意見が出てきてメリハリがきいている。
SortOfは中間くらいだろうか。次は何を練習したい、と言ってから次に向かうことが多くてやりやすい。
AoE4を競技的にやるとかなりの暗記を要求される
正直AoE4は操作量という観点でいえば緩いゲームだ。本当に素早い操作を要求されるシーンは少なく、一度不利になったあと操作で巻き返せる要素も少なく、的確な判断を下し続けることのほうが重要だ。
その結果何が起こるかというと、競技シーンでやっていくためにはとにかくまず知識を固めないと話にならない。
仮にマップごとに強い4文明の組み合わせをカバーしてればいいとしてもミラー含めて10マッチアップになる。
フランスvsアッバースとアッバースvsフランスを別物だと捉えるのであれば、16マッチアップになる。
それが10マップあれば100通り(160通り)の展開と勘所を最低限頭に入れてないといけないし、理想を言うと実際にそれをやって慣れていたほうがいい。
リプレイをよく見て覚えただけなのと、「やってる時視界にこんな感じで映るよね」というのを実際プレイ中に経験しているかで状況認識のスピードはかなり違う。
しかもさらに厄介なのが、その100通りのそれぞれがバランスパッチのたびに変化するし、それどころか前触れなく唐突に「プレイヤーの研究の結果、主流のメタや最強ビルドの座が交代してしまう」のもままあることだ。
もちろん自らそういった変化を起こせれば大きなアドバンテージになるので、今主流の戦い方へのアンチをすぐに編み出す開発力があるプレイヤーは強い。しかし発明家タイプのプレイヤーですらメタを追いかける側になるマッチアップのほうが多い。
トップ10、20くらいのプレイヤーはある程度研究したマッチアップだと、ゲーム時間15分ぐらいまで資源配分の推移やラリー変更タイミング、生産と研究の順番をそらで言えることも多く、その後の資源配分や優先順位について大枠の流れも覚えている。
池や道を囲うべきマップや、ローマ相手だと、何分何秒に柵をする農民を送り出す、ということまでビルドの一部になってくる。
もちろんただ覚えているだけではなくて理解が伴っている。「生産を綺麗に回したうえで○体揃う時にこの研究を合わせたいからこの割合」という根拠があるので、なぜそれより少なかったり多かったら問題なのか?が言える。
当然すべてを覚えてないといけないというものではなく、知っている事実から類推は利くものの、無理して考えなくてもそれが出てくるレベルじゃないと使い物にならない。
(こういう流れで文明Aが文明Bに13分頃勝てるタイミングがあるのだから、これも13分+-30秒程度の間にありそう。CはBより伸びないから、少し早いタイミングかな)
知識の虫食いが僅かなら、そこを考えて埋めるのは簡単だけど、半分わからない状態では推論するための元が足りない。
Weekly July #1
新マップCauldronがBO3の開始マップとして導入。
現在ではかなり改善されて生成が安定しているが、当初は真ん中の池の魚が干上がる生成バグや、真ん中の池に繋がる道が崖と森でふさがってしまうバグなど、生成の不具合に長らく悩まされたマップだ。
池の形も紛らわしくて、池の真ん中の浅瀬に港を建てられると思いきや農民の歩ける道がない、といったこともあった。
さらに一番最初のバージョンでは猪が街の中心のすぐそばに現れて、片方のプレイヤーだけ猪を食べられることすらあり、それは流石にすぐに修正された。
例によって最終バージョンでの練習時間が短くなるスピードラン方式だ。
この週はN4C準優勝で最初から招待されているLeenockに1-2で負けてRo16止まり。
Beeから教わったデリーの即漁船ビルドの展開をもっと深く理解できていれば勝てた試合だったという悔しさがあった回
思い返してみればこういうところからすでにチャンスを無駄にしてきているのだろう。
この頃にはシードに使われるATRのランキングを改善するため、可能な限りThe Warchief Clubに参加してポイントを稼ぐことを並行して行い始めた。毎週馬鹿にならない時間がかかったが、確実にシード改善にはつながった。
Weekly July #2
噂には#2までに7月の大規模パッチが入るはず、と言われていて、陳腐化するバージョンに無闇矢鱈に時間を使うよりは、新しいバージョンで一気にスタートダッシュしたいのでこの週と次週はあまりAoEに時間を使わなかった。
しかしパッチがやけに遅くて渋々古いバージョンのままやることになったのがJuly #2と#3だった。
その後予選通過者となるHuTに2-1で勝ってRo16に行ったが、MarinelorDに負けた。
当時のHuTはこのパッチは性に合わないといって新パッチ待ちであまりやる気・コンディションが良くなく、モチベ低め対決のドサクサで勝てたという感じだった。
この頃HuTと練習や大会でいい勝負をすることが多かったことからHuTは俺達はレベルが近いと言ってくれたりするが、基本的に研究スピードや判断の冴えでHuTには敵わない時期が圧倒的に多い。仲間と初見マップを研究する瞬発力はかなり尊敬している。
特に大会後半へ向けての追い込みは圧巻で、同じように追い込みを狙っていた俺とは成長スピードが違った。
ML戦ではデリーvsアッバースでチキンすぎる動きをしてアッバースの内政が反映されだして物量負けになり、Beeに城主直後の攻めを狙えばしっかりダメージが入っていただろうと指摘された。
2戦目のフランスミラーではビルドがあまりにお粗末で、とにかく穴を残してはいけない、細かいところまで覚えなければいけないという考えを新たにした。
Weekly July #3
新マップBasinがBO3の開始マップとして導入。聖地が1個自陣の真横にあるので、デリーが強いマップと目されたが、
デリーをオートカウンターすると言われるHREが残っていると文明ピックで狙い撃ちされる危険があった。(領主軍兵で聖地を封じ込めながらのセミ即城主)
確か大規模パッチが当たった後で、HREの高位聖職者がアタックムーブだと異様な速度で鼓舞を賭け続けるというバグがあり、大会の数時間前に戦士の鼓舞の研究と高位聖職者の内政地でのアタックムーブが禁止された。
この時は騎士+聖職者で攻めるだけで異様な強さを誇っていて、まさしくぶっ壊れだった。
パッチ直後のゲーム性だけだとHREをBANするべきだったが、直前にHREの強さが制限されるルールが追加されたことで、BANにかなり迷った記憶がある。
この週は結果的にはBAN/pick戦略タイムアタックに敗れて、RecoNに敗れてRo32止まり
また、このパッチで塔が漁船にもボーナスダメージを出すようになった結果、Cauldronのデリー即漁船が使い物にならなくなる憂き目を見た。
Monthly July Finals
この頃は大規模パッチにより文明差がかなり少なくなり、マップごとに違う文明がトップ3であるくらいの好バランスになった。フランスのナーフ、塔のナーフ、兵器のナーフ等が入ったことで一応陸マップではアッバースかルーシが最強、ハイブリッドではマップによるがイギリス/HRE/中国/モンゴルが上位という感じだった。陸マップではどんどん内政志向が強まり、多くのマッチアップで2TC3TCが当たり前になっていく。
この月はなんと初戦Capochに3-0で勝て、Ro8でBeeに1-3で敗退。Capochも後々本戦に進出するプレイヤーで、Viperと同じく2でも本戦進出しているダブルライセンス所持者となる(ライセンスではない)
ギリギリの攻防になった1戦目で耐えきれたことと、予想してなかったCauldronで想定と違う文明組み合わせになった2戦目フランスvsデリーを一度死にかけつつもなんとか押さえられたのが功を奏した。
Beeに2-3で倒されたHuTが助けになればとどんな試合だったか所感をくれたが、「最近Beeと練習しまくったから全部筒抜けてるンゴ」「あっ」となった。
当時は数々の新しい知識を吸収することに精一杯だったが、もっと多くの練習リプレイをこのBeeに勝つんだという意識で舐めるように見ていればまた違ったかもしれない。
結果の向上自体は嬉しかったが、マンスリーで何位であってもポイントが貯まるわけでもなく、順位が何であれそれが敗退である限りは予選突破に寄与しないため、おめでとうと言われても「でももっと上手くやらないといけない」と返していた。
Weekly August #1
ついにハイブリッド屈指の名作(ハリウッド屈指の名作っぽい)、Holy IslandがBO3の開始マップとして導入。
陸と水のバランスが重要になり、どちらで負けても大きなデメリットがある。
陸で金鉱や木を押さえられてしまえば海戦にも響くし、逆に海戦で負ければ陸で肉を取る羽目になって内政が大きく萎んでしまう。
漁船40体くらい回せるだけの魚があるため、海内政を確保できるアドバンテージは非常に大きいが、DeMusliM vs MarinelorDにょうに軍船に過剰投資を誘った上で海を捨てて地上の3TCで逆転するような試合もあった。
Four Lakesと違って水がひと繋ぎなので、当初は廃船を活用できて地上でも馬で荒らせるフランス最強説がありこの週はフランスBANが非常に多かった。
廃船>ガレー船>ジャンク等安物説や、文明じゃんけんマップ説なども巷にはあったが、MarinelorDは非常にバランスが良いと思う、それには同意しないと言っていた。
実際9月に入るとHREが槍でフランスの港を潰す、イングランドが暗黒MAAで港を潰すなどの様々な戦略が見られるようになる。
陸と水に同時攻撃を仕掛けることで相手がコントロールをミスる状況を作るセオリーなども生まれ、特にフランスの廃船を回転させるのはかなりの操作を食うため、フランス攻略には非常に大切な動きとなった。
この週はNyanRacingCatの準備してきた戦略に少し苦戦したが何とか勝ち、Ro16でBeeに負けた。
Weekly August #2
怪作、Wood WallがBO3の開始マップとして導入。
ラッシュ距離が長いので普通にマクロゲームをするとまずTCを増やした上でいかに両脇に素早く柵・壁を作るか・最低限の騎乗兵などでそれを担保するかのゲームになる。
よく見ると猪が全くおらず、これまでルーシの強いマップが結構多かったことへのカウンターにもなっていた。両脇に大量の果実が発生するので、アッバースもかなり強いと思われた
。
しかし真ん中を切り進んでラッシュするという奇策も見られ、BeeはモンゴルTCラッシュを研究し、実際本番でも功を奏しているようだった。
しかし俺の大会としてはいざ本番になるとIammagicが中国のランドマークで森の向こうまで全部見渡せるという戦略を使ってきて1本目を落とし、こっちのほうが最終解なのでは?と思ってしまった。後に本戦進出することになるmagicだがこの時は2-1で俺の勝ちとなった。
その後Ro16でBeastyqtと当たるとやはり中国ミラーになり、しかし理解度不足で先に壁を貼られてしまいイニシアティブを取られてあまり出来ることはなくなってしまった。
篭もりマップ系の問題というのは、どうしても陣取り合戦・壁での領有権の主張の戦いになってしまうことで、
最初に誰が重要地点を確保できるかのウェイトがあまりにも大きく、うっかりミスがなければ逆転は難しいというのがある。
ちなみにWood Wallは当初、真ん中の森と山の間に隙間が出来てしまうというトンデモ生成バグがあった。
また、Beastyとの2戦目はHoly Islandで海戦に勝ち海を取ることができて、これは勝てるかと思ったのだが、漁船による肉を使って軍兵でかなり向こうの内政を止めたものの、詰めが甘く決めきれないうちに陸ブームで盛り返されてしまった
Weekly August #3
AoE2からの移植、KawasanがBO3の開始マップとして導入。
ラッシュ距離の短い池が2つあるので暗黒戦をしながら港内政が出来る文明が強く、イングランド≧モンゴル>HRE>中国くらいの順番で強いと思われる。
なお、ここからは新マップの追加はされず、現状の最も安定しているマッププールをLast Chance Qualifierまで貫くとアナウンスされたため、マップ談義は終了となる。
一応8月のマンスリーファイナルからLipanyのRtwバージョン、9月からHill and Dale(丘陵と谷)のRtwバージョンが追加されるのだが、オリジナルと大きく違うというわけではない。丘陵のほうは森の生成を中央からプレイヤー寄りにし、Lipanyのほうは巨大な壁が出来たりしないように崖のサイズが固定されややオープンな生成で安定するように調整された。
試合はRo16でMarinelorDに負けた。Kawasanをルーシの塔と柵で港を守るという予想外の戦略で少し難しかった。
Monthly August Finals
初戦の相手Don Artieは操作量が最も低い上位プレイヤーとして有名で、初週にWamを倒して以降は戦績も大人しかったので総合的に見て勝てると思っていたが、
文明ピックや戦略で意表を突かれ、最終戦で有利になったタイミングで上手く決定打を与えることができなかったのが響き敗退してしまった。
なお翌週にThe Warchief Clubでリベンジを果たし、その後もウィークリーで勝つことができたため、苦手意識が形成されることもなかった。
Weekly September #1
Ro32でIammagicに1-2で負けてしまった。Monthlyでのシードに少し響いた。
最終戦、経験の少ないミラーで馬鹿な編成・動きをしたのが良くなかった。タイムゾーン的にもうとんでもない深夜じゃないか?きついよねと同情された。
この2日後にBeeの失格アナウンスがされた。
動揺した俺がディスコードなどで詳しい説明を求めていると、MarinelorDが親切にも自分の知っている範囲のことを教えてくれ、長く細かいことは今書いてるからredditに出すよと言ってくれた。
話しかける時の前振りとしてESWC2012のパリで会った時ぶりだね覚えてる?と言われたので、初対面なのにその場で練習用にアカウントを貸してくれたことへの感謝などをし、彼にとって俺が初めて会ったフランス人以外のプレイヤーだったことが判明した。
人というのは生きていれば、俺のような木っ端の人間でもMarinelorDの初めてにすらなれるのである。
Beeの何を疑うか/信じるか、トップ配信者やBeeファンの間で色々なドラマコンテンツが生み出され、ちょっと英語の勉強になったが少し練習時間を無駄にしてしまった。
英語でそれなりの長文を投稿したりもしていた。
何がバグの濫用に当たるか、ルールブックで具体例を全部挙げろというのは非現実的だけど、バグの多発するゲームに色んな国の異なる文化背景・ゲーム歴の人たちが集まる以上は
誰かが明白だと思うことでも他の誰かにとっては明白じゃないので積極的に一度議論するようにしたほうがいいよね、
実際柵での偵察ができちゃう現象は俺にとって紛らわしくて、AoE2で使われてるイメージから、これもみんながゲームの一部として受け入れるかもしれない、と思ってた時期があったし。
実際、バグが良い効果をもたらしていればゲームの一部として開発者にもユーザーにも受けいられる事例ってあって、BroodWarはそういう事がたくさんあったし
といった文章など
Weekly September #2
Ro32でFlash!と変なゲームをやったあと、Ro16でDeMuに負けた。いつでも声かけてくれれば練習付き合うよと言ってもらえた。
数日後、変なゲームはAussie_Drongoに動画にされていた。
Weekly September #3
自分の試合とは関係ないが、最後のウィークリーとなるこの週、RecoN(イギリス)がRo4まで残ればHuT(オーストラリア)とポイントがタイになるという状況になっていた。タイになればどちらがポイント枠で本戦進出できるかわからない。
Ro16でRecoNの前に立ちはだかるWam01(カナダ)は奇しくもHuTと仲が良く、HuTの出場確定を賭けて代打ちしているような状況。
しかし前日の都合で睡眠不足だったため鍛冶場のアップグレードをいつまで経っても入れないなどフラフラのプレイングで見る者は手に汗を握っていた。
わざと負けようとしてない?とか言い出すtwitch chatまで現れ、知人(ワイ)があいつ寝てないから……とフォローする中、ギリギリの長期戦をWamがなんとか制し、HuTのポイントでの本戦進出が決まった。
ちなみにHuTはポイント上位2名に入っている&体調不良を理由にこの最後のウィークリーには参加しなかったのだが、それによってシードがズレた結果Capochがマリーンロードと同じブラケットに放り込まれるという悲劇が起きており、まあ結果的にはマリーンロードに当たる前にSortOfに負けていたのだが、孔明HuTの罠か?というミニドラマもあったとかなかったとかいう話
自分に話を戻すと、最後の週でポイント通過はかなり厳しい話ではあったが、最後なのでなんとかTop8以降に行きたいと思っていた。
Ro32ではDon Artieに2-0でリベンジ。
2戦目のHoly Islandでは狂った1時間ゲームが繰り広げられた。
俺はローマの港スタートから槍を出して港を割ったあと、輸送船で対岸に港を作られるのを追いかけるなどゴチャゴチャやった挙げ句、槍の輸送タイミングが少し甘くて廃船の完成を許してしまい、結局は制海権を明け渡してしまった。
しかし相手が廃船に過剰投資する内に陸の内政を止め、押し切ってランドマークまで破壊出来たため一瞬勝ちを確信したものの、Donはフランスの海交易内政で生き永らえてすべての資源収入を確保することができていて、
こちらの帝王カルバリンが出て海に再進出するころには向こうにとんでもない内政が出来上がっていた。
そうか、究極的な状況で目指すべき行動を間違っていた!と遅ればせながら気付いて木と金に農民を集めて必死で帝王時代の船を作り続け、なんとか海を潰して、ようやく決まったか……と安心すると、またもやなんとDonは陸に戻って生き永らえていた。
沿岸の塔や城が不十分で陸への再輸送を許したのだ。すさまじい資源バンクが溜まっていたらしいDonは、そのまま陸で複数のTC、城、軍事施設を乱立し、今度はこちらの陸の生存が脅かされるような事態となってしまった。
最終的にはなんとか地上を守り切ることができ、一度壊したはずの相手のランドマークを再び壊して勝利したのだが、ジェットコースターのようなとんでもないゲームだった。
c:lmao wtf did we just play
c:today i learned what to do in an ultimate situation i guess
d:lol
俺たちの会話はこれだけで良かった
そしてRo16で1-2でLeenockに敗北。
初戦、大丈夫だと思っていたアバミラーだったが相手の狙いを識別しきれず迷いがありどっちつかずの動きをし不利になったあと、Leenockらしく繰り返されるハラスで資源バランスが崩壊したのが痛かった。
その後モンゴルミラーで一つは取り返せたが、フランスミラーでLeenockの帝王へのつなぎ方が一枚上手で負けてしまった。ミラーしかやっていない。
トップ環境におけるアバミラーの変遷
今思えば理解度が足りなかった。というか上位陣のアバミラーのやり方は折に触れて何度か教わっていたのだけど、アバミラーはなんだかんだバランス変更がない期間もトップ層でメタの変遷が著しく、古い考えに囚われているとあっという間に時代遅れになってしまったりする。非常に興味深いマッチアップだ。
アバミラーの変遷としては、元々フランスナーフやアバミラーの内政微強化のパッチ以前の時期にも少なくとも2TCはやり得とみなされていたと思うが、
時を経て3TCまではやり得とされていた。そこから1TCで騎乗兵でハラスしながら裏でTCを増やす派閥と、それを怖がって自分も騎乗兵を出したり、TCを立てる前から槍を出すダサいビルドがあり、
そこの改善として手押し車をケチることで石と木を早く集めて最速で石や果実の近くにTCを作ることで騎乗兵を凌ぎ先に農民を増やす派閥
その亜種として手押し車はケチるが伐採所や家を余分に建ててGA1(黄金の時代1)は取るパターンなどがあった。(実はこのほうが少し内政が強いと思う)
さらに、TCを互いに増やしたあとの領主戦の動きも、当初は騎乗兵らくだで互いに荒らし回る動きが主流で、それに対するカウンターとして騎乗兵槍が強いということになった。
(らくだの変な溜めのある攻撃で引き撃ちするには限度があるので、こちらの内政に入り込まれると殴り合いに強い騎乗兵槍のほうが強い)
槍弓をいっぱい作られると戦えなくなると思うだろうか?しかし城主ユニットに対して弓は陳腐化するので、肉に偏らせた内政で騎乗兵槍を早々に揃え、目指す進化時間の4分前に金農民を増やし、
軍生産を少し止めていいタイミングの城主入りさえしていれば解決である。ユニット数の暴力だけでTCを割れる肉編成と違って、弓編成は攻めのテンポが遅い。すれ違った時に先に建物を壊せるのも肉編成である。
弓に木を多く使いすぎている相手は畑を張るのが遅れるし、先に城主入りして城寄せなどで攻城兵器を作らせれば相手の畑はさらに遅れる。槍をワンショットできる量の弓くらいまでは強いが、作りすぎるとまずい事が色々ある。
ん?待てよ城主強くね?もしも3TCから領主戦をケチって城主に向かうとどうなるだろうか?8分に8人で金を取り始めると4分後には城主に入っている。
3TCにしたあと25-12-8くらいの肉に偏った内政にして、城主進化を押してから木を22程度に増やしても、戦士小屋5に弓小屋3程度は問題なく建てられる。あとはアップグレードを見据えて金農民を増やせばいい。
相手の騎乗兵に荒らされる?槍を1回しし続けるくらいなら進化に影響はない。早めに槍を連れて鹿2個目にタワーを建てて肉もしっかり確保可能だ。
もっとすごいプッシュが来る?進化中に槍・弓を少し作ったうえで城主軍兵と合わせて戦ったら勝てるよ?
そう。領主戦にかまけるよりも即城主するべき。領主ユニットも必要なら槍を少し作って残りは進化中に作れ。という結論にみんな至ったのである。
即城主マンと領主ガチマンがやり合うとどうなるか?
かなり早々に軍兵が出てくるので、領主側が必死でプッシュしたとしてもTC1個割るのが限度で、後はもう長い間戦闘で勝てなくなる。
一応らくだ弓騎兵をたくさん作れば軍兵や騎士には対応できるようになるが、肉を使いすぎていつまでも城主に行けないので、投石機を足されたらやはり近寄れなくなってしまい、その間に領主側もTCを割られたり、畑を潰されたり、資源を占拠されたりする。
騎乗兵をらくだか騎士が追いかけ始めればもうマップコントロールも取れないので、城主に先に入った側は先に聖遺物を集めて長期的アドバンテージを積むことが出来るし、
何なら固い城主ユニットが領主軍を引き付けている間に敵陣近くの森や崖に石壁をしてしまって金鉱や石の領有権をゴリゴリに主張できてしまう。
領主戦全盛期には3TCを見たら4TC派閥もあったが、それも領主軍相手だから強いのであって、先に城主に入られるデメリットは軽視できなくなるのであった。
ソロゲーもチームプレイ説
とあるeスポーツ関係者が「個人競技の人間はぼっちと考えるのは短絡的で、自分で練習相手を見つけないと話にならないからなんだかんだ一定のコミュニケーションは取れる。
コミュニケーションの得意なチームメイトに任せっきりというパターンもない」
と言っていたことがあるが、実際AoE4もラダーにないマップなど、一人では練習しきれない要素も大きいので練習相手の確保は大切だ。そうでなくても誰かの助けがあれば苦手なマッチアップを集中的に克服することができる。
新パッチテストバージョンと現行バージョンで人が分散する時期などは特に、誰かに特別に練習に付き合ってもらう必要も出てくる。
色んなプレイヤーと練習しているうちに仲のいい人達というのが出来て、緩やかにコミュニティや研究会のようなものが生まれることも珍しくない。
そういう場では誰が勝ち抜き誰が脱落しても恨みっこなし、一番上達できた仲間を送り出すつもりで手の内や頭の中を晒し合うことになる。
意見を求められたらその時最適解と思うことを素直に言うし、これだけ頑張ってる仲間には上手く行って欲しいという気持ちも生まれてくる。しかし大会で仲間と戦うことになった時どう戦うべきかという算段も頭のどこかでつけてはいる。
利害が完全に一致していなくても仲間意識というのは生まれるのだから不思議なものだ。
競技プレイヤーはみんなどの程度戦略を隠したいのか?
世間的に戦略ゲームは「自分の情報を隠したくてプレイを見せたくない・配信をしたくない」というイメージが語られることもあるが、
引き出しの多いトッププレイヤーにとっては本当に隠したい部分はなんだかんだプレイの2割程度だと思われる。トッププレイヤーでもよく配信しているように、8割のプレイは別に知られても問題ない。
というか8割のプレイはライバルとの共通認識のような動きにすぎない。知られていても二択を迫ってジレンマに陥らせられる戦略などは、知られている事がデメリットにならない。
基本的には、相手との知識差が作れる最新の研究成果や、サプライズで倒すための奥の手を隠しておきたいということだ。
Monthly September Finals
台風とタイミングが被ってうるさいのが少し問題だったが、幸い停電などはなかった。
初戦でErikに0-3で負けた。酷い試合だった。
過去のラダーなどでもだいたい勝てていたし、大会でのパフォーマンスも勝てているので自信はあったはずだった。
3試合とも有利なマッチアップを引いた。普通それ選ぶか?という文明で不慣れではあったが、パワーランク的に明らかに有利なはずだった。
大きなミスがなければ勝てるはずで、1戦目も2戦目も序盤中盤に大きなミスなどなかった。普通に有利を築き上げていた。
決めきれる戦闘が目の前に広がっているのに、正しくそれを認識できずに逃げたりして勝機を逃しては負けた。
緊張していた。chokingやtiltとしか言いようがなかった。3戦目は冷静さを欠いていた。
Kawasan特有の暗黒の殴り合いからの金の掘り始めが遅れてしまったせいで、色んな面で不利になった。
最優先目標である港の破壊も遅くて、無駄に敵の内政地まで槍を追いかけたりしてしまった。
貴重なチャンスを潰し、賞金も減少した。Bo3が多く含まれるLast Chance Qualifierでは何が起こるかわからないので、このマンスリーでこそ決めたかった。
大学やバイトもあるらしく忙しいHuTにかなり手伝ってもらって準備したのに、「その場での判断」でことごとく間違って台無しにしたことが情けなく、ひどいプレイを謝らずにいられなかった。声は上げずとも自然と涙が出た。
「練習したこととぜんぜん違う変な展開だったし悪い日だっただけだ、まだ次週があるからとりあえず1日忘れてしっかり休め」と慰められた。
翌日、決勝を控えてSortOfから練習に付き合ってくれてと頼まれて、こちらもまだ次週に向けて練習しなければいけないので、快く協力した。
仲間からRickyと呼ばれ愛されるSortOfは無事にやりきり予選を突破、翌週何倍も練習に付き合って返してくれることになる。
自分が同じように出来なかったことは悲しかったが、自分と練習したビルドをしっかり決めて勝つ姿を見るのは誇らしくもあった。
Rickyの突破ツイート
HuTの突破ツイート
Last Chance Qualifier
ZertoNに次ぐ2番手のシードとして迎えることになった最後の予選だった。
この最後の2週間、追い上げ期としてHuTやSortOfに連日何時間も練習に付き合ってもらい、何なら夜に1人、深夜にもう1人と練習セッションをハシゴして、練習後には繰り返しリプレイを確認した。
リプレイが流れないように複数アカウント入れ替わりで使うことで2日前のリプレイも確認できるようにした。
ユニットがいつ出るか、建物がいつ見えるか、いつ柵すれば一番安全か、少しでも役に立ちそうなタイミングはメモを取り、繰り返し見て暗記しようとした。
数字から仮説を立てて、裏をつけるようなビルドをテストして他のシナリオも検証する。それを元にプレイ内容を改良して翌日の練習セッションに臨む。
前日の夜も練習相手が確保できればAoE4JPCCの大会をスキップして練習しようかと考えていたが、結果的に確保できなかったので大会をプレイしてから深夜練習に行くことにした。
まだまだ不安な点はあったが、十分やれるとは思った。もう通過できるかは五分五分で、前日まで頑張ったから当日はとにかく何も考えずに睡眠を取って天に任せるしかないなと思った。
自分が一番準備していたマップ・文明をBANされた。次に準備していたFour Lakesはピックされたので1本取らないと辿り着けないという、「おあずけ」状態だった。
苦肉の策でアッバースをデリーでスナイプしてスタートと考えたが思っても見なかったデリーミラーになり、そこでの戦略自体はアリだったと思うが遠ざかっていたマッチアップで経験がなさすぎた。
文明のパワーランクだけでなく自分の熟練度、ありうるマッチアップをすべて加味して考えられないといけなかった。
2戦目ではルーシvsアッバースのタイミング攻撃は非常に強いのでFrisianでもこれで刺さって3ゲーム目に行けるだろうと思っていたものを返されて内政負け。城主差もついてしまい、実質そこで終わってしまった。
このマップでのこのマッチアップを想定していなかったので実際の経験が足りなかった。
自分の最初の試合が早く終わって待機時間が長くなったため、今日・明日に自分が戦う可能性のある人の出来たてのリプレイを片っ端から確認してはどう対策するかを頭の中で考えるなど、時間をフルに活用していたが、
甘いban/pick stratによって自分にとって不慣れなマッチアップや理解度の甘いマッチアップに持ち込まれてしまった。
ban/pick自体も自分でシミュレーションして多くのパターンを考えていたが、想定外の形になってしまった。
仲間に散々時間を割いてもらって準備したことをしっかり活用すら出来なかったことが、本当に申し訳なかった。
いくら悲しくても予定と緊張が一気になくなったのでよく眠れたが、コメンテーターにcongratulationsと言われて「そんなわけない!負けてしまったのに」となって目が覚める夢を見てしまった。
基本的に英語はモニタ越しで使うことが多いので英語の夢を見ることはかなり珍しい。
今回特に感じたのは「多くのものがかかっているのに成功確率が五分五分に近く、完全に未来が不確定なプレッシャー」の強さだ。
「誰の目にも明らかな難敵」に開き直ってベストを尽くすのは意外と簡単だし、「8割勝てるだろう」相手にももちろん落ち着いて対処できる。
しかしボーダーラインを反復横とびしている状態は日常的にストレスがかかる。不確定な事が多いというのは決断疲れの状態に自分を置き続けることになる。
並の神経の持ち主である俺の場合は、前評判からしてもうこれ余裕でしょという余裕があってこそ行けるのだろう。
どんな世界でもそうだと思うが、上を目指す人間の追い上げ期のラストスパートは鬼気迫るものがある。
HuT,SortOf,RecoN,Magic、みんな勝負所を見定めて気合を入れてからの伸び方がえげつなかった。
「みんなどこかでグンと伸びることがあり」「後半で当落線上のライバルと互角なのは精神的にきつい」のなら大会の序盤こそむしろボーダーラインの遥か上を意識して血眼でいるべきなのだろう。
折り返し地点で「もう本気出したから明日から脱力する」くらいのつもりがいい。
もし6月に戻れるとしたらどう準備するか? 6月の早い段階からもっと色んな練習相手を求めるべきだったし、
そうしてもっと早くから思考のダイアルを正しく合わせ、理解に穴のあるマッチアップをなくし、強力な手札をもっと用意したかった。
あらゆるban/pick戦略に対応できるように、5割増しの練習と研究が必要だった。
今回も決してサボっていたわけではない。今年AoE4についてプロからもらった情報、自分の考え、思い付いたこと、プレイ中意識することリスト、
ビルドの資源配分推移や何かが出てくるタイミング、気づいたライバルの悪癖など英日混合で取っていたメモは3万文字近くになっている。
毎週末大会が終わるたびに、トップ16のリプレイはなるべくすべて目を通すようにしてきた。人を待つ合間にも1つ2つとリプレイを消化した。
しかし記憶に定着しない、腹落ちしない浅い思考でやった気になっていたり、相手の厳しい攻めの中で自分が操作する感覚に落とし込めていなかったり、理解にまだ穴があるのを良しとしたり、自分が要注意パターンを網羅しきれていないことに気付いていなかったり、そういった部分の多くが悪い結果となって帰ってきている。
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