【京法編入】対策の基本
試験の概要については前回述べた。
今回は主に論文対策について指針を示したい。
その前提として、学生受入方針に対する私の見解を再掲しておく。
学生受入方針
対策の方針
では、①強い問題意識、②基礎的学力、③論理的思考力とは何か。
これらを備えるために何を為すべきか。
強い問題意識
強い問題意識とは、時事問題や法学政治学上の論点について関心を持ち、議論の概要や各種意見を理由づけるものについて日頃から理解しておくことをいう。
例えば、日本版DBSの導入について、議論の概要と各種意見の理由付けを、何も見ずに説明できるだろうか。
説明できないならば、説明できるようになるために何をすべきかを考えなければならない。
強い問題意識を持つには、日頃からニュースを見て時事問題に触れ、その議論の流れや意見の詳細に目を通すことが重要である。
具体的には、𝕏(旧Twitter)をインストールし、報道機関や信頼のおける弁護士/教員アカウントをフォローして毎日時事問題や論争について読み、余裕があれば自分の意見をpostするとよい。
(なお、インターネット上には差別的見解や根拠に欠ける感想などの受験上有害な意見も存在するため、これに惑わされないよう注意すべきである。)
基礎的学力
基礎的学力とは、社会科学(中でも法学、政治学)の基本的な知識を習得し、答案においてその知識を活用できることをいう。
京法編入の論述では基本知識が最も重要である。
細かい判例や学説対立は、京法編入で正面から問われることはほとんどない。
プライバシー権や表現の自由といった基本的人権の重要性、日本における西洋法の継受にはどのような意義があったかなど、どちらかといえば基本的で重要な専門知識が、京法編入においては重要である。
基礎的学力を得るには、今所属している大学の法学政治学の専門科目を真面目に学修することが最も効果的である。
指定教科書を通読して講義を受け、余裕があれば関連文献も一読し、疑問を自分で解決できないときは担当教員に質問する姿勢が求められる。
(ただし、京法編入過去問をそのまま見せて質問しないこと。)
論理的な思考力
法学は説得の学問である。
意見が対立する2人の間に立ち、合理的な個人が納得できる一般的抽象的な法を提示し、双方の合意を得て紛争を解決していく。
法学部における論理的な思考力とは、合理的かつ説得的な推論を行う能力にほかならない。
合理的とは、感情論が原則なく、全ての主張に理由があって、それによって主張自体が正しいと思われるような論述であることをいう。
「犯罪歴は憲法上特に重要なプライバシーである」「プライバシーは一旦侵害されると回復が困難である」などの理由付けがあると、「民間事業者に犯罪歴を提供する日本版DBSは、元犯罪者のプライバシー権を侵害するおそれがある」という主張自体が正しいように思われる。
説得的とは、反対意見を跳ね返すような論述であることをいう。
譲歩という形で反論することもあれば、反対意見側の理屈を基に反対意見を批判するという曲芸のような論述も行うことができる。
【私の意見】〜すべきである!とだけ述べる文章は、反対意見を無視したものであり、説得的ではない。
【私の意見】が正しいといえる理由は何かを記述し(合理性)、さらに【反対意見】に基づく想定反論に対して再反論をしなければ反対意見を跳ね返すことはできない(反対意見考慮)。
合理性と説得性を鍛えるためには、「それは本当に理由になっているのか」「それはメリット・デメリットと呼べないのではないか」と問いかける脳内反論者を飼い、常に反論に再反論していかなければならない。
(答案上に譲歩の形で書くか、反論を明らかに意識した記述にする。)
この脳内反論者を飼うということは批判的思考を持つということでもある。
以上のような意味での論理的思考力は、一般教養のレポートで鍛えることができる。
文献は広く集め、緻密な理由付けを意識し、自分の意見を表明するときには反論にも配慮することで、京法編入対策になるのである。
まとめ
問題意識:𝕏を始めよう
基礎的学力:専門科目を真面目に受けよう
論理的な思考力:一般教養レポートをガチで書こう
Ψj