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芳田ミクを音域調査しよう
最終更新:2022年1月28日
キー名について誤記を修正(2022.1.28)
× 誤:初音ミクNTは国際式キー名
◯正:初音ミクNTはヤマハ式キー名
それに伴い、表の周波数も修正
2022年1月25日 19:00 ボカロ後期にカチコミを掛けてきたボカロの鉄人、芳田氏の新曲「paint the world」が投稿された。
高い自然性を持つ芳田氏の初音ミクの歌声は、ジワジワと評価を伸ばしてきている。私も氏の作曲能力にこそ初音ミクの歌声データベースに適合した何かがあるのではないかと考えていた。そこで、芳田氏が初音ミクのどのあたりの音域を今回の楽曲で使っているのかを調査した。
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芳田氏のブログによると、前作より初音ミクNTを使用中とのことで、「paint the world」がNTかどうかは現時点(2022.1.26)では言及されていないものの、おそらくNTのバージョンのどれかなのではないだろうか。
というわけで、ちゃちゃっとベタ打ちした。BPMは多分145だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1643180772054-GJdcOpE0i6.jpg?width=1200)
■集計結果
楽曲のパターンから、A-B-C - A-B-C - D-C という構成として捉えた。
更にパートの中を2つに分割し、8分音符の長さを1として、どの高さのどの音がどれくらい出現しているのかを表にしてみた。
4分音符の長さであれば2、16分音符であれば0.5といった具合だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1643366572281-tZ4AQmjy8K.jpg?width=1200)
左から基音の周波数、階名、ディグリー(度数)、国際式キー名(初音ミクNTのピアノロールも国際式に準拠)ヤマハ式キー名(初音ミクNTのピアノロールはヤマハ式に準拠)、パートA〜Dの出現数合計、各パートを前後半に分けたときの出現数の分布。
メロディはGのメジャー・スケール上で展開されていることがわかる。
そしてG3付近(基音の周波数が195.998Hz 391.995Hz)に集中しているようだ。
パートA
パートA
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前半後半ともD3~G3を基点に、前半A-1は下方G2に、後半A-2は上方D4に振れている。
![](https://assets.st-note.com/img/1643366637022-cy5t8YgRUB.jpg?width=1200)
パートB
パートB
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パートBはG3を中心にスタートして、B2に下降。 後半はB2からしゃくりあげていくスタイル
![](https://assets.st-note.com/img/1643366674426-HebWkiq83j.jpg?width=1200)
パートC(サビ)
パートC (サビ)
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G3,A3,B3というドレミに集中している。
![](https://assets.st-note.com/img/1643366706068-HtmZVmMuAK.jpg?width=1200)
ボカロP初心者やボカロリスナー達はこうやって、自分の好きな曲のミクがどんな音域で歌われているのかを見てみて、それがどう違うのかを知ると良いんじゃないかな。
パートD
ところで、E♭3が1回だけパートD-1で出現するのだが、これが何を意味するのか知りたい人は和声を勉強してみよう。
Bm→B7→Em
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まとめ
大したことではないのだが、情報の出どころをはっきりさせられない情報についても書くので、ここから先は有料とさせてもらう。気になっていてお金に余裕のある方は是非課金してみて欲しい。価値のある情報かどうかは、あなたの腕と耳次第だ。
ところで、本文でやってみせたような分析を複数のボカロ歌唱(初音ミク)で比べてみれば、なにを"初音ミクらしさ"とか"ボカロらしさ"と感じているか...見えてくるのではないだろうか。
また、芳田氏の楽曲を分析すると、Aで小さな上下動を作り、Bで水平に安定してから一気にサビに向かい、サビでピークを作る。またDパートも一旦IntroでもあるA-1の範囲まで落ち着き、また一気にラストのサビに向かって駆け上がっていく様子が見える。
ただ楽曲全体の雰囲気を曖昧に語り、いたずらに音楽を消費するのではなく、こうした動きに注目し、どこがどう良かったのかを論じることは、音楽文化を豊かにするのではないだろうか。
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