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頸部深層筋の姿勢調整機能とエクササイズの効果

頸部深層筋の姿勢調整機能とエクササイズの効果
谷田惣亮 
理学療法ジャーナルVol.55 No.6 2021.6 p616-622

【文献の要点】

・頸部は頭部の安定性と運動性の2つの特性を持っている。そのため頸部には数多くの筋があり、表層筋は関節運動に、深層筋は関節安定化に適した構造、走行となっている。

・頸部深層筋は頭頸部の細かな運動の調整、頸椎分節の安定性の重要な役割を担う。

・頸部深層筋には筋紡錘が高密度に存在しており、筋の固有感覚情報をより緻密に中枢神経系へ伝えている。さらに頸部は眼球運動や重心動揺との関連性も言われており、姿勢バランスにも影響を与える。

・頸部深層筋に対し機能の再教育を目的としたエクササイズによって頸部深層筋が活性化
し、姿勢バランス改善の効果が期待できる。

【文献の基本構造】

頸部の機能、筋について
→頸部の機能的な特性や筋の役割について説明。

頸部深層筋と姿勢調整の機能について
→頸部深層筋の解剖・運動学から機能的な特徴、姿勢調整との関係を説明。

エクササイズの紹介
→先行研究をもとに頸部深層筋に対するエクササイズの紹介。

エクササイズの姿勢調整への効果
→研究結果から頸部深層筋のエクササイズによる姿勢バランス改善への効果を説明。

【著者の伝えたいこと】

・頸部や頸部深層筋の機能や特性から、頸部深層筋と姿勢調整との関係性がみえてくる。頸部深層筋のエクササイズにより姿勢調整、そして姿勢バランスの向上が望める。

【文献を読んでみて思う事…】

・姿勢調整、バランスというと下肢や体幹の機能というイメージが強くあった。頸部の機能や頸部深層筋の特性を理解することで、頸部をはじめ、全身の評価、全身を診る視点が改めて必要であると感じる。

・頸部深層筋の機能や特性から姿勢バランスとの関連性を説明している。バランス機能低下を有する症例に対して評価の視点となるのではないか。

・頸部は神経なども多く分布しており、アプローチや接触に対して不快感がある方も少なくない。紹介されているエクササイズは自動運動中心であり導入しやすいのではないかと考える。

【まとめ】

・頸部は小さく多数の筋が存在し触察が難しい部位であり敬遠しがちであるが、眼球運動や姿勢調整、バランス機能など幅広い機能を担っていることが分かる。幅広い機能を担っているからこそ、様々な症状や身体への影響が出ると考えられるため、頸部の解剖や頸部筋の機能、特性の理解、そして触察技術の獲得のきっかけとしてほしい。

記事:ながちゃん

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