眼窩骨折(目の周りの骨折)⑤手術の方法と材料の選択
注:自分自身の学習と理解によるNOTEです。誤りがある可能性があるため、正書での確認をお願いします。
眼窩底骨折における骨折部位へのアプローチには、大別すると経皮的アプローチと経結膜的アプローチがあります。経皮的アプローチには睫毛下切開、瞼板下切開、下眼瞼切開などがあります。本邦では経皮切開が主流であるとされてきたが、経結膜切開もその利点や様々なバリュエーションが複数報告されており、近年積極的に使用されるようになってきています[44]。
二つのアプローチ方法の大きな違いは皮膚切開の有無です。そのため、経皮的アプローチの問題点は皮膚に生じる瘢痕であるとされています。
睫毛下切開を用いて眼窩周囲にアプロ―チを行った症例77例を回顧的に調査し術後の瘢痕について検討では、切開部位が睫毛より1~2㎜で行われた症例においては大部分の症例で目立つ瘢痕や変形は生じていなかった報告されています[45]。しかし、睫毛より離れた位置での切開が行われていた症例では瘢痕や変形が目立つ傾向にあった。また、術野を広く展開するために行われる睫毛外縁を超えた外側方向への補助切開の部分には、色素沈着を生じる傾向があるとされます[45]。いずれの方法を用いるかは施設や術者により違いがありますが、いずれの方法にも利点と欠点があり様々な方法についての見識をもつ必要があります。
再建材料についてであるが、自家骨や軟骨、チタンメッシュプレート、吸収プレートなどが使用されることが多い。アプローチ方法と同様に各々に長所と欠点があり、どの再建材料が最も良いと決定することはできません。眼窩の再建材料の条件としては、十分な強度を有すること、長期の安定性があること、加工が容易であること、感染に強いこと、生体親和性が高いことなどがあります[46]。
44. Ishida K. Evolution of the surgical approach to the orbitozygomatic fracture: From a subciliary to a transconjunctival and to a novel extended transconjunctival approach without skin incisions. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2016;69(4):497-505.
45. Kashiyama K, Yano H, Imamura Y, Iwao A, Higashi A, Moriuti Y, et al. Scarring Caused by the Percutaneous Approach to Fractures of the Orbit and Orbital Rim. J Craniofac Surg. 2021.
46. 垣淵 正, 西本 聡, 河合 建, 曽束 洋, 石瀬 久. 【眼窩壁再建における材料の選択】総論. 形成外科. 2018;61(1):5-11.