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lmeで七草にちかさんに救われた美琴Pの話
※思ったよりかなり長いです
担当に会うために明日があるんですよね?
1月11日、lme1日目の夜、[never;1]の配信ライブを友人Aと半分だけ見て、別の友人Bとも合流して夜ご飯を食べてました。
今まで見てきたMRライブとは技術面も実在性も一つ頭抜けているクオリティに度肝を抜かれつつ、私たちの気持ちはすでに明日の[or;3]の現地参加へ向けて高まっています。
私の担当は緋田美琴さん。もう今となっては何で恋に落ちたかは定かではないのですが、
いまでは彼女が人生の中心にあり、「緋田美琴に恥じないPになる」とおかげさまでめちゃくちゃだった生活習慣も改善されました。
そんな、命の恩人のような彼女に、やっと会えるのです!
超上機嫌の私をよそに、スマホを見ていたはずのAがなにやらひそひそとBに話しかけてます。「ねえこれぱらに見せていいかな」なんて、なんも知らない私を置いて、二人で熟慮タイム。
「えー、でもいつか知るんでしょこれ……。早い方が良くない?」「うーん……」
いやいや、この歳になって目の前での内緒話ってなんだい。ぱらちゃんにNGはないよー。なんて思いながら、「なにー?」なんて、気安く声をかけたのが運の尽きでした。
「緋田 美琴につきまして、本人の体調不良を受け、安全を最優先に判断いたしました結果、[odd;2]公演における以降の出演を急遽見送ることになりました。」
「……え?」
発覚当初は驚きとか悲しみとか、そういったのを通り越してなんだかぼーっとしてしまいました。え? 2次元のキャラクターが体調不良?
Twitterを見るとどうやら美琴が倒れたらしいとのこと。でも、2次元で生きる彼女が体調不良になることは(誰かが作り出さない限り)ないのです。
気持ちを落ち着けるために自分のアカウントを見直したが最後、この数週間「大好きな緋田美琴に会える」と楽しみにしてた自分の言葉が可哀そうで絶望しました。これを作り出した神に怒りマックスです。
だって仕事が辛くても美琴に会えるからって何とか持ちこたえてた数か月を馬鹿にされたように思ったから。私の楽しみだった気持ちを、踏みにじったように感じたから。
私だけじゃない、ほかの美琴に会いたがっていた人の気持ちをつぶす行為です。MRライブだし、会えないかもしれないなんて誰も想像してないわけだし。
(あの日、食事の時間にガチ落ち込みした私を咎めるどころか同情して一緒に怒ってくれた友達、ありがとう)
だから、その日は家に帰っても、1公演目の残りも、2公演目の配信もみずに、ふて寝しました。
だって今見たって、明日美琴に会えないのが悲しいだけだし。そんな悲しい気持ちをふくらませたまま、現地に行きたくなかったから。
まさか次の日の朝、七草にちかさんに救われるともつゆ知らずに。
[odd;2]を配信で見る
次の日の朝、[or;3]に向かう前に、一応昨日の公演を配信で見ておこうと、PCをつけました。
問題の[odd;2]公演、そこにはたった数曲やっただけで肩で呼吸している美琴と、暗転後の「美琴さん?!」という悲痛な叫びがありました。ああ、やっぱり昨日の発表は嘘じゃなかった。私が見たかった美琴は、そしてシーズのパフォーマンスは、生で見られないんだ。
……そう思った時です。
七草にちかさんが、イントロを背負って、ひとりでステージに上がってくれました。
カメラが美琴のいない空白を映そうとも、彼女は歌える限りの全てを、美琴のパートも含めて全て歌ってくれました。
倒れる瞬間を見ていて、誰よりも怖い思いをした彼女が、懸命に、そして時には表情も決めながら、私たちに歌を届けてくれたのです。
思わず込み上げてくるものをグッと堪えながら、画面を食い入るように見つめました。こんなに全身全霊でにちかさんが、私の見たかったものを届けてくれている。美琴がその場にいなくても、シーズを辞めないでいてくれる。
そしてMC開口いちばんの、「ご心配をおかけしています」という私たちを気遣う言葉。
そして美琴への心配とにちかさんへの同情を混ぜ込んだ空気を吹き飛ばすように、自虐込みで場をあたためてくれた姿。
私たちを、ただステージが楽しみだったファンに戻してくれたパフォーマンス。
ああ、彼女はアイドルでいることを選んでくれたんだ、と思いました。
本当は誰よりも泣いたり喚いたりしたかったはず。それに、私たちなんてほっぽり出して、美琴の元へ走っていったっていいはずです。
前代未聞のトラブルの中ですから、自分のしたいようにしてくれても、16歳の彼女を誰も咎めたりしません。だってまだ高校生ですから。
この後シーズのパフォーマンスをやめて、コメティックにバトンタッチしたって、その決断を怒る人はきっと誰もいない。
それでも彼女は、そのすべてを選びませんでした。
私たちのために、そして美琴のために、シーズを、ステージを守ってくれている。
ああ、私はなんて愚かだったんでしょう
私が勝手に、私の見たかったシーズを諦めていただけだった。
そしてきっちりラストまで歌い上げた姿を見届けた時には、せっかくライブ前に整えた化粧がぐちゃぐちゃになってました。でも、私の胸に昨日まであった絶望はありません。
美琴がいなくても、にちかさんがステージを届けてくれるから。
シーズを、見せてくれるから。
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そして現地[or;3]へ
いつ何が起きてもいいようにハンカチを握り締めながら挑んだ現地ライブ、[or;3]。3階席だったので少し遠かったですが、彼女たちの姿ははっきりと見える良い席でした。
コメティックのかっこいいパフォーマンスで暖まった場に、にちかさんがステージに上がってきます。もちろんそこには、冒頭で説明があったように美琴の姿はありません。
曲が始まった時、もう洪水のように喚く自信があったのですが、ふしぎとその時は泣けませんでした。
だって、どこまでいってもにちかさんがアイドルだったから。
ソロ曲を終えて、シーズの曲がかかります。
もちろん、よく見ればステージには人ひとり分の空間があるけれど、そんなの気になりませんでした。それほどまで彼女のパフォーマンスが魅力的で、かっこよかった。
美琴が欠けて良い訳ではもちろんないです。でもそこにもうひとりいるような空気を纏って、小さなからだで舞台全部を使って今できる最良のパフォーマンスを見せてくれる。
泣く暇なんてないくらい、盛り上げてくれました。
そして、下を見ると赤と緑のペンライトが輝いていました。フェアリー・ガールのときは緑一色だったのに。
ああ、会場のみんなも、「七草にちか」のステージではなく、「シーズ」を見に来てるんだ。そして、にちかさんに「シーズ」の景色を見せようとしてくれているんだ。
そっと、ペンライトの色を緑から赤に変えさせてもらいました。
そして昨日の奈落から上がるシーン。ここはどうするのだろうと思っていたら、なんと
Shiny Story (爆泣き)
二つの影が奈落から上がって、たしかに美琴にしては影が小さいな〜と思ったら、それは斑鳩ルカさんでした。私はこの曲が本当に大好きで永遠に聞いてるので、(特にルカさんバージョンはまじで優しくて柔らかい声なので全人類聞いて)
まさかここで、しかもふたりバージョンで見せてもらえる。
混乱です、大混乱です。
夢?
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記憶が無かったのですが、必死に落ち着けた2番Bメロ
「綺麗じゃない 言葉だって 心をつくってく」
ぎゃーーーーー。
オタク大洪水です。なんなんだなんなんだ。
ここはCDだと3人で分けてるんですが、ふたりで歌ってくれるとは思わなかった。
ここ、まあ歌詞だけ見ると正直ルカさんぽいんですが、でも、にちかさんも元々はそういう人なんですよね。
綺麗では無い言葉を他人に投げかけているように見えて、実はそれは自分を傷つけている言葉だということは、特に初期のにちかさんのコミュでよく見られたと思っています。
だから、ここをどちらかが歌うのではなくて、二人で歌ってくれたのが本当に本当に嬉しくて。
そして
「白紙は空」のルカさん
「私は色彩」のにちかさん。
アイドルとしては真っ白だった彼女が、シーズという鮮やかな色を、自信を持って手にしてることを教えてくれた瞬間だったな、と思いました。
ありがとう、ありがとう……。
ここでなんかちゃんと泣けたというか、報われたな……。みたいな気持ちになりました。
そして、ラストの曲でステージに戻ってきた美琴。
私の見たかった彼女が、そこにいました。
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美琴が「心配をかけてごめんなさい」と我々に頭を下げた時、隣にいるにちかさんも、ぺこりと頭を下げました。
ああ!違うんです、あなたは頭を下げる必要なんてない。むしろこちらは感謝するべきなのに……。
でも、この瞬間「美琴の体調不良」という個人に帰結するアクシデントを、にちかさんは「シーズの問題」と捉えていることがわかりました。
美琴の体調不良は過労によるもの。すると最も大きな原因は、美琴の自己管理不足です。でも、にちかさんはここまで無理した美琴のことを止められなかった自分、美琴さんなら大丈夫だろうと思った油断を反省しているのだと思いました。
本当は、そこまでにちかさんがする必要は全くないです。というか8歳も年下の女の子が気にすることでもないのです。限界を理解してなかった美琴が悪いです。
でも、彼女はこれを「シーズの問題」としていること。それが今後のシーズへの糸口になるのかな、と思いました。
Not enoughで丸くなったように見えたふたり。でもまだまだその円はいびつで、コンパスのようにはいきません。
次はそれをどう正円にしていくのか、そういった地道な努力のお話が、始まっていくのだろうなと思いました。
曲が始まって、やっと、美琴の見せたいものに出逢えた時、ペンライトを振るのを忘れて、見蕩れてしまいました。
思っていたよりも背が高くて、華奢で、それでいて振りのひとつひとつが丁寧で美しい。
[odd;2]ではにちかさんだけだったシーズのパートに、一つ深みのある音が加わって、より厚みのある声に。美琴とにちかさん、声質は全然違うのですが、不思議なことに、ふたりのユニゾンってすごくフラットなんですよね。(特に最近のものが顕著に)
まるで元から一つの音だったみたいだな、と音源を聞いていてずっと思っていたので、それを生で感じたとき、またぽろぽろと泣いてしまいました。
そうしてアンコールで昨日はやらなかった曲目、fashionableを披露してくれ、オタクぶち上げ。ありがとうございました、本当に。
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えっ、やっぱ美琴でっか……
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ここ手を合わせる振りから始まるので、それを見た時に「シーズが戻ってきた……!!!!!!」になりました。
今思うと、この曲の歌詞もすごく今回の事故を表していますよね。
重ね合わせた 小さい手と手にあの日君は
何を感じてた? 淡い光に何見ていた?
==
重ね合わせた 似ていても違う互いのストーリー
走り続けていく ここが序章に変わるように
あの日、はもちろんさっきまでのこと。別々の場所にいて、違う景色を見ていたふたりが一緒になる曲です。このトラブルを序章として、またここから新しい物語が始まる。
実装タイミング的にはまだ円になってないふたりの曲でしたが、こう、このタイミングで聞くと、やっぱりシーズの第二章のはじまりであることを示唆しているように思いました。
というのは今の段階で歌詞を見たからであって、その時はもう沸き!沸き!ファッショネイボー! フーーー!!! としか思ってませんでしたが。
馴染みの曲を何曲も走り抜けたあとは、MCパート。
今度はもちろん、二人でのMCです。
先陣を切ってくれたにちかさんの、苦しいようななにかがふっと抜けた「あははっ」という笑い声に、「美琴さん!」とまるで小さい子がキラキラしたものを見つけた時みたいな、嬉しそうな響きが、ほんとうにかわいらしかったです。
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でも、きっとそれがもともとのにちかさんだったんですよね。あなたの覚悟を決めた姿もとってもかっこよかったけれど、大好きで信頼している、アイドルの美琴さんとのステージは、ほんとうに楽しそうで私も嬉しかった。
我々のために頑張ってくれて、ほんとうにありがとう。
そして二人きりになったステージで、にちかさんの「おかえりなさい」の声。
さっきはるきさんと羽那さんが言ってる時には言わなかったセリフを、やっと口にしてくれました。
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俯きながらなんですよね。
美琴が帰ってくる場所は、ただの舞台の上ではなくて、シーズの、そして七草にちかさんの隣で立つ舞台。
だからこそだぶるはとは一緒に言わず、ここで伝えてくれたのだと思います。
そして、その言葉を噛み締めるように、ゆっくりと口にした「うん、ただいま」という、美琴の声。
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この時どんな顔をしてたかはにちかさんだけが知るというのもまた……
彼女たちの生きるべき場所を、帰ってくる場所を再確認する言葉に、ぎゅうっと胸が苦しくなりました。
そうして怒涛のアンコールのシーズラッシュ。
美琴……無理してない……?!また倒れない……?!とひやひやしながらも、やはり彼女は立つと決めたらやるプロ意識の塊ですので、そんな心配はもちろん不要でした。
私が大好きな、見えない水をかくような美しいダンスに歌声を披露してくれたし、隣のにちかさんだって、最高のパフォーマンスを見せてくれました。
全部の曲目が終わって、会場が地明かりに包まれた時には、持っていたハンカチがぐしゃぐしゃでした。昨日の夜はあんなに、今日の公演が見たくなかったはずなのに。
今では「この[or;3]公演が現地参加で本当に良かった」と胸を張って言えます。
正直、出演辞退の連絡がきた夜は絶望したし泣いたし怒ったし、まあ散々な気持ちでしたが、
にちかさんのおかげで、彼女の「シーズのパフォーマンスを見せる」という気合いで、私の気持ちは十二分に救われました。
七草にちかさん、私の見たかったシーズを守ってくれて、ほんとうにありがとう。
あなたにとって、アイドルって?
最後にパンフレットのこちらを載せます。
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もうなみちゃんじゃないのね……
にちかさんにとって、今回のライブは、「自分にとってのアイドル」を無くしても、どう舞台の上で「アイドル」で居続けるか。という、新人アイドルにしてはあまりにも苦しい試練でした。
でもその辛さを私たち観客には一切見せず、「楽しい気持ちを届ける偶像」で居続けた彼女は、まさしくアイドルでしょう。
わたしにとってアイドルとは、七草にちかさんと緋田美琴さん、シーズのふたりです。
さらに成長したパフォーマンスを見せてくれるその日まで、ずっと応援しつづけます。
ふたりのことが大好きです!
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