「脱税」と「節税」と「租税回避」の違いとは?
「脱税」という言葉を知らない人はいないでしょう。マスコミなどを賑わす、あれです。
「節税」という言葉も知らない人はいないはずです。
では、「租税回避」という言葉はご存知でしょうか?
言葉は知っているという方でも、これら「脱税」と「節税」と「租税回避」の違いを説明できる方は、かなり少ないと思います。
今回はこれら「脱税」「節税」「租税回避」について、なるべくわかりやすく違いを説明したいと思います。
■脱税とは
まず一番わかりやすい「脱税」から。
脱税とは、違法に税金を減らす行為を指します。
法律違反であることが明らかである、というところが脱税のポイントです。
例えば、売上を減らして申告をして、納税金額を減らした。
これは明らかな脱税ですが、それは本来の売上を少なく申告することが法律違反(違法)だからです。
「脱税」は法律上、「偽りその他不正の行為」という言葉で規定されており、
法人税法や所得税法の規定により、脱税をして刑事事件となった場合は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられることになっています。
ただし、税務調査で脱税が発覚しても、通常は刑事事件になりません。
なぜなら、金額が小さいため、国税が脱税として刑事事件にする労力をかけないためです。
一般的には、税務調査で(あまり多額ではない)脱税が発覚した場合、「重加算税」を課されることがほとんどでしょう。
■節税とは
「節税」とは、法律の許された範囲内(合法)で、納めるべき税金を少なくしようとする行為を指しています。
個人事業主の方は、青色申告をすれば65万円の特別控除がありますので、青色申告を選択すれば節税になります。
また、法人税では数多くの特別償却や税額控除が認められていますが、これらを選択することも、節税といえるでしょう。
特別償却・特別税額控除
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/houji313.htm
<国税庁>
■租税回避とは
さて、ここまでをイメージで表すと、脱税は「黒」で、節税は「白」といえるでしょう。
そうだとすると、最後に解説する「租税回避」は「グレー」といえるでしょう。
まさしく、脱税と節税の間というわけです。
租税回避とは、税法が想定していない手法・形式で
税負担を減少させようとする行為を指しています。
租税回避は課税要件をくぐり抜けるためだけに、通常ではありえない不自然、不合理な取引形態を採用することを指します。
つまり、法の抜け穴を突いて、課税を逃れようとする行為と言えるでしょう。
例えば、下記のような行為は租税回避といえるでしょう。
【租税回避の例】
〇今期、大幅な利益がでる法人がある
〇利益・税金を減らすために、法人が保有する不動産を売却する
〇不動産の帳簿上の価格(簿価)は1億円で
〇損失を計上するために、社長の親族に6,000万円で売却した
〇4,000万円の売却損が計上され、納税額は約1,500万円減った
この例で大事なことは、この法人は何も違法行為をしていない、ということです。
不動産を安く売却してしまえば売却損が計上されますし、法人が社長の親族に不動産を売ってはならない、という法律は存在しません。
しかし、通常は法人が不動産の売却で一方的に損をする取引をあえてすることはないはずです。
上記の例では、あくまでも法人は税金を減らすことを目的にしていて、かつ社長の親族は安く不動産を手に入れることができるのですが、
法人は安く不動産を売却していますので、税金を考えても損をしていることは間違いありません。
租税回避も否認されないかというと、非常に微妙な部分であることは間違いありません。
あくまでも、法律的には正しいことを組み合わせて、不自然な行為をしているわけですから、合法といえば国税も否認できないのですが、否認する方法は例えば、
「同族会社の行為または計算の否認(法人税法132条)」などがあります。
また国税は、グレー(租税回避)の中でも、黒(脱税)に近いものほど、躍起になって否認してきますから注意が必要です。
■最後に
「脱税」「節税」「租税回避」それぞれの意味と違いがお分かりいただけましたでしょうか?
メディアの記事などをよく読むと間違って使用されているケースもよく見かけます。
これらの違いがよくわかると、税金に詳しくなれますので、ぜひ覚えておいてください。
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