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いきなり税務調査に入られる・・・要件ってなに?

税務調査は大きく分けると2種類あります。

1つは、通常行われている税務調査で、事前に「調査に行きますよ」と予告されるものです。

そしてもう1つが「無予告調査」と呼ばれるもので、事前の連絡がなく、いきなり税務署がやってくるものです。

無予告調査については、通常飲食店などの「現金商売」の方々に行われるのですが、実はそうとも限らないのが難しいところです。

国税庁が過去に発表している資料によると、法人の1割、個人事業主の2割が無予告調査の対象となっているようですから、無予告調査の実施確率は、比較的高いものであることがわかります。

さて、無予告調査というのは、税務署がどんな場合でも行うことができるものではありません。

税務署が無予告調査を実施するには、法的な要件が存在します。

まず法律を見ておきましょう。

国税通則法第74条の10(事前通知を要しない場合)
前条第1項の規定にかかわらず、税務署長等が調査の相手方である同条第3項第一号に掲げる納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、同条第1項の規定による通知を要しない。

ここにいう「前条」とは、税務調査の事前通知をすることを規定した法律になります。

つまり、法律では「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には」、事前の予告なく税務調査を行うと規定しているわけです。

この法律だけを読むと意味がわかりにくいと思いますので、わかりやすい表現で規定されているものを引用しましょう。

国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm#a04_7(「その営む事業内容に関する情報」の範囲等)
4-7 法第74条の10に規定する「その営む事業内容に関する情報」には、事業の規模又は取引内容若しくは決済手段などの具体的な営業形態も含まれるが、単に不特定多数の取引先との間において現金決済による取引をしているということのみをもって事前通知を要しない場合に該当するとはいえないことに留意する。(「違法又は不当な行為」の範囲)
4-8 法第74条の10に規定する「違法又は不当な行為」には、事前通知をすることにより、事前通知前に行った違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、事前通知後は、このような行為を行わず、又は、適法な状態を作出することにより、結果として、事前通知後に、違法又は不当な行為を行ったと評価される状態を生じさせる行為が含まれることに留意する。(「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認める場合の例示)
4-9 法第74条の10に規定する「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認める場合とは、例えば、次の(1)から(5)までに掲げるような場合をいう。   (1) 事前通知をすることにより、納税義務者において、法第127条第2号又は同条第3号に掲げる行為を行うことを助長することが合理的に推認される場合。                           (2) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査の実施を困難にすることを意図し逃亡することが合理的に推認される場合。
(3) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造することが合理的に推認される場合。              (4) 事前通知をすることにより、納税義務者において、過去の違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、質問検査等を行う時点において適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出することが合理的に推認される場合。                     (5) 事前通知をすることにより、納税義務者において、その使用人その他の従業者若しくは取引先又はその他の第三者に対し、上記(1)から(4)までに掲げる行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する(強要し、買収し又は共謀することを含む。)ことが合理的に推認される場合。(「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があると認める場合の例示)
4-10 法第74条の10に規定する「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があると認める場合とは、例えば、次の(1)から(3)までに掲げるような場合をいう。                   (1) 事前通知をすることにより、税務代理人以外の第三者が調査立会いを求め、それにより調査の適正な遂行に支障を及ぼすことが合理的に推認される場合。                          (2) 事前通知を行うため相応の努力をして電話等による連絡を行おうとしたものの、応答を拒否され、又は応答がなかった場合。     (3) 事業実態が不明であるため、実地に臨場した上で確認しないと事前通知先が判明しない等、事前通知を行うことが困難な場合。

いかがでしょうか?

上記のとおり、かなり悪いことをしている、もしくはするだろうという見込みがなければ、無予告調査は行わないことになっているのです。

にもかかわらず、税務署は無予告調査を平気で実施してきますので、注意が必要です。

無予告調査に入られた時には、上記の要件のどこに該当するのか、調査官に問いただす必要があります。



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