税務調査に同席する必要はあるのか?
目次
■. 税務調査に同席する意味
■. 税務調査から席を外す際は?
■. 税務調査を受ける場所
■「税務調査に同席する意味
税務調査を受けたことがある方は、経験上実感できるでしょうが、税務調査を受けている最中というのは、意外にも暇なものです。
調査官がパラパラと帳簿をめくっている間、何もすることがないのですから。
たまに飛んでくる質問に回答するだけで、会計処理については税理士が回答するわけですから、1日中税務調査を受けて、しゃべったのはほんの二言三言というのはよくある話です。
そもそも顧問税理士がいるのですから、社長が税務調査に同席する必要がないのでは?
と思う方も多いと思いますが・・・実は、これが正解なのです。
顧問税理士がいれば、税務調査に同席する必要性は、法的にないのです。
そうはいっても、調査官は税務調査で納税者本人の同席を求めてきますし、税理士も最初から最後まで納税者不在で税務調査というのは困るというのも事実です。
これはなぜかというと、調査官は事業の概況などを聞く必要があるからです。
税務調査では調査官もいきなり帳簿をめくり始めるわけではありません。
税務調査を始めるにあたって調査官は、その会社がどうやって成り立ってきたか、業界の動向、今後の方向性などを社長から聞き、それら概況を知ったうえで細かい帳簿等のチェックに入るわけです。
事業の概況というのは、税理士が答えられるものでもなく、やはりこのときに経営者本人が必要になります。逆にいえば、事業概況さえ答えてしまい、調査官が帳簿の確認に移行してしまえば、経営者の同席は不要で、本職である税理士に任せてしまえばいいのです。
社長が同席していないと、税理士も答えられないポイントが出るかもしれませんが、それは後日社長が税理士から聞いて回答すれば何ら問題ありません。
■税務調査から席を外す際は?
社長が税務調査から外れるには、下記のような方法がいいでしょう
(一般的に、税務調査は午前10時から始まることが多いです)。
10時:調査官が来社(税務調査の開始)
その際に「11時から仕事の都合で外出しなければなりませんので、私(社長)に対する質問があれば、今のうちにまとめてしていただけますか?」と調査官に伝えます。
10~11時:事業の概況などを回答する(できるだけ談笑)
11時前後:外出して、あとは税理士に任せる
ちなみに、予定がないのに「予定がある」というのはウソ(虚偽答弁)になりますから、実際に仕事の予定を入れなければなりませんので、そのことだけは気を付けてください。
■税務調査を受ける場所
また、税務調査を受ける場所、というのも考慮されることがあります。
「税務調査は受けなければならないことはわかる、しかし弊社は店なので、調査官が座ったりする場所がないのですが、どう対応すればいいですか?」
店舗ではなくても、「弊社は壁がある会議室・応接室がなく、社内で税務調査を受けると、社員などに声が聞こえてしまう・・・」というのも、同じ悩みです。
確かに、税務調査となったら社長が悩むのは、税務調査を受ける場所の問題です。
会議室が1つしかなければ、そこを占拠されてしまうと、お客様・取引先が来社したときに対応できない、という事態にもなります。
特に店舗を経営されていると、そもそも会議室なんて無いわけで、どこで税務調査を受ければいいのか途方にくれるときもあります。
税務調査を受ける場所は、法律上明確に定めがありません。
ですから法律上は、どこで税務調査を受けてもいいことになります。
しかし、税務調査とは会社の帳簿類を見てもらうことが必要になりますから、実際上は帳簿類を保管している場所=税務調査を受ける場所になります。
しかし、会社で帳簿類を保管しているのだが、会社で税務調査を受けることが実質的にできないような場合には、帳簿類を税理士事務所に移送して、そちらで税務調査を受ける、また帳簿類を持参して税務署で税務調査を受けるということが考えられます。「会社で税務調査を受けることが実質的にできないような場合」とは、具体的に下記のような場合が考えられます。
・会社が店舗で、税務調査を受けるような場所がない
・お客様の出入りが多く、税務調査を見られたくない(飲食店など)
・帳簿類の保管も税理士(事務所)に任せている
調査官も当然ながら、上記のような事情があるのであれば、会社内で絶対に税務調査をしたい、という特別な事情がない限り、場所の変更は受入れてくれるものです。
事情があるなら、申し訳ないと思わずに、きちんと調査官に伝えれば場所の変更などは問題ないのです。
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