◆④ケネディ政策提案:『プライマル・ヘルス』と『プライマルヘルスケア』
プライマル・ヘルス 健康の起源/メディカ出版/ミシェル・オダン
プライマルへルスとは、胎生期から3歳児までの時期に、プライマルアダプティブシステムという一生の健康の基盤である、神経系、内分泌系、などの代謝や遺伝のシステムを構築する時期であり、この時期の過ごし方が大切であるとの概念です。病気がちな一生と、病気とは無縁の人生とを決定する大切な時期の過ごし方に関しての知見が積み上げられています。まとめてください
プライマル・ヘルスとは、胎生期から3歳児までの時期における健康の基盤を形成する重要な概念です。この期間は、プライマル・アダプティブ・システム(P.A.S.)が構築される時期であり、このシステムは神経系や内分泌系などの生理的機能を含みます。これらのシステムが適切に発達することは、一生の健康に大きな影響を与えます。
プライマル・ヘルスの重要性
基礎的要求の充足: プライマル・ピリオド(胎児期から乳幼児期)において、基本的な要求がどれだけ満たされるかが、後の健康状態に影響します。この期間に適切なケアや環境が提供されることが、健康的な人生を送るための基盤となります
神経系と内分泌系の発達: この時期には、視床下部を中心とする神経系や内分泌系が発達し、免疫系とも密接に連携します。これらのシステムが適応し、正常に機能することで、病気への抵抗力が強化されます
ヒトの細菌叢(Microbiome):新生児は母親のマイクロバイオータ―への暴露と母乳に存在するマイクロバイオータ―とその餌であるオリゴ糖によって、小腸に乳酸菌を定着させます。このように、自然の摂理は、人間存在にマイクロバイオーム(細菌やウイルスとの共生システム)を持って、免疫系を構築していくというライフスパンを持っています。
健康への長期的影響: プライマル・ヘルス理論では、この初期段階での経験や環境が、その後の人生で病気に対する脆弱性や健康維持能力を決定づけるとされています。適切な支援と環境が提供されない場合、病気がちな一生を送る可能性が高まります。特に、自然出産と母乳育児の重要性
このように、プライマル・ヘルスは人生全体の健康を左右する重要な時期であり、その過ごし方についての知見は、人間存在の将来の健康を考える上で非常に重要です。
プライマリヘルスケアとプライマルヘルスは同義ではありません。これらは異なる概念を指しています。
プライマリヘルスケア
プライマリヘルスケアは、地域に根ざした基本的な医療サービスを指します
定義: 住民にとって最も身近な地域での、最重要で根本的な健康づくりへの取り組み
特徴:
住民の主体的参加を重視
予防から治療、リハビリテーションまでを包括
地域の医療を担う重要な役割
プライマルヘルス
一方、プライマルヘルスは、胎生期から3歳児までの時期における健康の基盤形成に焦点を当てた概念です。
対象期間: 胎児期から乳幼児期(3歳まで)
焦点: 神経系、内分泌系などの生理的機能の発達
目的: 生涯の健康の基礎を築くこと
主な違い
対象範囲: プライマリヘルスケアは全年齢層を対象とするのに対し、プライマルヘルスは特定の発達段階に焦点を当てています。
アプローチ: プライマリヘルスケアは地域全体の健康増進を目指すのに対し、プライマルヘルスは個人の初期発達段階における健康基盤の形成に重点を置いています。
実施場所: プライマリヘルスケアは主に地域の医療機関で行われますが
したがって、プライマリヘルスケアとプライマルヘルスは、健康に関する重要な概念ですが、その焦点、対象、アプローチが異なる別個の概念であると言えます。
アルマ・アタ宣言の具体的な内容は
アルマ・アタ宣言は、1978年にカザフスタンのアルマ・アタで開催された国際会議で採択されたもので、プライマリヘルスケア(PHC)の重要性を強調し、すべての人々に健康を提供することを目指した国際的な宣言です。以下はその具体的な内容です:
宣言の主な内容
健康の定義と基本的人権:
健康は身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病がない状態ではないと定義されました
健康は基本的人権であり、可能な限り高い健康水準を達成することが重要な社会目標であると再確認されました
公平性と不平等の是正:
先進国と開発途上国の間の健康に関する不平等が強調され、それが政治的、社会的、経済的に容認できないものであるとされました
すべての国がこの不平等を是正するために共通の関心を持つべきであると述べられています
経済・社会開発との関連:
経済・社会開発がすべての人々の健康を達成するために必要不可欠であり、健康の増進は持続可能な発展と世界平和に貢献すると宣言されています
住民参加の重要性:
人々は自らの保健医療の計画と実施に参加する権利と義務を有すると明記されています
国家の役割:
国家は充分な健康と社会保障を提供する役割を持ち、WHOによる「すべての人々に健康を」(Health For All) イニシアティブへの参加を求められています
アルマ・アタ宣言は、このような理念を掲げることで、各国がプライマリヘルスケアを推進し、世界中の人々が基本的な健康サービスにアクセスできるよう取り組むことを目指しています。
アルマ・アタ宣言 – Declaration of Alma Ata (日本WHO協会訳)
宣言 I
この会議で、私たちは以下のことがらを再認識しました。
健康とは肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあるということ。それは単に病気ではないとか、弱っていないということにとどまらず、基本的人権のひとつであるということ。可能な限り高い水準の健康状態を実現することは世界全体の最も重要な社会目標であるということ。
そしてその実現には、保健医療分野のみならず、他の多くの社会的・経済的分野からの働きかけが必要であるということ。
II
特に先進国と途上国の間で、人々の健康状態に著しい不平等が存在することは、国内における不平等同様に、政治的、社会的、経済的に受け入れがたいことであり、それゆえに、すべての国の共通の関心事なのです。
III
「新国際経済秩序」に基づく経済と社会の開発は、すべての人の健康を最大限に実現し、途上国と先進国の健康状態の格差を縮小するうえで基本的に重要なことです。人々の健康を増進し、守っていくことは、持続的な経済と社会の発展に不可欠であるとともに、より良い生活の質と世界平和に貢献することです。
IV
人々は皆、自分自身の健康管理の計画や実現に、個人および集団として、参加する権利を持ち、また責務を負っています。
V
各国の政府は、そこに暮らす住民の健康に責任を負っています。そしてその責任は、適切な健康および社会政策によってのみ達成可能です。
これからの数十年間のうちに、各国政府、国際機関そして全世界の社会が目指すべき社会的目標の一つは西暦2000年までに、すべての人々が社会的にも経済的にも実りある人生を送ることが可能となる健康水準を達成することです。
社会的正義の理念を促進する一環として、プライマリヘルスケアは、この目標を達成するための鍵なのです。
VI
プライマリヘルスケアは、実用的で、科学的に有効でかつ社会的に受容できる方法や技術に基づいた必要不可欠な保健医療ケアです。自立と自決の精神に則り、その発展の度合いに応じ地域社会や国が負担できる費用の範囲内で、地域内の個人や家族があまねく享受できるよう、十分な住民参加のもとで実施されるものです。
プライマリヘルスケアは、国家の保健医療システムの中心的機能と主要部分を構成しますが、保健医療システムだけでなく、地域社会の全体的な社会経済開発の一部でもあります。プライマリヘルスケアは、国家保健医療システムと個人、家族、地域社会とが最初に接するレベルです。人々が生活し労働する場所にできるかぎり近接して保健医療ケアを持ち込み、継続的な保健医療活動の過程の第一段階を構成しています。
VII
プライマリヘルスケアは:
1. 国や地域社会の経済状況や社会文化的、政治的特徴を反映しながら進化し、社会的、生物医学的、保健医療の研究成果と公衆衛生上の経験の応用に基づいています。
2. 地域社会の主要な健康問題に取り組み、必要に応じて健康増進、予防、治療、リハビリテーションの保健医療サービスを提供します。
3. 少なくとも次のようなことが含まれます。蔓延する健康問題とその予防や対策に関する教育。食糧供給と適切な栄養の促進。安全な水の十分な供給と基本的な衛生。家族計画を含む母子保健ケア。主要な感染症に対する予防接種。地域で流行している感染症の予防と対策。日常的な疾患と外傷の適切な治療。そして必須医薬品の供給です。
4. 保健領域だけでなく、関連するすべての分野が協働し、国と地域社会を発展させる視点が必要です。とりわけ、農業、畜産、食糧、工業、教育、住居、公共事業、通信やその他の分野、これらすべての部門の協働が必要となります。
5. 個人と地域社会ができる限り自立し、その上で計画立案、組織化、運営および管理への参加を必要とします。プライマリヘルスケアは地域社会や国などあらゆる利用できる資源を最大限に活用します。この目的に向け、適切な教育を通じて地域社会が参画する能力を向上させるのです。
6. プライマリヘルスケアを維持するためには、統合され、機能的で相互に協力しあう医療機関との紹介システムが必要です。その連携はすべての人々への包括的な保健医療ケアの目覚ましい改善をもたらすとともに、最もケアを必要とする人々を優先的に対応します。
7. 地域および照会先医療機関において、医師、看護師、助産師、医療助手などの医療従事者が必要です。そして、活用できる場合はコミュニティワーカー、必要に応じて伝統医療者に頼ることもあります。このような人々が保健医療チームとして働き、地域社会の健康課題に対応できるよう、社会的、技術的な研修を受けていることが望まれます。
VIII
すべての政府は、包括的な国家保健システムの一環として、他分野との協調のもとで、プライマリヘルスケアを開始し維持するために国の政策、戦略、活動計画を策定しなければなりません。この目標に向けて、政治の力を行使し、国の資源を集結し、利用できる外部資源を合理的に活用することが求められます。
IX
すべての国はパートナーシップの精神に則って互いに協力し、すべての人々にプライマリヘルスケアが確実に行きわたるよう、貢献しなければなりません。一つの国の人々自身によって健康が達成されれば、他のすべての国に直接的な関心を呼び起こし、恩恵をもたらすからです。
以上の趣旨から、WHO/ユニセフのプライマリヘルスケアに関する共同報告書は、世界中のプライマリヘルスケアの更なる発展と実践の確固とした基盤になるものです。
X.
2000年までに、世界のすべての人々の健康水準を引き上げることは、現時点で軍備と軍事紛争のために大部分が使われている世界の資源を十分に活用することで達成できます。
独立、平和、緊張緩和、軍縮などの真摯な政策はそのための資源を生み出します。そのためのプライマリヘルスケアは平和的目的を必須として、社会経済的発展に向けて促進し、適正に資源を配分しなければなりません。
プライマリヘルスケアに関する国際会議では、特に技術協力の精神と「新国際経済秩序」に基づき、世界全体とりわけ途上国において、プライマリヘルスケアを開発し実施するための緊急かつ効果的な国内外での行動を呼びかけます。
また、各国政府、WHO、ユニセフ、その他の国際機関、そして多国間および二国間援助機関、非政府組織、資金提供機関、すべての保健医療従事者、そして国際社会全体が、プライマリヘルスケアに対する国内および国際的な公約を支援し、とくに途上国において技術的および財政的支援の道筋をつけることを強く求めます。
本会議は、ここで述べた諸機関のすべてがこの宣言の精神と内容に則って、プライマリヘルスケアの導入、発展そして維持のために協働することを求めます。
▼ プライマリ・ヘルス・ケアとは?
すべての人にとって健康が基本的人権であることを認め、可能な限り高い水準の健康状態を実現させる保健医療ケアのこと
プライマリヘルスケアの特徴としては、痛みや苦しみの軽減を望んでいる人が、たやすくサービスを受けることができることにあります。人の健康を基本として健康を達成する過程における主体的な参加や自己決定権を保障する理念が掲げられております。
プライマリ・ヘルス・ケア(以下、PHC)は、1978年にカザフスタンで開かれた世界保健機関と国際連合児童基金による合同会議における宣言文「アルマ・アタ宣言」で初めて定義づけられました。
PHCは以下の実施上の5原則(あるいは4原則)と8つの具体的活動項目として挙げられております。
☆★ PHCの5原則 ★☆
住民のニーズに基づく方策
地域資源の有効活用
住民参加
他のセクター(農業、教育、通信、建設、水など)との協調および統合
適正技術の使用(2に含めることもある)
☆★ PHCの具体的な活動項目 ★☆
健康教育(ヘルス・プロモーション)
食料確保と適切な栄養
安全な飲み水と基本的な環境衛生
母子保健(家族計画を含む)
主要な感染症への予防接種
地方風土病への対策
簡単な病気や怪我の治療
必須医薬品の供給
腸内細菌叢に好気性細菌と嫌気性細菌のバランスにおける特有のpHとの関連性に関する論文はありますか?
腸内細菌叢における好気性細菌と嫌気性細菌のバランスに関連するpHについての情報が含まれる論文があります。以下に関連する内容を紹介します。
腸内細菌叢とSCFA(短鎖脂肪酸): 腸内細菌叢が産生する短鎖脂肪酸(SCFA)は、腸管のpHを低下させることで、腸内環境を弱酸性に保つ役割を果たします。これにより、有害な細菌の増殖が抑制され、SCFA産生菌の相対存在量が増加し、腸内環境が良好に保たれます
有機酸と細菌代謝: 非解離型の有機酸(酢酸や酪酸)は悪玉菌内に取り込まれて解離し、細菌の代謝を阻害します。細菌はエネルギーを費やしてH+を排除し、正常なpHに戻そうとします。このプロセスは腸内細菌叢の構成に影響を与え、エネルギー平衡において重要な因子となります
これらの研究は、腸内細菌叢のpH調節が微生物群集のバランスにどのように影響するかを示しており、特に嫌気性細菌と好気性細菌のバランスにも関連しています。
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#アンネの法則の山下安音です。私のライフワークは、平和学研究とピースメディア。VISGOのプロデューサーに就任により、完全成果報酬型の教育コンテンツと電子出版に、専念することになりました。udmyとVISGOへ動画教育コンテンで、世界を変える。SDGs3,4の実現に向けて一歩一歩