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読むSOZO KOTOTOI RADIO #11 森博嗣著「すべてがFになる」 から想像トーク!

毎週木曜AM7:00に更新中の音声コンテンツ「SOZO KOTOTOI RADIO」。このラジオの公式note担当、本間海鳴と申します。こちらのnoteでは、更新されるラジオの要約と、ラジオを聴きながら私が考えたことや想像したことなどを文章の形でお送り致します!

このラジオでは、毎週本の一節を紹介し、そこから着想を得て想像・妄想した、 未来の社会や人の価値観の変化などを超主観トークでお届けしています。

ラジオパーソナリティはオリジナルミュージカルを制作・興行する株式会社Protopia代表の水島さんとアシスタントのわかなまちゃんです。

それでは、第11回の内容も振り返っていきましょう!


今回の一節📗

第11回で取り上げられたのは、森博嗣著「すべてがFになる」からこの一節。

「日本では一緒に遊ぶとき、『混ぜてくれ』って言いますよね」

森博嗣著「すべてがFになる」

1998年出版とは思えない、リアルなVRダイブの描写が魅力的なSFミステリ小説『すべてがFになる』。今回は、この小説から取られた一文を紹介しています。ここからどんなストーリーアイデアが生まれていくのでしょうか?

第11回目のトーク内容💭

ラジオはまず、今回の一文の続きを紹介するところから始まります。

「『混ぜる』という動詞は英語では『Mix(ミックス)』です。これは元々、液体を一緒にするときの言葉です。外国、特に欧米では、人間は仲間に入れてほしい時『Join(ジョイン)』するんです。混ざるのではなく、繋がるだけ。
つまり日本は液体の社会で、欧米は個体の社会なんですよ。日本人って、個人が『Liquid(リキッド)』なのです。流動的で渾然一体になりたいという欲求を社会本能的に持っている。
欧米では個人は『Solid(ソリッド)』だから、決して混ざりません。」

森博嗣著「すべてがFになる」

「なるほど、確かに!」と気付かされる文章ですよね。

日本人は「一つになりたい、混ざり合いたい」という欲求があり、『協調性』を非常に重視しています。
自分勝手な言動をせず、周囲の人に配慮した行動を取る。そんな考えが国民全体に行き渡っているので、日本は「世界一安全な国」と言われるようになったのかもしれません。

しかし、『協調性を重視する』という日本人の性質は良いことばかりではありません。
ラジオの中では、「日本が自殺大国になってしまった理由には、この『協調性を重視する』性質も関係しているのではないか」と話が進んでいきます。

協調性を重視する社会では、人と『混ざる』、つまり『一緒である』ことが求められてしまいます。
しかし、人と一緒であることを重視しすぎると、他人の評価が気になるようになってしまいます。他人の評価ばかりを気にしていると、周りの意見に翻弄され、「人から評価されない自分はダメな人間なんだ」「価値の無い人間なんだ」と思うようになるかもしれません。だんだんと苦しくなり、『失感情症』になって何も感じなくなってしまったり、場合によっては自ら命を絶ってしまう可能性もあります。

協調性を重視した日本人の性質は、行き過ぎると危険なのではないか、とトークは進みます。『協調性を重視しすぎない』大切さを伝えるために私たちができることは何か、という考えの末、一つのストーリーアイデアが生まれました。

仮タイトルは『リサとりさ』。
周りに上手く合わせられないことが悩みの高校生女子「りさ」が、同じ名前を持つ転校生「リサ」と出会うことから物語は始まります。りさはリサに「周りのみんなが全員同じ考えだったら暮らしやすいのに」と悩みを打ち明け、リサもそれに共感。りさとリサはその日から、日常の言動がシンクロするようになっていきます。
りさとリサから始まった『意見のシンクロ』は、だんだんとクラスメイトも巻き込んでいき、最終的には恋の相手まで『シンクロ』するように。りさは自分の個性や、人と違うことの大切さについて考え直すことになるのです。

この物語の結論部分はまだ未定ですが、最終的には『個性』を認め合い、協調性を重視しすぎないことを伝えるハッピーエンドにできたらいいな、と考えています。この物語の結末を思いついた方は、ぜひお便りを送ってくださいね!

日本人の長所でもあり短所でもある『協調性の重視』。混ざり合うだけではなく、時には自分らしさを優先することも大切なのかもしれませんね。

本間の感想🤔

今回の内容もとっても濃くて面白かったです!
紹介された一節がすごく興味深かったですね。「混ぜて」っていうの、日本人だけなんだ……。

協調性が行き過ぎて『混ざり合』ってしまうことは、何度か経験したことがある気がします。私は小さい頃から特に「みんなと一緒でいたい」「仲間外れになりたくない」という気持ちが強いタイプでした。そのせいか、もう既に私は『私』ではないんじゃないかと思っています。
私には、歩いたり軽く走ったりするとき、左腕は体にぴったりつけて右腕だけを振る癖があります。これは小学生の頃仲良くしていた友達の癖です。平仮名を書くとき、わざと『はね』を大きくするのは、中学生の頃の友達が書いていたギャル文字の真似。笑うときわざと低い声にするのは、高校生の頃に見ていた配信者の影響です。

こうやって見てみると、ふとした瞬間に出る癖ですら、私オリジナルのものではないことが分かります。私は関わる人みんなと混ざり合って、『今まで関わった人の断片の集合体』でしかない存在になってしまっているわけです。

でも今のところ、この『集合体』の存在で不自由を感じたことはあまりありません。自分の意見を求められても、「自分の意見っぽい平均の意見」を言って全部やり過ごしてきました。

もし自分が不自由を感じるとしたら、それはいつなんだろう。
今回のラジオのストーリーアイデア『リサとりさ』にも取り上げられていましたが、恋愛は一つの大きな分岐点になるのかもしれません。私自身『私』のことをよく分かっていないのに、誰かに「あなたが好きです」と言われたら混乱するような気がします。お前は私の何を知ってるんだ。私も私のことを知らないのに。

もし、相手も「自分のことがよく分からない」という人だったらどうだろう。「そんな人が誰かを好きになる余裕があるのか」というツッコミは置いといて、そんな人とだったら上手くやっていけるかもしれません。お互いに「混ざって分からなくなってしまった自分」を探すために、やったことないことに全部挑戦してみるデートをしたりしてね。結果的に見つけた好きな物の趣味が全然合わなかったりしたら、カップルとしては別れるかもしれない。でも、自分探しの戦友として、いい友達ではいられるんじゃないだろうか。
こういう物語があったら、見る人はどう思うでしょうか。恋愛経験ゼロの人間が考えた綺麗ごとに過ぎないでしょうかね……?

皆さんは、協調性と上手く付き合えていますか?

↓↓第11回目の本編はこちらからお聞きになれます↓↓

タイトルにもなっている「KOTOTOI(言問)」には、「共に語ること」という意味があります。このラジオを通して、パーソナリティであるお二人の想像・妄想を広く知ってもらうこと、そして、リスナーの想像・妄想も広げ、色々な意見や考えを互いに知ることを目的としています。誰かの妄想から着想を得て、自分の想像力をどんどん豊かにしていくのが「KOTOTOIラジオ」の目指すところらしいです。

聴いた人の想像力も刺激し、新たな考え方を取り込むことができる「SOZO KOTOTOI RADIO」。本編ラジオも、noteも、どうぞよろしくお願いいたします。ぜひ皆さんの想像・妄想もお聞かせください!

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