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読むSOZO KOTOTOI RADIO #4:上田岳弘著「ニムロッド」から、想像トーク!

毎週木曜AM7:00に更新中の音声コンテンツ「SOZO KOTOTOI RADIO」。このラジオの公式note担当、本間海鳴と申します。こちらのnoteでは、更新されるラジオの要約と、ラジオを聴きながら私が考えたことや想像したことなどを文章の形でお送り致します!

このラジオでは、毎週本の一節を紹介し、そこから着想を得て想像・妄想した、 未来の社会や人の価値観の変化などを超主観トークでお届けしています。

ラジオパーソナリティはオリジナルミュージカルを制作・興行する株式会社Protopia代表の水島さんとアシスタントのわかなまちゃんです。

それでは、第四回の内容も振り返っていきましょう!

今回の一節📗

第四回で取り上げられたのは、上田岳弘著「ニムロッド」からこの一節。

「優しい世界、世界はどんどん優しくなっていく。差別も減っていく。出自の差だって、能力の差だって、そのうちに大した意味を持たなくなる。どんな人も、『それはそれでありじゃない?』と優しく認められる」

上田岳弘著「ニムロッド」

今回の本は、第160回芥川賞受賞作品「ニムロッド」。「あらゆるものが情報化する不憫な社会をどう生きるか」を問う小説からの一節です。
多様性を認める社会を目指している今、この文章は魅力的なゴールのように見えますが……この一文から、どんな妄想が広がっていくのでしょうか?

第四回目のトーク内容💭

紹介された一文は、「全部の問題が解決した素晴らしい世界」という意味ではなく、「個人に無関心な世界」を意味しているようです。
理由があって「いいよ」と認めたわけではなく、社会の考えに流されて言ってしまう「いいよ」。それをラジオ内では『社会的いいよ』と呼んでいます。

みんなが良いと言っていることに、違和感を持つ人もいるはずです。そんな人は、持っている考えを納得するまで話し合う場所が必要かもしれません。
そんな妄想から生まれたストーリーアイデアが、『価値観クリニック』。例えば、仕事を一生懸命頑張ってきた男性がそこにやってきます。自分は仕事ができる、と思っていたのに、自分が目指していた管理職を女性に「盗られて」しまいます。男女平等社会とはいえ、なぜ自分は管理職になれなかったのか。社会との価値観の違いに悩んだ主人公が対話しつつ、自分の納得できる答えを見出す場所が『価値観クリニック』です。

主人公の男性が持っている「仕事ができる」という概念自体、これまでの長い男性社会の中で形成されてきたもの。でもこれから先、女性の感覚が積極的に取り入れられていけば、私たちが思い浮かべている「仕事ができる」という判断軸そのものが見直される可能性があります。先の例であげた男性はこういったことを対話するうちに、自分の価値観に変化が現れるかも知れません。

一方で、現在の『社会的いいよ』がそもそも間違っているかもしれないと言うパターンもあります。『価値観クリニック』では、今の価値観を曲げちゃダメだよ、という診断がされることもあるかも。

なんとなく『社会的いいよ』に乗っかるのではなく、自分で自分の意見をきちんと持つこと。一番大事なことを、優しくなった世界では忘れてしまうかもしれません。『価値観クリニック』の物語が実際にミュージカルの形で残ったら、未来の人たちは何を考えるんでしょうか?

本間の感想🤔

今回も、自分の思っている「当たり前」を考え直すきっかけになるような、面白いラジオでした!

『社会的いいよ』に流されず、自分の意見をしっかり持つ。これって、できているように思えて案外できてないことだなと。ラジオ内で言われていた男女平等についても、私自身よく分からないまま支持していた気がします。なんか、みんな言ってるし。社会がそうしたいなら、そうしたらいいんじゃないですかね?みたいな。典型的な『無関心』ですね。でも、こんな風に無関心でいると、社会の変化にどんどん置いてかれてしまうんですよ。時代の移り変わりって、どんどん早くなってるので。時代遅れな人にならないためにも、自分の意見にはちゃんと理由を見つけておきたいなと考えさせられました。

何もかもが認められる優しい世界が来たら、みんなどうやって生きていくんでしょう? 私、無理かも。みんなが優しい世界は、怖い。
何もかもが認められてしまうということは、どんな夢でも叶えられてしまうということですよね。「○○になりたい!」と言ったら、それがどんなに自分に向いてないことが明らかでも、「いいんじゃない、やってみなよ、応援してるよ」ってみんなが言ってくれる。だから突き進む。もし何かの夢を応援されるがままに頑張って、取り返しがつかないくらい大失敗したとしても、誰も責任を取ってくれない。分かってたはずなのに、誰も止めてくれない。

そんな世界では、何をすれば本当に人が喜んでくれるのかが分からない。ので、生きていく理由が分からない。私はとにかく誰かに喜んでほしくて、もっと言えば世界に喜んでほしくて生きているのに、それが全く報われない世界は怖くて仕方がないなと思いました。
でも、もうすでに、日本はこの「優しい世界」になりかけてません? 何もかもに優しくて、何もかもを尊重しようとして、結果がんじがらめになってる気がする。不器用なのになんでも仕事を押し付けられて、断れないイエスマンみたいな世界だなと思ってしまうのです。一個ずつ、ちゃんと解決していけたら、生きてる人もみんなゆっくり順応していけると思うけどなぁ。時代の流れが速すぎて疲れた現代人には、『社会的いいよ』に乗っかって流される体力しか残されていないのかもしれませんね。

皆さんが想像する「優しい世界」では、何が起きていますか?

↓↓第四回目の本編はこちらからお聞きになれます↓↓

タイトルにもなっている「KOTOTOI(言問)」には、「共に語ること」という意味があります。このラジオを通して、パーソナリティであるお二人の想像・妄想を広く知ってもらうこと、そして、リスナーの想像・妄想も広げ、色々な意見や考えを互いに知ることを目的としています。誰かの妄想から着想を得て、自分の想像力をどんどん豊かにしていくのが「KOTOTOIラジオ」の目指すところらしいです。

聴いた人の想像力も刺激し、新たな考え方を取り込むことができる「SOZO KOTOTOI RADIO」。本編ラジオも、noteも、どうぞよろしくお願いいたします。ぜひ皆さんの想像・妄想もお聞かせください!

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