0421 - 手を振るおじさん
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よく車で通る道に、2ヶ月くらい前から謎のおじさんが現れた。
交通量の多いメイン街道から一本入った「地元の人が抜け道として利用する」タイプの道。そこに午前中(特に9〜11時の間ならほぼ確実に)立っている1人のおじさん。
おじさんと言っても、よく見ると還暦を超えていておじいさんかもしれない風貌。冬ということもあり、ニット帽を被り、手袋をして、分厚いダウンを羽織っている。
何をしているのかと言うと、歩道に立ち、道ゆく車に向かってひたすら笑顔で手を振っている。ただそれだけだ。
僕の進行方向とは逆サイドの歩道にいるし、メイン街道ではないとはいえ常にそこそこな交通量のある道。道路脇に車を停めて話しかけたいが、自分の興味本位のために他の車の通行に迷惑をかけてしまうのは、さすがによろしくない。
おじさんは何者なのか。何のために手を振っているのか。とても気にはなるが、謎は謎のままでもいいんじゃないかとも思っている。
ひとまず今は「この道を通ると笑顔で手を振ってくれるおじさんがいる」という現実と「それを目にするとなんだか元気が出る自分がいる」という事実がある。それだけで充分だ。
これからも、見かけたらこちらも手を振り返すという、ささやかなコミュニケーションを続けていきたい。
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