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0201 - ドライブインシアター
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先日、地元(静岡県磐田市)で開催されたドライブインシアターを体験してみた。
会場は福田港「渚の交流館」にある広場。夜の海辺で映画「SING」を鑑賞。マイカーに乗りながらなので、好きにリクライニングできるし、周りに遠慮することなく飲み食いしながら楽しめる。スクリーンまで少し距離があるので正直「迫力の大画面」とはいかないが、昨今はスマホで映像を楽しむことも多いので全く違和感無し。周囲が暗いこともあり、むしろ予想以上の没入度。窓を程良く開ければ涼しい風も入って、とても快適な環境で驚いた。
音声はFMラジオの電波に乗せるという、分かる人向けに書くと平沢進のLIVE SOLAR RAY方式。
てっきり遠くに設置された巨大なスピーカーから流れる音を窓を開けて聴くのかと思っていて、その場合は「声が篭って聴き取れない」「車の場所によって聴き取りやすさに大きな差が出る」など懸念点が多いなと感じていたが、取り越し苦労に終わった。「SING」はミュージカル調の作品で歌のシーンが多いのだが、クリアな音声でストレス無く楽しめた。
車なので場内整理が大変だと思うが、入場はもとより、退場時のエスコートがとてもスムーズで、こちらもストレスなく帰宅できて大満足。実行委員会の皆さんによる見事なる連携あっての素敵な空間と時間を堪能できて真面目に感動した。事前に相当綿密な下調べと計画を行ったのだろう。ただただ尊敬。
今回は新型コロナ感染防止の中で楽しめることとして企画されたようで、事前案内では「トイレも済ませてきてね」「飲食の販売はありません」とお知らせされていた。ソーシャルディスタンスを徹底するからこそのドライブインシアターという点は充分に理解できるが、欲を言えば、地元飲食店のお弁当販売があれば更に嬉しかったなー。そうなると仕出しの免許を持った「お弁当販売可能」な飲食店しか参加できなくて、テイクアウトで頑張る飲食店を切り捨ててしまうといった事情があったのかもしれない。あくまで僕予想。
ともあれ、なかなか味わえない体験をさせてもらえて嬉しい限り。劇場に行く、スマホやタブレットで視聴する、そのどちらとも大きく異なる「非日常的」なスタイルで映画が楽しめてとても良かった。また機会があればぜひ参加してみたい。
以下、地元(静岡県の磐田・袋井)の人向けな余談。
70歳を越えるウチの父の話によると、かなり昔(まだ家にビデオデッキも普及せず、袋井や磐田にも町の小さな映画館があるような時代)、磐田グランドホテルのすぐ南。現在の遠鉄バスの発着場のあたりでドライブインシアター形式で映画が観られたとのこと。
お金を払って入場してマイカーに乗ったまま映画鑑賞。気軽に寄れることもあり一時期は家族連れやカップルの車でとても賑わっていたそうだ。やがて時代の流れもあって客足は減る一方。閉店する直前の末期には、とうとうアダルト作品を流すようになってしまったらしい。屋外のスクリーンに堂々とアダルト作品を流していたということ自体に驚くが、客足は伸びるどころか、むしろ逆効果で激減。
屋外でアダルト作品を見ることが恥ずかしくて客足が遠のいたのかと思いきや、そうではない。まだネットどころかビデオすら普及していない時代。むしろ「遠くから覗く人」が大勢群がっていたらしい。通常の映画と違って「音声を聴くこと」が必須にならないので、お金払って会場に入らなくてもそれなりに楽しめてしまうことが仇となり、ドライブインシアターの営業にトドメを刺してしまったようだ。
そんな四方山はさておき。
車社会な地域におけるソーシャルディスタンスでの楽しみ方として、ドライブインシアターのような仕組みはとても相性が良いなと感じた。シアターはもとより、ドライブインLIVE鑑賞、広場に車を停めて飲食店の提供する料理をマイカーに乗ったまま楽しめるドライブインレストランなども開催できたら楽しいだろう。