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0203 - かっこよすぎる店長さんの話(前半)
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今でもドラマーとして音楽活動を続けているのだが、ここ数年で最も出演させて頂いている(お世話になっている)ライブハウスは、東京の四谷アウトブレイクさん。
ここの佐藤店長がとにかく素敵なナイスガイなのだ。常に「バンドマン、お客さん、ライブハウス」が三位一体となって「みんなが楽しめること」且つ「アウトブレイクだからこそできること」を模索してガシガシとカタチにしているアイデアマン。
例えば、佐藤店長の突拍子ないアイデアの軌跡の一部を紹介すると。
【トイレ工事ギグ】
ライブハウスといえばトイレがボロくて汚いイメージが持たれがちなので、それならいっそ最新型のトイレにリフォームしようじゃないかと、クラウドファンディングで募金したところ見事に目標金額達成。それだけでも充分に話題性があるが、業者がトイレ工事を行う時間帯に、あえてノイズバンドのライブを組み込み「ノイズバンド vs トイレ工事」という、この時でなければ体験できないイベントを開催。もちろん、都内ライブハウスシーンにて伝説のイベントとして語り継がれているのは言うまでもない。
【献血ギグ】
日本赤十字社とタッグを組み「献血ギグ」と題したイベントを毎年開催している。輸血用の血液は保存がきかないので定期的な献血が重要という啓蒙活動を兼ねたものなのだが、イベント当日はライブハウスの目の前に献血車がドーンと鎮座。献血に協力した人は無料でイベント入場できるという素敵な仕組み。お客さんはもとより、意外なことに(?)出演するバンドマンも積極的に協力することもあり、開催する度に「新宿区内での1日で集まった血液の量」の記録を更新している。
【ヒッチハイクギグ】
その日のイベントに出演するバンド(アーティスト)が東京を朝に出発し電車に乗って関東のはずれへ移動する。夜のイベント出演に間に合うように、そこから各自ヒッチハイクで東京を目指すという「何のために?」という疑問が拭えない怪イベント。ヒッチハイクで東京へ向かう様子は随時Twitterで報告されるため、お客さんは昼間から情報を追いかけつつ、夜はライブハウスで各バンドが到着するのをドキドキしながら待つ。無事にゴールできたバンドはそのままステージでライブ開始。お客さんは「おめでとう」の気持ちを込めて大盛り上がりで祝福。ライブイベントに電波少年的な要素を融合させることに見事に成功している。
【一週間住み込みギグ】
毎回1組のバンドがライブハウスに一週間住み込みで毎日ライブを行うという狂い咲きイベント。銭湯や買い物での軽い外出は許されているが、寝泊まりも含めて基本的にずっとライブハウスで過ごす。毎日ライブを行い、その日の反省点や翌日への意気込みを随時SNSやブログでバンドが発信。一週間での苦悩と成長を見守りながら応援する。感情移入しやすい仕組みということもあってか、毎回、この住み込みギグを行ったバンドにはお客さんがグンと増えるそうだ。
他にも
・複数バンドが出演するイベントで、なるべく早い時間からお客さんに来てほしいということで、ライブハウスでは珍しい「ドリンク飲み放題」の日を毎週設けて「早く来るほどお得ですよ」として集客に繋げたり。
・ライブハウスのお酒は美味しくないという定説を覆すため、キンミヤをはじめ地方の限定モノなど「間違いのない銘柄」のお酒を積極的に仕入れて提供して好評を得たり。
・金魚の醤油差しに少量のテキーラを入れて、50円で気軽に酔える「テキーラ金魚」なる提供方法を発明。それが大手チェーン「串カツ田中」に真似されて一波乱あったり。
まだまだ挙げればキリがないのだが、とにかく佐藤店長はアイデアが豊富。そして実行力に長けている。思いついたら即実行。それなりに失敗したりお叱りを受けることも多いようだが、「できるようになってからやってみる」ではなく「できるようになるためにやってみる」という、典型的な「前例が無いからこそやってみようよ」タイプの人間だ。もちろん、バンドマンからの信頼も厚い。分厚い。ど分厚い。
この佐藤店長の「とにかくやってみようよ精神」が、コロナ禍によってライブハウスが大打撃を受ける中スパークしたのだが、その話は次回に。