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0142 - ガタガタと震える車

t= 6 d= 4

実家で食料品の買い物を頼まれたので、少し年季の入った軽自動車を借りて出かけることにした。

エンジンをかけて出発したのだが、直後から妙な違和感を覚えた。車体が妙にカタカタと震えるのだ。

あれ、どうしたんだろ。エンジンの調子が悪いのかな。ここ最近は燃費の良い新しめで静かな車を運転しており、それに慣れてしまっただけで、古めの車はこんな感じだったかな。

いろいろと考えがよぎったが、ひとまず気にせず走り続けた。だが、走れば走るほどカタカタとした震えは大きくなる一方。

カタカタカタカタガタガタガタガタグァタグァタグァタグァタグァダググァダグァダグァダグァダガダガダガダガダガダ・・・・

震度はグングン増していく。舗装された一般道でこの振動の大きさは絶対におかしい。少し先に見えたパチンコ店の駐車場に入り車を停めエンジンを切る。

1〜2分ほど待った後、再びエンジンをかけてみる。普通にかかる。この時点では特に異常は感じられない。あれ、さっきはエンジンの「ふかし」が悪いまま走り出していたのだろうか。ま、いっか。何事も無く元通りになったのなら良かった良かった。

気を取り直してアクセルを踏んだ。車が動いた・・・すると

ガタガタガタガタガタガタ!

やはり震える。何事も無くない。元通りになってない。良かった良かったでは全くない。何かがおかしい何かが。再び停車してエンジンを切る。

スマホであれこれ調べてみる。車が振動する場合の原因として考えるのは『エンジン』もしくは『タイヤ(またはタイヤホイール)』だそうだ。なるほど。車を降りて調べてみよう。

運転席のドアを開け、外に出た瞬間、この怪現象の正体が判明した。

右後ろのタイヤが明らかにパンクしていて空気が抜けていたのだ。しかもなかなかのペチャンコぶり。そりゃ走っていてガタガタと震えるわけだ。

原因はハッキリと判った。さて、ここからどうしよう。

自分所有の車ではないため、自動車保険のロードサービスなどで何か利用できるものはないかを確認するため家族に電話をかけてみる。

こういう時に限ってなぜか誰も出ない。

仕方がない。ではでは、地図で最も近いガソリンスタンドを調べてみる。そう遠くない場所に1ヶ所発見。電話をして事情を説明する。

「ゆっくりでも走って来られそうですか?もう無理そうな感じですか?」

たぶん距離的に大丈夫だろうと思い『ゆっくり走って向かう』と返答。人って不思議なもので、気づかないうちは平気で走れたのに、原因を知った途端、全力で慎重な運転を心がける。

スピードを出すのは危険(というか振動が激しくて無理)なので、極力ゆっくり走りたいのだが、自分がノロノロと走っているせいで後ろに車がつかえてしまうのは忍びない。申し訳ないなと思いつつ、なるべく『鈍感』になろうと意識してパチンコ店の駐車場を出発した。

とてもラッキーだったのは、教習所の車が立て続けにやってきて、そのすぐ後ろを走れたこと。目の前に教習所の車がいるからノロノロと進まざるを得ないのだ、と思うだけで随分と楽な気持ちで走ることができた。

無事にガソリンスタンドに到着。状況を確認してもらい、手際良く15分ほどでタイヤ交換終了。ついでにあちこちチェックしてもらい、なかなか問題アリな状況に陥っていたオイルも交換。タイヤのパンクと思わぬ出費はビックリだが、そのおかげで、ガタがきている箇所をまとめて取り除けたので結果的に良かった。安全って大事。命大事に。

お礼を述べてガソリンスタンドを出発。こりゃこりゃ快適だ。さっきまでとは雲泥の差。ハンドルも走りも軽い軽い。

あまりの快適さに、目的である『食料品の買い物』を忘れて実家に戻ってしまったことは御愛嬌。

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