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0022 - 急行列車に馴染みのない地域育ち

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ちょっとした昔話を。

静岡県西部地区に生まれ、高校を卒業した18歳で上京したのだが、東京暮らしを始めてからしばらくは交通機関に翻弄されていた。

静岡県には『JR東海道本線(普通列車)』と『東海道新幹線』が大動脈として通っている。車社会な土地柄だが、子どもの頃から浜松へ買い物に行く際などで電車を利用する機会は頻繁にあった。親戚がいる関西へ行くために年に何度かは新幹線に乗ることもあった。

他にも生活圏内には『天竜浜名湖鉄道』と『遠州鉄道』が、少し足を伸ばすと『大井川鉄道』があるが、これらローカル線が通っているエリアは、実家からは車で向かうほうが便利ということもあり、残念ながらほとんど利用したことがない。

『自分にとっての電車は、静岡県内を走るJR線(東海道本線&東海道新幹線)』な育ち方で身に付いた感覚は以下の通り。

・通常運賃で乗れる電車は各駅停車(いわゆる鈍行列車)
・通過駅があるものは特急料金が必要(新幹線のようにお金で時間を買う)
・路線が変わると、新たに切符を買わなければならない
・別の路線に乗り換えする場合には必ず改札を通る

この感覚のおかげで、上京したての頃は都内の複雑な電車事情に翻弄されまくりだった。

新宿を始発とする路線だけでも、『京王線』『小田急線』には快速、急行、特急、準急、快速急行などがあり、馴染み深いJRでも『中央線』などで通勤快速があったりと、各駅停車ではない『ガシガシ駅を飛ばして走る電車』が頻繁に走っている。

最初の頃は冗談ではなく『それらに乗る際には特別料金がかかるんだ』と思い込んでいて、本来なら急行でヒョイと行ける駅にも全て各駅停車で向かっていた。学校の生徒仲間が少しでも郊外から通っていたら『毎日すごく時間かけて来てるんだなー』と本気で感心していた。

また、都内では他の路線へ乗り換えする際に改札を通らないことが多々ある。最近駅舎が新しくなったが、以前の下北沢駅は『小田急線』と『京王井の頭線』は改札無しでの乗り換えだった。地下鉄も、同じ『東京メトロ』や『都営地下鉄』同士であれば路線をまたぐ乗り換えの際に改札を通らないことがほとんど。そんな当たり前を知らないので、上京後に『改札はどこだろう』と駅構内をウロウロ(オロオロ)したことは1度や2度ではない。駅員さんに尋ねると「改札は無いからそのまま来た電車に乗ってください」と教えてもらえるが、それが『この駅だけ当てはまる話なのか』の判断ができず、しばらくは他路線への乗り換えでは常にドキドキしていた。

上京後に通った学校へは自転車で往復していて電車は頻繁に利用しないこともあり、なんやかんやと都内の電車事情に馴染むまで半年以上はかかったように記憶している。

20年以上も前の話だが、地元の電車事情は大きく変わっていない。今ではスマホでナビしたりで迷う率は減っているとは思うが、静岡県内で生まれ育ち、大学や就職で上京し、僕と同じように電車事情に翻弄されている人は今でも意外と多いんじゃなかろうか。

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