贋作・敬称略
THE BOOM の「敬称略」という音楽をご存じだろうか。
以前から、これの演劇バージョンを作ってみたい気持ちがあった。
ご存じでない方はとりあえず一回聴いてから、この先を読み進めてほしい。
そうしないと書いてある意味がわからないどころか、ただ単にすごい上から目線のやつが書いた記事だと思われてしまうおそれがあるので。
* *
平日14時のマチネはガラガラ?
キャン待ち並べば、ズラズラ。
開演までは、チラシをペラペラ。
客電消えれば、ハラハラ。
こりっちのレビューに無星ばかり並んでいた頃から、
こゆび侍は俺にとっての一番星だった。
一目惚れなんてものが本当にあるとしたら
そいつを捧げた最初の相手はぬいぐるみハンターかもしれない。
アートかエンタメかって二元論なら名前のとおりだけど、
アガリスクエンターテイメントが用意する議題はそう簡単に片付かない。
あくまでも線引きされた虚構の向こう側から、
現実に立つ俺の味方をMrs.fictionsはしてくれる。
ジエン社とNot In Serviceを見ていなかったら
自分の中に燻る感情の相手をしてやれないままだった。
キュイやお布団を知ったとき、俺があと10年若かったら
もしかして今とは違う価値観で生きていけたかもしれない。
美しく野蛮で気高くて泥臭い足跡を見たなら、
そいつはたぶん獣の仕業だろう。
(劇)ヤリナゲが放り投げてくる根源的な問いかけに
まだ俺は自信をもって答えることができないでいる。
考えるより先に感じる笑いがあることをワワフラミンゴは教えてくれた。
アムリタは「考えるな、もっと深く考えろ」とも教えてくれた。
sons wo:は円盤に乗って、どこか遠くの町並みを照らしに行った。
くらやみダンスが思い出させる風景は、
まだ誰も見たことのない懐かしさに覆われている。
牡丹茶房が教えてくれる絶景は、
いつだって厄介なことに絶望の底が抜けた先にある。
あんなに一糸乱れぬ交響楽を奏でておいて、
しあわせ学級崩壊とはこれいかに。
夢のマイホームなんか建てられなくていいから、
やさしい人に囲まれてかるがも団地で暮らしたい。
ケシュ ハモニウムは10年越しに心のベルの二度目を鳴らした。
そんなことってあるんだ!
解散宣言を聞かされたわけじゃないんだから、
いつかまたクロムモリブデンを見られる日は来るって解釈で合ってるかい?
サンチャゴ、むっちりみえっぱり、カリフォルニアバカンス、PLAT-formance、バジリコ・F・バジオ、遠吠え、シュレディンガーの女子高生。以下同文。
世の中がこんな風になってしまうよりずっと前から
やみ・あがりシアターは果敢な闘病をつづけている。
何が本当で何が嘘かも信じられなくなってしまったら
どちらにも属さないものを見せてくれ、肋骨蜜柑同好会。
劇団森、くるめるシアター、周回遅れの俺に青春のお裾分けをありがとう。
スポーツが嫌いでも好きになれるのが劇団スポーツのいいところだね。
家のカギはちゃんと持ったか? なくさないように握りしめとけ。
いいへんじが返ってくるまで俺は名前を呼びつづける。
自分たちが作った芝居で泣くバカはそういないけど、
とびっきりの大バカを俺は知っている。平泳ぎ本店っていうんだ。
「とりあえずビール」とか言うやつは本当の酒好きじゃないんだって?
まぁでも演劇が好きなら小道具はとりあえずNichecraftに頼めばいいと思うよ。
以上、敬称略。
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