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関係舎の原案/「思い出にニスを塗れ」
(舞台写真:保坂萌)
イントロダクション
今ここにいないあの子の絵を描こう。
今ここにいないあの子を呼び戻すために。
あの子はきっと綺麗だった。
あの子はもっと嫌な子だった。
思い出を美化してはいけない。
思い出は保存しなくてはいけない。
描き上がることのない肖像の前で、私たちは立ち尽くしたまま。
キャスト
A:油絵画家でもある母親の絵画教室を手伝っていた。自分で絵を描いたことはない。
B(衝突):Aの高校の同級生で、元美術部員。年1回ペースでコンクールへの出品も続けている。
C(憧れ):絵画教室の元生徒。たまに趣味で描く程度だが、現在も絵は続けている。
D(約束):絵画教室の元生徒。現在は絵とは無縁の生活を送っている。
E:絵画教室の元生徒。ある日を境に教室へ来なくなり、以来ずっと音信不通。
内容についての規定
Aの母が油絵教室をやめることになった(病気、引退、経営難など理由は何でもよい)。
教室には倉庫として使われている一角があり、生徒たちが自分の絵を保管していた。倉庫には描きかけだったり、完成したが持ち帰られなかった絵などが残っている。
置いたままにしてある自分たちの絵を整理するため教室に集まった一部の元生徒。
掃除の途中、Eの肖像画が何点か発見され、それを起点に皆がぽつりぽつりとEのことを思い出す(それぞれがそれぞれの回想シーンに入る)。
BはEと喧嘩したことを、CはEの画風が好きだったことを、DはEに自分の絵を描いてもらう約束をしたことを。
ところどころ思い出す内容が異なったり、Eの性格が違っていたりしながらも、画風の違う複数人が同じ被写体をデッサンするように、思い出話に花が咲いていく。
・各登場人物の性別・年齢の指定は特にありません。
・太字部のエピソードは一例なので自由に変えて構いません。また、AとE以外の人物は必要に応じて増減しても構いません。
・Eの失踪に事件性はないほうが望ましいです(捜索等が絡んでくると主題がずれてしまうため)
※カミグセ上演版特例:Eは自殺している⇒現在進行形の事件ではないためOKとした
上演時クレジットについて
必ず「原案:辻本直樹(関係舎)」を明記してください。