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すべての感想は二次創作物である

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自分の目で観た芝居のことと、それを見ている間に考えたこと、連鎖的に思い出したことなど。 これから観る人、観ていない人の参考にはならないと思います。同じものを観た人に、自分の体験を…
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2016年7月の記事一覧

いつまでも私たちきっと「私たち」の事きっと違う風にしかきっと見られないことについて

3331 Arts Chiyodaには初めて来た。そこは以前学校だった場所で、劇場であるB104は以前きっと教室だった場所で、そんな場所で、高校演劇のフォーマットに則って作られた、高校生が登場する演劇を見る。開場して少し経ってから入った客席は半分くらい埋まっていて、お客さん同士のおしゃべりする声が、うるさ過ぎず静か過ぎず心地好く雑然とざわめいていた。それは休み時間の終わり近くの、先生が入ってきて次

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Stereotype test/path/pass/があのとき区切った/または区切ら/なかった/もの

離す事を、話して。
書く事を、掻いて。
欠けてしまった私たちを、放して。

透明なガラスの容器に透明な液体が入っている。容器は一般的なコップに見えるが、それを持った役者が舞台前面まで来た時に目を凝らして観察すると、容器の縁がやや分厚くなっていて「大関」などのカップ酒の空き瓶にも思える。中に入っているのはおそらく水だろう。しかし容器がワンカップに見えたように、劇中のあるシーンではそれは酒である。ぱっ

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駄々 vs エンドロール

先に重大なネタバレをしてしまうと、この作品に全長50メートルガールは登場しない。その巨大な身体をどう演劇で表現するかとか、なぜ巨大になってしまうのかとか、そういったことも一切語られないし視野に入ってすら来ない。それでいて、この作品はまぎれもなく全長50メートルガールの苦悩を描いたものになっている。

舞台となるのはどこか片田舎の町にある寂れたファミレス。そこの禁煙席に集まる地元の同級生女子5人組。

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茄子にまつわるまちがいさがし

【二〇一三年五月一一日土曜日、一四時三〇分、雨】

先に断っておくと、これは劇評ではないし、たぶん感想ですらない。ましてクレームなんかではない、原作のページを開いて卓上に叩きつけ「ここを勝手に変えたのはどういうわけですか」なんて詰め寄る気もさらさらない。むしろ、奥村さんが念願のオートバイ入手を賭けたペーパーテストに合格した特別な日に自分の食べた昼飯を覚えていなかったように、自分があんなに夢中で読ん

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アムリタと人称の認証/3÷3=1の証明



問1)点pが朝6時半に夢から覚めるとき、自宅から劇場までの線分ABの長さを求めよ。

 『n+1、線分AB上を移動する点pとその夢について』の最初のシーンは、『n+1、線分AB上を移動する点pとその夢について』の出演者の一人である「彼女」が舞台本番当日の朝に自宅で目を覚まし、劇場へ向かうところから始まる。「彼女」に名前はない。あるのかもしれないが観客には知らされない。パンフレットの配役表には、

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キメラガール・アンセム

劇場について
ここ数回の上演を日暮里d-倉庫でおこなってきたジエン社を観に行くということで、僕は間違って日暮里へ行ってしまわないよう細心の注意を払う必要があった。だけど、それはなにも回数だけの問題ではなく、ジエン社をずっと見てきた一人として、ジエン社とBASE THEATERの空間とがイメージ上で結びついてくれなかったから。席数とか規模の問題ではなく、単に「さほど天井高のない劇場」とジエン社の作風

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