SAPIXと世帯年収1000万円超ファミリーの分布

近年、首都圏の中学受験熱は高まり続けています。文京区では「公立小学校からの」都内私立中進学率が都内最大の49.5%となり、半数が私立中に進学するという状況です。
上記の数値には、他県私立中への進学者、国私立小からの進学者、公立小から国公立中高一貫校への進学者は含まれていません。即ち、中学受験人口の実態としては優に過半数を超えていることが想定されます。


まえがき

サラリーマン家庭が中学受験をする上での最大の関門は、言うまでもなく教育費用です。物価も高く住宅価格も高騰している中多額の教育費用を捻出するのは容易いことではありません。必然的に費用を捻出できるファミリーは高収入世帯が中心になります。

その中でも、おそらく知名度が一番高いSAPIXに限って校舎の立地を見ると、特定の属性に狙いを定めて展開されていることが可視化されてきます。

校舎分布①~首都圏全体~

SAPIXの校舎分布

山手線周辺と城南エリアに多く分布しています。
全体的には確実に需要のあるエリアを絞って進出しているように見受けられます。この後詳しくエリアを見ていきます。

(参考)早稲田アカデミーの校舎分布

早稲田アカデミーは広範囲に渡って満遍なく展開しています。主要路線の大半の主要駅にあるという印象です。

(参考)日能研の校舎分布

日能研も早稲アカと同じく幅広い範囲で展開しています。

(参考)四谷大塚の校舎分布

四谷大塚はSAPIXとほぼ同じ場所にあり、山手線と城南を中心に展開しています。需要の見込めるエリアを絞って進出している印象です。

校舎分布②~23区~

ではエリアごとに詳しく見てみましょう。

コイル作、黒線左側は都下

赤色の自治体は「世帯年収1000万円超子育て世帯の割合(持ち家)」が23区平均を超える自治体です。
桃色の自治体は、東京都平均以上、23区平均以下の自治体です。

・全国平均:15.15%
・東京都平均:28.00%
・23区平均:31.52%
と全国水準から見ると、赤色の地域は高収入世帯が突出して多いと言えます。

23区内には20校舎があり、うち王子校を除く19校舎が赤色の地域です。
電車の路線を見ても、例えば大井町校は京浜東北線の大田区内から、自由が丘校は池上線沿いの高級住宅地や田園調布エリアからも通いやすく、赤色の地域と似たエリアをターゲットとしていることは容易に想像できます。

23区内は校舎の数が多く、新規開校の校舎も増えていることから、SAPIXに通う家庭の数も極めて多いと言えます。

校舎分布③~都下~

コイル作、黒線左側は都下

赤色の自治体は「世帯年収1000万円超子育て世帯の割合(持ち家)」が23区平均を超える自治体です。
桃色の自治体は、東京都平均以上、23区平均以下の自治体です。

・全国平均:15.15%
・東京都平均:28.00%
・23区平均:31.52%
と全国水準から見ると、赤色の地域は高収入世帯が突出して多いと言えます。

都下には4校舎あり、中央線沿線の武蔵野市、三鷹市、国分寺市、国立市が突出して高く、それぞれの市境の近くに校舎があります。
小金井市、西東京市も桃色の地域で、電車orバスでの通塾は想定されていそうです。

仙川校は世田谷区との境が近く、狛江市は成城校の通塾圏内です。
若葉台校も境目にあり、麻生区稲城市両方からの通塾が想定されていそうです。

校舎分布④~神奈川~

コイル作

赤色の自治体は「世帯年収1000万円超子育て世帯の割合(持ち家)」が23区平均を超える自治体です。
桃色の自治体は、東京都平均以上、23区平均以下の自治体です。

・全国平均:15.15%
・東京都平均:28.00%
・23区平均:31.52%
と全国水準から見ると、赤色の地域は高収入世帯が突出して多いと言えます。

神奈川県内は11校舎があります。川崎/横浜の北部地域は赤色の地域が密集し、エリア内に4校舎が展開されています。東横線沿線にも2校舎があります。
過去のnoteでご紹介しましたが、上大岡と近隣の汐見台、東戸塚と緑園都市はそれぞれ局所的に高属性の住民が多く、東戸塚校と上大岡校はその層がターゲットとなりそうです。
大船校は近隣からの通塾のほか、栄光学園(神奈川御三家の一角)最寄り駅というのも意識されていそうです。

若葉台校は都境にあり、麻生区稲城市両方からの通塾が想定されていそうです。
横浜校や町田校は、鉄道網の良さや街自体の拠点性を活かし、広域集客がされていそうです。

校舎分布⑤~千葉・埼玉~

赤色の自治体は「世帯年収1000万円超子育て世帯の割合(持ち家)」が23区平均を超える自治体です。
桃色の自治体は、東京都平均以上、23区平均以下の自治体です。

・全国平均:15.15%
・東京都平均:28.00%
・23区平均:31.52%
と全国水準から見ると、赤色の地域は高収入世帯が突出して多いと言えます。

千葉県に6校舎、埼玉県に4校舎があります。
広域からアクセスしやすい地域に校舎が多く、近隣というよりも広域から需要を拾っているように感じます。

大宮校、南浦和校、新浦安校、海浜幕張校は、ミクロな地域内需要も大きそうです。

流山おおたかの森や柏の葉キャンパスなどは局所的な需要はありそうですが、新規開校に至るほどではないということなのでしょうか。(柏校が近い)

最後に

指標とした「持ち家ファミリーで世帯年収1000万以上の割合」の一覧です。

1位はダントツで千代田区です。その他都心や城南エリアがランキング上位に入っています。

郊外では、武蔵野市、横浜市青葉区/都筑区、浦安市、川崎市中原区が上位に入っています。

改めてSAPIXの校舎を可視化してみると、
拠点性が高く広域から集まる校舎
受験する層が多く需要があるエリアの校舎
この2タイプに分かれています。特に後者は所謂人気の住宅地に多く、周辺に教育熱心なファミリーが多いこととイコールの関係になっています。軒並み住宅価格が高めのエリアばかりで、そのエリアの住宅が高値で動く理由の1つとして捉えることもできそうです。

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