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銀座に行く時は着物だって

マリさんのバッグの販売会場で、マリさんや茉莉コレクションのスタッフの人達と話しながら バッグ選びをしていた時、背が高くて貫禄があり(太っているということではなく)、顔つきが明るくて華やかな女性が来た。白いストレートパンツ、ブランドらしきマルチカラーのブラウス、白い花とビジューの付いた中ヒールのサンダル。マリさんの白い大きめのバッグを肩からかけて。

「どのバッグ買うの?これが似合いそう」などと とても気さくに私に話しかけて来てくれる。
スタッフの人達は、新作が出るたびにバッグを見に来る常連客の名前を覚えているので、私とか他の常連の人達には、〇〇さん と呼ぶのに その女性には、〇〇様 と呼んでいる。❗️❓さま❓

〇〇様と馴れ馴れしくお喋りしていた私は、「その白いバッグは、マリさんのですよね?」と聞いた。
「そうよ。こんなのが欲しいからレースとビーズを他の所で買って、マリさんの所に持って来て、特別に作ってもらったの」と言う。
特別に? 特注か。
更に 〇〇様は、喋り続ける。
「椿山荘で、次男夫婦と食事してる時に 次男の嫁が、お母様、お母様、あの人、お母様のバッグをさっきからチラチラ見てるわ って言ってね、マリさんのバッグは、人目を引くから好きなんよ」
「銀座に行く時は、普通の服で行っても面白くないから 最近は着物で行く事にしたわ」
私 「でもー、着物で新幹線や飛行機に乗るのって しんどいでしょ?」
〇〇様 「あゝ、でもそういう時は番頭さんに着物をホテルに送ってもらうか持ってきてもらうようにしてるから」
ば、ば、ばんとうさん?番頭さん?
この人何者?今時、番頭さんって。

私 「ちょっとそのバッグ持たせて。可愛いのにカッコいいよね」
〇〇様 「いいよ。持ってごらん。重いよ。いっぱい入れてるから」

番頭さんに銀座まで着物を送ってもらったり、持って来てもらったりする人なのに とにかく気さくで、大阪のおばちゃんそのものなのだ。
その日は、新しいバッグを買わなかった〇〇様は、どうもその白いバッグを少し手直ししてもらいに来たようだった。
帰り際、〇〇様は、少し離れた所にいたマリさんに
「明日、軽井沢に行って来まーす。マリ先生に頼んでたアレが、できたみたいやし。あっちもこっちもマリ先生やねー。あはは」
軽井沢にも 〇〇様が、特別に何か作ってもらっているマリ先生がいるみたいだ。
「これがええわ。このバッグにしとき」と私にサラッと言って、去って行く〇〇様を 私は圧倒されたようにポカンとして見送った。

で、である。私は、マリさんに
「〇〇様が さっき持ってた白いバッグとおんなじ感じのを作って欲しい。レースとかビーズとかは、おまかせするから」と スタッフの人達にもお願いした。
出来上がって連絡が来るまでに1ヶ月以上かかったと思う。
〇〇様は、言っていた。
「このバッグは、ほとんど白やから持つのはお盆までにしてるけどね」
私の 〇〇様仕様の白いバッグは、出来上がりがお盆までには間に合わず、翌年の夏から持つ事になった。〇〇様を真似て、初夏からお盆まで持つバッグにしよう。

ところで、〇〇様は、軽井沢のマリ先生には、何を作ってもらったんだろう? 番頭さんをかかえているお金持ちの奥様と張り合うわけではないが、ちょっと気になるところではある。


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