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革が縮むには理由がある
こんにちは!
三重県で靴磨きをしている革靴シュウジです。
靴磨きをしていて、
「高価な買い物なのに、水に濡れ縮んで硬くなるともったいないから怖くて履けない」
という声よく聞きます。
多分革製品には水が御法度みたいな印象があるんでしょう。
履くことのできるシーンが限られると思ってしまい、ハードルも上がってしまう。
語弊があるかもですが、
これ嘘です!
水に濡れたとしても適切なケアをわかっていれば全く問題ないです。
しかも前回の記事でも触れていますが、革は親水性が高く、水と仲良しな素材です。
吸放湿性に優れているので、乾くのもめちゃくちゃ早いです。
革って濡れるだけでは縮まないですよ!
いやいや縮んだよ!って方!縮んでしまうには理由があります。
濡れたあと早く乾かそうと熱したりしてないですか?
それ絶対NGです!!!!!
詳細は後ほど説明しますが、「コラーゲン」という物質が深~くかかわっています!
革はコラーゲンの集まりという大前提をベースにすれば納得ができる部分たくさん出てきます!
ということで今回はコラーゲンを主人公に話を進めていきます。
早速ですが、コラーゲン分子というのは3本の糸がラセン構造で交わってできています。
それが網目状にたくさん集まってできているのが「革」です。
その3本撚(よ)りで結合している状態が熱などで切断されると、ラセン構造が崩壊してしまって、革が収縮したりするんですね。
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もう少しわかりやすく書くと、
人のお肌も火にあたると火傷をします。
人は生きているので一度崩れたラセン構造は元に戻りますが、革はもう生きていないので、元に戻ることはありません。
水に濡れた革を無理やりドライヤーで乾かしたり、ストーブの前に置いたりすると割れたり縮んでしまう現象はこれなんですね。
これ専門用語で「熱変性」って言います。
また今の時期、雪が降るエリアで起こってしまう現象のひとつに「塩縮」というものがあります。
降雪地域では雪が道などを塞いでしまわないように、除雪剤が撒かれています!
スキー場などにもほぼ撒かれているのではないでしょうか。
革と相性が悪い成分に「塩化カルシウム」と「尿素」というものがあります。
どう相性が悪いかというと、先ほど説明したコラーゲンのラセン構造を切断してしまう力を持っているんですね、、、
その塩化カルシウムや尿素といった成分を使っているのが除雪剤というわけです!
塩縮というのは革が黒くなって収縮してしまう現象を言います。
ちなみに除雪剤のほかに、除湿剤にも塩化カルシウムは使われていますので、靴箱に除湿剤を入れるならば「シリカゲル系」と書かれているものにしましょう!
まとめると、
①革が縮む現象はコラーゲン分子が切断されることで起きる
②切断されたコラーゲンはその特性を失う
⓷特性を失った結果、収縮したり割れたりする
こんな感じです。
ちなみにゼリー作るときに使う「ゼラチン」ってありますよね。
あれってコラーゲン分子が熱などで崩壊して、ラセン構造がぐちゃぐちゃになってしまった状態のことを言うんですよ。
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ゼラチン状になったコラーゲンは、
元には戻りません!
なので、縮んだ革や割れた革は元には戻らないのです。
そうなってしまわないためにも正しい知識を身に着けて、楽しい革靴ライフを送りたいですね!
では次回は雨に濡れてしまったらどうすればいいのか、除雪剤の上を歩いたらどうすればよいのかなど、ケアについて書いていきます!
ありがとうございました!