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間違い節(大潟八郎さんに敬意を)

おばあさんの、最期の言葉は。。。
『書庫冷凍をおじいさんに』
でした。
「え?おばあちゃん、いまなんて言ったの?」
『書庫冷凍。。。』
おばあちゃんは、そのまま息をひきとった。
「チョコレートを、死んだおじいちゃんにあげればいいのね?もうすぐバレンタインだから。。。」
孫の私は、生前おばあちゃんが好きだった「星のおじいさま」と言う本の銘柄のチョコレートをデパートで買って来て、おじいちゃんの遺影が飾られた仏壇に供えた。
後日、ひゅーどろろ。。。
おばあちゃんが夢枕に立って言った。
『書庫冷凍はどうしたの?』
「え?」
『冷凍庫にある、豆本の詰まった書庫。私と一緒に燃やして欲しかったのに。おじいさんと一緒に読もうと思って冷凍してあった本』
あぁ、おばあちゃん認知症だから、豆本を冷蔵庫にしまって保管してたんだっけ。
賞味期限がどうとか言って。
私の脳裏に大潟八郎の「間違い節」が流れてきた。
『書庫冷凍とチョコレートの聞き違いだよ〜』
私は急いで電気を付けて冷凍庫の中から"書庫冷凍"を取り出して仏壇に供えて供養した。

たらはかに、さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。

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