
スペインの近況
今年のスペインは雨がよく降ります。
10月29日、バルセロナより南西に位置する都市、バレンシアが豪雨の被害に合いました。
街中に洪水によって流された何十台もの車両が折り重なっている映像はかなり衝撃的でスペインで今世紀最悪と言われる甚大な水害に現地スペインの方々もとても心を痛めていました。
まだまだ復興には時間を要しているようです。
被災された方々へ改めて心からお見舞い申し上げます。
そしてスペイン西部のマラガという都市でも家屋が浸水する豪雨洪水被害もありました。
バルセロナも規模こそ小さかったのですが、浸水被害があった地域もあります。
どうやら、その洪水被害をもたらす気象のことを
“depresión aislada en niveles altos:高層切離低気圧“ 略してDANA(ダナ)と呼ぶようです。
それは偏西風から分離した高層の寒冷低気圧が暖かい空気と接触して対流が発生し、大気が非常に不安定になることで発生する気象現象とのこと。
聞いた話によると高層でDANAが発生するので風の影響を受けにくく、同じ箇所に留まって局所に豪雨を降らせると。
日本のいう線状降水帯とも少し違う気象現象ということになるのでしょうか。
去年のこの時期もバルセロナに滞在していましたが、夏から秋にかけて季節の変わり目であるのに、ほぼ雨も降らず、太陽が燦々と照りつける日々が続き10月の半ばぐらいまで暑い日が続いて海に入ることもできたりしました。
初めて過ごすバルセロナだったので、この天気が通常かと思いきや、
「今年は異常気象だね。もう少し雨が降ってくれないと困る。」
っていう話は至るところで聞きました。
聞けば、バルセロナやスペイン各地で近年、慢性的な水不足だったらしいのですが、特に昨年は降水量が少なくて、そうなると飲料水や工業用水として使用する水も不足するでしょうし、派生することとしては、オリーブの収穫量も少なくなりオリーブオイルの値段も高騰するなどの影響もあったようです。
私は、バルセロナのことを偉そうに語るのも憚られるまだ2年目の新米なのですが、去年と比べて明らかに気候が違うと感じます。
短いタームの中で極端になってしまう気候変動は、どちらも我々人間にとっては脅威でその手でコントロールできるものでもなく、それは世界中どこにいてももどかしく感じます。
そんな中、スペインではこの水害に対する政府の対応や支援体制にかなりの不満が生じてます。
その怒りの感情をストレートに政府、行政にぶつけ、そしてその怒りを力にも変えています。
水害の復興を民間で人々が一致団結してモップを持ち泥水を掻き出している映像を見た方も多いのではないでしょうか。
自然の脅威に畏怖を抱き、ひれ伏してしまうのも致し方ないような状況なのですが、改めてこのスペインの人々のこういった姿を目の当たりにすると、人間って逞しい生き物だとも感じます。
日本も天変地異、災害が多い国なのでそういった備えと心構えもしっかりできていると思いますが、改めて人間として、生物としての逞しさといういう源泉を強く持つことはとても大事だなと思った次第でございます。
ここ2週間の気候は、比較的安定しています。まだまだ曇り空も多いのが通年とは違うのでしょうが、その中でもスペインらしい晴れ間が多くなってきています。
このまま2024年をおだやかに越せたらな、と思う今日この頃です。
今回は、これにて終了です。



同じ通り。バルセロナらしい快晴。