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母の存在
私は母が好きだ。
こんな風に思えるなんて、私は恵まれていると思う。
死なないでほしいと思う。
こんなこと言ったら、母はきっとこう言うだろう。
いや、死なせてくれよって。笑いながら。
いつかは、いなくなることはわかっている。
命あるものはそう。
いつかは、と想像するだけで悲しくなってくる。
母は聞いてくれる。
楽しいことも、嬉しかったことも、悲しかったことも、腹が立った話も、悩みも。
全部聞いてくれる。
全部受け止めてくれる。
そして自らの経験を話してくれる。
母の思いを話してくれる。
でもそれをどう活かすかは私に委ねる。
何も強要はしない。
与える人だと思った。
母になったら、皆がみんな与えられる人になれるのだろうか。
私がもし今後、母になったとしたら、母になれたとしたら、与える側の人間になれるのだろうか。
子どもは親を選んで生まれてくるという話を聞いたことがある。
でも私は、選んだ記憶は無い。
だから、母が私の母で良かったと思う。
私がそう思うように、母も思っていてくれたら嬉しい。
この子の母で良かったと。
未だに甘えてばかりで、何も親孝行出来ていない。
元気なうちに旅行に連れていきたい。
薔薇が好きだから、見頃の季節に連れていきたい。
有名なローズガーデンに。
行きたいって言ってたの覚えてる。
連れていきたいって思ってるだけじゃダメだ。
お互い、あっという間に年をとるんだから。
ところで、薔薇の見頃っていつだ。
いつもありがとう。
本当に感謝してる。
他の人があなたのことをどう思っているか知らないけど、私はあなたが大好き。
今年絶対連れて行くわ、待っててな。ちょっと色々調べるからな。
もちろん、父も一緒に行こう。
父にだって感謝してる。
いつもありがとう。
多くを語る人ではないけれど、私のことを想ってくれていることは十分伝わってくる。
文が短い。
母と比べると、父への文字数が明らかに少ない。
文字数で感謝のレベルを決めるなんて、ナンセンスだ。
わかってくれるでしょ、父なら。
家族と喧嘩したこともあるけれど、それを上回る感謝の気持ちを私は持っている。
伝えられる内に伝えておきたい。
大切な言葉を。
出掛けられる内に一緒に出掛けて、見たい。
同じ景色を。
いつまでも元気でいて欲しい。
心からそう願っている。
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