変種Mini Coral[白マスも2×2禁]の解説
ペンシルパズルII Advent Calendar 2020 の4日目の記事です。
Puzzle Square JP に投稿した、変種ルール Mini Coral の解き方を解説します。完全にネタバレなので、自力で解きたい人はブラウザを閉じるなどしてください。
【Mini Coral のルール】
2×2マスに区切られたすべてのブロックで、1×2マスの長方形になるように2つのマスを黒くぬります。
黒マスはタテヨコにひとつながりになり、ループができたり角で接したりすることはありません。
黒マスは2×2マスのカタマリになりません。
数のマスはぬれません。数は、そのマスとタテヨコにひとつながりになった白マスのカタマリが、いくつの1×2マスの長方形でできているかを表します。
【追加ルール】
白マスも2×2マスのカタマリになりません。
※例題を難しくしすぎたので練習にならないです
それでは解説していきます。
1. Mini Coral はループパズルである
Mini Coral の『黒マスはひとつながりになり、黒マスのループができたり角で接したりしない』というルールは、以下のように言いかえることができます。
黒マスがひとつながりになり、
黒マスのループができなくて、
黒マスが角で接しない
↓
黒マスは「ループの内側」のような形になる
上図のように、Mini Coral の黒マスの境界線をとりだすと、ひとつのループになります。
この対応により、黒マスが接する頂点は、ループが通る頂点に対応します [下図]。ここから先の解説では、頂点に注目した考え方が重要になります。
「黒マスが接する頂点」=「ループが通る頂点」
さて、今回解説する問題には、「黒マスも白マスも2×2のカタマリにならない」という追加ルールがあります。
この追加ルールのおかげで、「ループの線が、盤面の内部にある頂点をすべて通る」ということが言えます。
盤面の内部にある頂点のすべてに線が通る。
(例題の場合だと、5×5個)
もし、盤面の内部に線が通らない頂点があったら、そのまわりの2×2マスが同じ色になってしまい、「黒マスも白マスも2×2のカタマリにならない」というルールに違反してしまうからです。
盤面の内部の頂点はすべて線が通るのですが、一方、外周の頂点は線が通らなくてもかまいません。
外周の頂点は、線が通らない(=黒マスと接しない)ことがある。
盤面の内部の頂点は、すべて線が通る。
外周の頂点は、線が通ったり通らなかったりする。
ここ、重要です。
ここまでのまとめ
Mini Coral の黒マスは、ループの内側のような形になる。
追加ルールがあるので、ループの線は盤面の内部の頂点をすべて通る。
外周の頂点は、線が通らなくてもいい。
2. 変種 Mini Coral の基本定理1
ループをつくるパズルとみなせる、ということは、ループパズル特有の理論を使える、ということです。
そう、市松理論です。
市松理論とは?
盤面を市松模様に塗り分けて考える。この説明では赤と青の2色とする。
ループは、赤、青、赤、青、……と、ふたつの色を交互に通過して一周する。したがって、赤と青を必ず同じ個数だけ通過しているはず。
つまり、「線が通った赤マスの個数」=「線が通った青マスの個数」が成り立つ。
これが市松理論とよばれる考え方です。
例題で確認してみましょう。
頂点を、○と△が交互に並ぶように振り分けます。
線が通った頂点を数えてみましょう。
「○を通った数」=「△を通った数」=18
確かに市松理論がなりたっていますね。
ここまででわかったことを、いったんまとめます。
○の頂点と△の頂点を同じ個数だけ使わないといけない。
盤面内部の頂点はかならず全部使う。
外周の頂点は使っても使わなくてもよい。
ということは、外周の黒マスをうまく調節してあげて、○の頂点と△の頂点を同じ個数にしてやらないといけない、ということです。
盤面内部では○を△よりも1個多く使うので、
外周では△を○よりも1個多く使うことになります。
外周だけを取り出して考えてみましょう。
外周沿いにつながった黒マスのカタマリは、大きくわけて3パターンに分類できます。
外周では、△の頂点を○の頂点よりも1個多く使うのでしたね。
なので、【△から△まで】の黒マスのカタマリを、
【○から○まで】の黒マスのカタマリよりも1つ多く使うということがわかります。
ところが!
実は Mini Coral では、○から○までの黒マスのカタマリを外周に作ることができないのです。
【○から○まで】はつくれないから0個。よって【△から△まで】は1個。
結果、△から△まで外周沿いにつながった黒マスのカタマリが、盤面全体でただひとつだけ存在しなければならない、ということがわかりました。
強力な定理です。
変種 Mini Coral の基本定理1
下図のように、外周の頂点を○と△に振り分ける。
このとき、△から△まで外周沿いにつながった黒マスのカタマリが、盤面全体でただひとつ存在する。
3. 途中まで解いてみる
ようやく問題解説です。
ここまでは、普通の Mini Coral の手筋で解けます。
さて、左上の角が黒マスになりましたが、実はこの黒マスこそが、「ただひとつの△から△までの黒マスのカタマリ」になります。
四隅が黒マスになると、自動的に「△から△まで」の黒マスのカタマリになるのです。
左上の角から伸びる外周沿いの黒マスのカタマリが、ただひとつの「△から△まで」であることが判明しました。
外周の他の場所には「△から△まで」の黒マスのカタマリは入りません。
それでは続きを解いていきましょう。画像メインで解説を書いたら読みにくくなったけど許してください。
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なんやかんやでここまで進みました。
あとは気合で解けなくもないのですが、せっかくなので最後まで理詰めでいきましょう。
4. 変種 Mini Coral の基本定理2
突然ですが、ピックの定理をご存知でしょうか。
ピックの定理とは?
簡単に言うと、方眼紙の頂点をまっすぐつないだ図形の面積が、頂点の個数を数えるだけでわかっちゃうよ、という定理 [下図参照]。
数式で表すと、
面積=図形の内部にある頂点の数+(図形の辺上にある頂点の数÷2)-1
証明などが気になる人は、「ピックの定理」で検索してください。
上図の図形の場合は、
内部の頂点が6個
辺上の頂点が14個で、
面積=6+(14÷2)-1=12 になる。
上図の図形の場合は、
内部の頂点が0個
辺上の頂点が36個で、
面積=36÷2-1=17 になる。
ピックの定理を Mini Coral の黒マスの面積に適用してみましょう。
面積は最初からわかっています。黒マスと白マスを半分ずつ塗っていくパズルですからね。盤面が10×10マスなら、黒マスの面積は半分の50になります。
図形の内部にある頂点の数は0です。黒マスの2×2禁があるので、内部に頂点はありません。
逆算すると、辺上の頂点の数(=黒マスと接する頂点の数)がわかります。盤面が10×10マスなら、黒マスと接する頂点の数は102個になります。
ここで、変種 Mini Coral の頂点についておさらいしておきましょう。
盤面の内部にある頂点のすべてが黒マスと接する。
(例題の場合だと、5×5個)
外周の頂点は、黒マスと接しないことがある。
以上、おさらいでした。
10×10マスの問題なら、盤面の内部にある頂点は81個なので、
外周の頂点は102-81=21個だけ使う、ということがわかります。
一般の盤面サイズでも同様です。
以上、変種 Mini Coral の基本定理2としてまとめておきます。
変種 Mini Coral の基本定理2
縦がAマス、横がBマスの盤面のとき、
黒マスと接する外周の頂点の個数=A+B+1
5. 途中まで解いてみる
黒マスと接する外周の頂点の個数は、全部でちょうど21個になることがわかりました。
現状、17個の頂点が確定しています。
18個目、19個目、20個目は、確定はまだしていませんが、左上と右上に入ることがわかります。
21個まではあと1個だけ。したがって、下図の☆のマスは黒マスにはできません。
6. 最後まで解いてみる
以下の手筋を使います。
(普通の Mini Coral でもよく使う手筋です)
外周にある2つの白マスをつなげたいなら、
外周沿いにベターッとつなげないといけない。
それでは解いていきましょう。
補足
左上の「12」のマスは、一見すると外周沿いの白マスには見えません。
しかし、左か上のどちらかのマスがかならず白マスになるので、外周と地続きになります。
したがって、「12」のマスも外周沿いにあるようなものとみなすことができます。
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完成です!
7. 最後に
8. おまけ
今回紹介した定理と同じような方法で解ける問題を、自作問のなかからいくつかまとめておきます。
頂点に着目する問題
変種ぬりみさき(バトルシップ)
市松理論を使う問題
ヘヤジリン
変種ヤジリン[Minesweeper]
変種ヤジリン[Minesweeper]
ピックの定理を使う問題
2020年 年賀パズル
変種しろまるくろまる
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