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⑬会社の辞め方

いまいる会社の辞め方
現在の会社をいつ辞めるのがよいのか、考えてみましょう。
 
職場の上司との何らかのトラブルがあり、事のはずみで、衝動的に、会社を辞めるというのは最悪です。社会人としてあまりにも大人気がなく、その後の人生にも不安が付きまといます。
また、転職活動に専念するために現在勤務している会社を辞めるという人が稀にいますが、正直言ってあまり賢いやり方ではありません。転職先がすぐに決まればよいのですが、決まるまでは無職となり、そのような状態が長く続くようでしたらご本人にとっても、精神衛生上よくありません。また、個人で社会保険の手続きをする面倒臭さもありますし、転職時の面談ではその間のブランクについて、必ず聞かれます。どうしてそのようなことをしたのか、不審に思われます。
ただし、その職場にいることで、精神的、肉体的に過度なストレスを感じて危険な場合、あるいは退職金の上乗せがあったり、早期退職制度の締め切りに応じて退職するというのは仕方がないかもしれません。
 
引き留めへの対応
退職すると告げてから、強く慰留されると、気持ちが揺らぐものです。
 上司が引き留めるのは、純粋にあなたの将来のことを考えてのことではありません。
自分の部署の仕事がうまく回らないから困るということであったり、部下が退職することで自分の評価が下がることを懸念していることもあります
 一度心を決めたのでしたら、ここは断固として、退職する必要があります。
 
退職の申し出時期
現職の会社への退職の申し出は、転職先から正式な内定通知を書面でもらってから行ないます。転職エージェントから内定との連絡を受けた段階では、まだ正式なものとはいえません。転職先企業の人事部長などの押印がある文書を受け取ってから、職場の上司に退職することを伝えます。退職することが正式に決まるまでは、同じ会社の親しい友人にも話をしない方がよいでしょう。
 
転職先への入社日、すなわち今勤めている会社をいつ退職するのかについては、業務の引継ぎ期間も考えてどの程度の猶予が必要か、予め考えておかねばなりません。おそらく、転職先からは極力早く来てほしいと要望されるでしょうが「立つ鳥跡を濁さず」といいます。今の会社にたいしてもいい加減な形で辞めるわけにはいきません。
  
退職の申し出と「在職強要」
後任が見つからない、仕事の区切りがつかない、等の理由で退職届を出しても受理してもらえないことがあります。いわゆる「在職強要」です。
このときにどのように対処したらいのか、法律面から理解しておくとよいでしょう。これについては「労働者」の種類によって違いがあります。

1. 期間の定めのある雇用契約
派遣社員・契約社員など3か月、1年間などの雇用期間が決まっている場合には、契約期間が終了するまで退職することができません。もっとも、最初の契約から1年以上経過した日以後は、いつでも退職することができます。(労働基準法137条)

2. 期間の定めのない雇用契約
労働者は原則として、2週間前に退職の意思を告げることで、退職が認められます。(民法627条1項)
【月給制の場合】 
 期間の前半までに解約の申し入れをすれば、次月の退職が認められます
【年俸制の場合】
年俸制の場合、少なくとも「3か月前」までに退職の申し出をしなければなりません。民法第627条3項では、「6か月以上の期間によって報酬を定められている場合の解約の申し入れは、3か月前にしなければならない」と規定しています。
 
多くの会社の就業規則には、正社員の場合1か月前に退職の申し出をするようにと記載されています。このような場合、民法と就業規則のどちらが優先されるでしょうか。
民法が労働者を保護する規定をおいている以上、会社の都合で労働者に不利に修正するのは好ましくないことから、基本的には民法の規定が優先されます。しかし1か月程度であれば、その合理性が認められる可能性もあります。
 
転職してすぐに辞めるのはご法度
転職後、半年や1年で再び退職して再就職をするのは、きわめて良くないことです。
その会社に僅かな期間だけ勤めて辞めてしまうのは、履歴書に一生消えない汚点を残すことになります。次の転職の際の書類審査で、歯牙にもかけてもらえないことになることが多くなります。どの会社でも経営陣・人事担当から嫌われます。
その会社は、転職前には少なくとも良かれと思って入社した会社です。その選択眼に誤りがあったとすれば、その人の判断力が問われます。
また、入社後に当初は気付かなかったさまざまな仕事上の問題点・職場環境・上司との関係が出てきたにしても、ほんの僅かな期間もそれに耐えることができなかったのでは、新たに転職しても同じような状況になる可能性がある人ではないか、と見られてしまいます。