相手の弱点をつくことより大事なこと
田岡:(戦いにおいては相手に一つでも穴があれば
そこを徹底的に攻めるのが定石だ
何もバスケットに限ったことじゃない)
【SLUM DANK新装再編版11巻P234】
陵南の田岡監督は湘北とのインターハイ行きをかけた最終戦のさなか、湘北の中で初心者で不安要素でもある花道に対して、福田をぶつける作戦で優位に立ちました。
確かに相手の弱点をつくことはスポーツなどの試合において大事なことです。
ですが、何年も勝ち続けるためにはもっと大事な考え方や行動があります。
今日はそれを山王工業の選手達のプレーから見ていきます。
長所をつぶされたことで、湘北の戦意喪失
インターハイ2回戦、湘北は王者山王工業の底力の前に後半に入ってから苦しみます。
特に今まで湘北を支えていた赤木君が、相手センターの河田君に完全に実力差を見せつけられます。
花道:!!
三井:(赤木が)
宮城:(ブロック!?)
流川:
晴子:(あんなに練習
したのに・・・・・・)
(中略)
牧:大黒柱・赤木がかつて
これほど抑えこまれたことはなかった・・・!!
高頭:・・・その通りだ
こりゃもう湘北はもう立ち直れんかも知れんぞ・・・・・・
【SLUM DANK新装再編版17巻P200〜P201】
湘北主将のあり、精神的主柱でもある赤木君が完全に崩されたことで湘北は土台から崩壊することになると高頭監督は言っていました。
ただ花道のリバウンドでリズムをつかみ湘北が追い上げムードになったところで、さらに試練が襲いかかってきます。
湘北のエース流川が1対1で、山王工業エースの沢北君に全く歯が立たないのです。
流川君得意のフェイクも沢北君には全く通じません。
石井:ウソ・・・ウソだろ・・・
いくら1年といっても・・・
あの流川がいる限りどんな相手でも何とかなると思ってた・・・
【SLUM DANK新装再編版19巻P100〜P101】
湘北高校の控え選手の石井君の言葉が、物語っています。
安西先生の表情も完全に曇り、湘北の敗色ムードがチーム全体を包みました。
これまでの試合で初心者の花道君がやられても、他のメンバーはそんなに気にしていませんでした。
花道君がやられるのは、他のメンバーにとっては想定内です。
実際に赤木君と流川君が踏ん張ることで、インターハイ予選の翔陽戦も陵南戦も乗りきっていました。
しかし2人同時にここまで抑えこまれたことはありませんでした。
相手の長所をつぶすことでの精神的ダメージは、弱点を突かれてのダメージより何倍も大きくなるのです。
脳科学から見ても・・・
意外に思うかもしれませんが、実は、勝つための正攻法は「相手の長所をたたきつぶすこと」にあります。(中略)人間は短所を攻められても「しかたがないな」と考えることができます。しかし、長所をつぶされるとなすすべがなくなり、自信を喪失して、精神的に大きなダメージを負ってしまうもの。勝ち方にこだわって勝負を挑むなら、相手の長所に挑み、それを打ち負かすことこそ、相手に本当に勝ったということになります。
【〈解決する脳の力ー無理難題の解決原理と80の方法〉より】
私も似たような経験があります。
以前私は趣味で卓球をしていました。
それまでは「勝つためには相手の弱点をつけ」と教えられていたので、相手の弱点をつくことばかり考えていました。
ただその時の私の心理は「ホンマにこれでいいのかな、うまく弱点をつけるかな」といつも半信半疑でした。
ですので勝てる時ももちろんありますが、うまくつけずにさらに弱気になって負けることもありました。
逆に教えに反して「相手の強いところで勝負しよう、相手のエースボールを狙い撃ってやろう」と思っていると、自分でも信じられないくらい強気で攻めることができました。
確かに当然といえば当然です。
相手の土俵で戦うことを選んでいるのですから、相当強い気持ちにならないと勝負できません。
脳科学の点から見ても、大事な勝負ほど相手の長所を攻めることはとても良いことなのです。
どの競技を見ても・・・
確かにプロ野球でのソフトバンク、相撲での横綱白鵬、箱根駅伝の青山学院など、どの競技でも何年も勝ち続けるチームや人は、相手の長所を上回る強さで相手を抑え込んでいます。
それは何年も勝ち続けられるように、普段から訓練しているからに他なりません。
弱点をつくことも時には大事ですが、長所をつぶしてこそ、相手の精神的ダメージも大きく、「このチームには何をやっても勝てない」という気に知らず知らずのうちにさせてしまうのです。
スポーツでもビジネスでも、真っ向勝負をして勝つ。
そんな強さを手に入れた時、人間として一回り大きくなれるのではないかと私は思っています。
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