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定年退職ドキュメンタリー上映会実施レポート!- 定年ってハッピー?それとも? -

すべての会社員に等しく訪れる「定年退職」。情報の多くは手続きやマネープランに焦点を当てていますが、定年を迎えるときのリアルな「本音」や「感情の移ろい」はなかなか語られていないのではないでしょうか?

ドキュメンタリー映画『365DAYs+』は、会社員生活を59歳で早期退職し、現在はドキュメンタリー製作者として活躍し、海外フラッシュパックで冒険したり、大学院で学び直ししている北浦宏之監督が、自身の退職に対する揺れる思いをリアルに描いた作品です。

今回のイベントでは、ドキュメンタリー映画の上映会を開催し、その後のトークショーで北浦監督ご本人をゲストに招いて、撮影秘話や定年退職後の生活、家族との関係、幸せについてざっくばらんにお話しいただきました! 参加者のみなさんも「定年退職を見据えて不安を感じていること」を共有し、有意義な対話を重ねた場となりました。

上映会当日の会場の様子

ドキュメンタリーは、スマホで撮影。

約1時間半のドキュメンタリーを会場で上映、(オンラインでリアルタイム上映も実施)その後、Project MINT代表の植山と監督の北浦さんが、パネルトークショーを開催しました。

まず、北浦さんが実際に制作工程を説明してくれました。なんと、ご自身のスマホで全て撮影をしたと説明してくれました。

(左)Project MINT代表の植山智恵と(右)北浦監督

ドキュメンタリーは、北浦さんがサラリーマン時代にご縁のあった同僚や同期、先輩など、身近な人たちとの対話をインタビューしたものが主に撮影されています。

北浦さんは、定年退職をするか、それとも再雇用で65歳まで会社に属していくのかどうかは、早期退職(59歳)の案内が来るまで考えていなかったと言います。

北浦さん:「来年で、早期退職をしようか、どうしようか、と考え始めたのが、まさに会社から通知案内が来たときだったんですよ。」

とオープンにお話しされる北浦さん。

そこから、自分がどうしたいのか、分からずにモヤモヤしていたので、まずは身近な早期退職経験者、再雇用で働いている友人、元同僚、先輩、など様々な近しい人たちと話をしてみることからスタートします。

「まずは普通に会って会話の流れで相談して、面白いなと思ったら撮影するのです。最初から話し聞こうと思い会った人も少数いますが、ほとんどは別件や雑談の為に会い、ついでに退職の話をして盛り上がったから撮影する感じです。」

とお話しされます。

だから、スマホでの撮影にこだわったと言います。身近な人たちからのリアルな声を居酒屋やカフェで自然に撮りたかった。普通に近くの目線で話している様子を動画で撮影していくことで、等身大の声を取り入れたドキュメンタリーとして制作していきました。

こんな風に考えてたのか、と発見する日々。

北浦さんが何十人ものお知り合いとの対話を通して、人生観や仕事観を聴いているうちに、「この人はこんな風に考えてたのか、意外だな〜」と思うことも多くあったとのことです。

「家にある読みたい漫画や本が積読で溢れてる。これを死ぬまでに全部読もうとしたら時間が足りない。だから定年退職して本を読む時間に充てたいと思う。」

と言う友人や、

「死ぬまでに、世界各国訪問したい、と言う夢がある」
「人生、生まれてからが死刑宣告。残りの時間をどう使うか、を常に意識してる」
「日本の教育ではお金のことを学ばなすぎ。投資の方法を学ぶだけで先々の将来プランの見通しがだいぶ見えてくる。」

など、普段あまり話すことのない話題をふることで、友人たちの新たな一面を見ることがあったと言います。

様々な考えがあることを知り、世の中で一般的に言われている、定年後の悩み「老後2000万円問題」など、世間で言われていることに振り回されずになったと言います。

貯蓄をするために働き続けなくてはいけない、と言うものも、個人によって状況は違うこと。北浦さん自身が自分や自分の家族にとって最適な方法を見出せばいいのでは、と言うように考えるようになったと言います。

退職までの準備① 残りの人生で必要なお金をシミュレーション。

友人たちとの対話で視野が広がり、定年後、自分なりの最適な方法を見出していこう、と決断をした北浦さん。59歳で早期退職をすることを決意します。そこから自分が人生の中でやりたいこと、旅行や学び直し、映画制作に取り組もうと計画を立てます。

トークショーで北浦さんは、
「残りの人生で必要なお金をまずは自分でシミュレーションしました。そこから、出費をできるだけ押さえて好きなことをやる、と言う発想しました。」

会場からも

「経済的な不安をどう乗り越えたのか?」と質問もあがりました。

北浦さん:「現役でまだ働いている奥さんとも話し合い、退職金や年金、その他の不動産の収入も兼ねて、これからかかる子供たちの教育費などの出費とのバランスを考えました。そうしたら、生活コストを日々抑えることができたら今、自分が働かなくてもなんとかなる、と言うのに気づいたんです。

でも、その代わり、医療保険で大きな病気をしたときにカバーされる保険は入らない方針にしました。あえてリスクと言えばリスクかもしれないのですが、そこは腹を括って、起きた時は起きたとき、ということです。

あとは、自分がやりたいことを実現して人生全うしたいと考えたのです。旅行や学び直し、映画製作の活動など、人生後悔しないように生きることを優先することにしました。」

退職までの準備②会社員でいられるうちにできることを全うする!

北浦さんは引き続き、定年退職までの過程をお話ししてくれました。ドキュメンタリーの中でも、退職を決意したあとは、まだ会社員でいられるうちにやっておけることをやろう、と言う行動にでます。

北浦さん:「あと1年。東京のオフィス街でおいしいランチ巡り、歯医者さんにいっておいたり、クレジットカードを会社員でいられるうちに申請し、会員ステータスの上級が使えるうちに使う、など会社員だからこそできることをやっておきました。」

残り少ない会社員生活を満喫するんだ、と心持ちを持つと、同僚の温かさや自分の環境がいかに恵まれていたのか、と言うことにも気づくことができたと言います。

車に乗って、旅にでたら、現役時代出張で行っていた土地で、当時は忙しくて見えていなかった自然の景色など、今となったら、そういうものに余裕を持って味わえるようになった、と言います。

北浦さん:「忙しく過ごしていた現役時代の毎日では、ゆっくり立ち止まって景色を楽しむこともなかったけれども、身近なものや世界は綺麗なものに溢れている、と言うことに気づくことができました。」

会場で熱く語る北浦監督

退職後は:今ある幸せを噛み締めて生きる

あっという間に退職日を迎えた日は、コロナ渦の真っ只中。当時、そのために出勤してくれた、という同僚もいて、「とっても嬉しかった」と北浦さんは話します。

北浦さん:「退職をしてからもう2年くらい経ちますがあれからいろんなことをしました。

まずは、ドキュメンタリーの制作作業をしながらも、家族との時間を大切にしました。家では僕が食事担当です。

ドキュメンタリーは上映会、という形をこだわっています。リアルで観客の方から意見やコメントをいただいて、お話しできることが今の自分の喜びです。」

上映会をしてから、気づいたこともたくさんある、とお話しします。

北浦さん:「上映会をしてから、多くの人に、"北浦さんは良いお友達と家族に恵まれてるね!" という声をもらいました。自分はこれまで全然そんな風に思っていなかったのに。」

そうやってドキュメンタリーを通して様々な人から意見を言ってもらうことで北浦さん自身がご自身の大切にしていたものに気づかされたと言います。

北浦さん:「家の庭にいる芋虫の存在ですら、現役時代は気づかなかったけれども、今はその芋虫がアゲハチョウに育つのを見守ってあげてます。そうやって自分がこの地域から、アゲハチョウが育つような環境を作ってるんだ、っていう一体感のような意識も芽生えました。」

兼ねてからやりたかった農業や環境保護の関心も湧いてきていると言います。

好奇心をどんどん追求していきたい

北浦さん:「もう一つ、取り組んでいることは、海外に安い費用で旅行することです。昔から好きだったフィリピンで永住権を獲得しました。今ではフィリピンでの2拠点生活もしています。」

日本と大きく環境が異なるフィリピンでは、日本では当たり前とされている日常の平和からは程遠くかけ離れている。

北浦さん:「冷蔵庫がある、と言うのもフィリピンでは贅沢なんです。経済や治安の面ではまだまだ発展途上ではありますが、そこから人間としてどうあることが幸せなのか、意識させられる瞬間がたくさんあります。

フィリピンの安宿で過ごしながら、北浦さんは、自分の人生の幸せの定義がハッと思いついたと言います。

北浦さん提供の資料より

北浦さんが考える素晴らしい人生とは、好奇心が最大化され、自由を阻害する制約(時間、資金、身体、精神)が最小限になる状態、だと悟ったと言います。そして、素晴らしい人生とは、刺激に溢れた人生。自分自身が時間や資金などの制約に捉われずに好奇心が湧き上がって上昇している状態、と言います。

まとめ : 定年ってハッピー?

北浦さん、大変、刺激的な貴重なお話をありがとうございました!

北浦さん:「映画は低刺激なんですけどね。(笑)」

現在、北浦さんなりのペースでご自身の幸せのあり方を噛み締めながら好奇心を掻き立てる毎日を送っていらっしゃると言います。

北浦さん:「今、僕は改めて家族の大切さや自然とともに暮らしてることやフィリピンで出会う景色や人たちに好奇心を掻き立てられながら暮らしています。今、幸せだと感じていますが、現役時代から、実は自分はすでに幸せな要素をたくさん兼ね揃えていたけれどもそれに気付いてなかっただけなんだな、と感じます。

皆さんに何か偉そうなことを言える立場じゃなく、本当に普通のサラリーマンだった僕が言えることは、皆さんの中にもすでに幸せでいられる要素っていうのはずっとあるものなんだと思います。
ゆっくり時間をかけていろんな人と話したり、新しい景色をみたりして、自分の中にある大切なものに気づいていけたら、幸せな人生を送れるんだと思います。」

北浦さん、ありがとうございました!

▼上映会当日の北浦監督とProject MINT代表の植山トークショー動画▼

MINTでは、コミュニティ限定で、このようなドキュメンタリー上映会などのイベントも不定期で開催開催しております。

▼MINTのイベント情報ページ▼

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