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#インパクトデーゲストインタビューVol.1 「ミントは内省し、自分を手放し、人を引き寄せる力を強化するプログラム」

昨年12月20日(日)開催された第1期プログラム卒業イベントであるインパクトデーが開催されました。今回は、ゲストとしてインパクトデーにご参加いただいた杉本 泰宣さんにその様子、参加してみての感想など、杉本さんご自身の活動についても一緒にお伺いました。


▼インパクトデーとは?▼
SDGsに関わる社会課題や根深い日本の問題など、フェローたちが独自にテーマとする課題解決に向けた対話型ディスカッションを行う場。Project MINTの学びで得た思考法を使ってフェローたちが構造を分析し、特に重要なポイントについて整理。社会課題先駆者であるゲストたちと対話を通し、解決に向けたアクションに向け共に考え、お互いのコラボレーションの場を模索するイベント。


当日は約40名の働き方改革、教育、政府、メディア、投資各界の著名人である有識者ゲストにお越しいただき、フェローが持つ問題意識について、対話を通して一緒に深掘りしました。フェロー達にとってはまさにインパクトのある一日となり、改めて今後自分の解決したい社会課題と向き合っていくこと、その道筋がみえたことでこれから少しずつ歩みを進めていく決意が聞かれています。さらに、この場からゲストの方のと新たなコラボレーションがすでに生まれています。


それでは、詳しく伺っていきましょう!

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杉本 泰宣(すぎもと やすのり)さん
一級建築士。合同会社CIRCULATION-DESIGN STUDIOファウンダー & CEO。
全国渡り鳥生活倶楽部株式会社副社長。その他、不動産投資会社、農業法人、エンタメ会社のアドバイザー及び執行役員多数。
1979年福井県出身。真言宗古刹の二男として生まれ、大学卒業後、高野山の修行を終え、バックパッカーとして建築旅行へ。帰国後、大手設計事務所にて12年設計経験、国内及び外資系コンサル4年の経営コンサルを経て、現在は「ハードからソフトまで」をコンセプトに合同会社CIRCULATION-DESIGN STUDIOを主宰。建築・不動産の事業企画、戦略コンサルティングからプロジェクトマネジメントまで、建築・不動産を通して都市と地域の循環から事業デザインまで幅広く活動している。その他、社外では住宅サブスクリプション多拠点生活事業「wataridori」や農業・文化、芸術、エンタメと多方面に渡り事業活動の支援をしている。


ー世の中を変えていく熱量に、想いを新たにする

ーー杉本さんのProject MINTとの出会いはどのようだったのでしょうか?

 Project MINT創設者の智恵さんと共通の知人女性がいまして、私は彼女とは10数年来の友人なんですが、その彼女から「杉本さんに絶対会わせたい人がいる」と話があったのが出会いのキッカケです。「じゃあ、3人で会おう」となりまして、そこに現れたのが智恵さんでした。ミネルバ大学大学院を卒業して日本に帰国しProject MINTを立ち上げ、これからまさに第1期生が始まるというスタートのタイミングでした。とてもお忙しそうだったんですが、智恵さんの熱量に驚いたのをよく覚えています。また、私がその頃立ち上げサポートをしていました住宅サブスクリプション多拠点生活事業の「wataridori」の話に興味を持っていただき、すぐに意気投合しました。
 その後何かサポート出来ることがないか、とお互いに連絡を取ったところ、智恵さんの「風景を変えて、新たな自分に出会いたい」という言葉に触発されまして、wataridoriモニターとして南阿蘇と下関ハウスに滞在いただくことになりました。これが第1期プログラム後半のことで、智恵さんに「wataridori」のサービスも大変気に入っていただきました。また、南阿蘇に滞在中に、じっくりお話する機会があったんですが、彼女のProject MINTに対する熱量を改めて感じ、また個性あふれるフェロー達とのやり取りや彼女の受け止め方を理解したことで、「すごく大変なプログラムを立ち上げているな」と傍観しつつ、「世の中や人を変えていくならこれくらい熱量がないとだめだよね」と自身を省みながら改めて感じられる良い時間でした。プログラム自体もとても魅力的ですよね。

ーープログラムのどこに魅力を感じたのでしょうか?

 プログラム通じて、フェロー達がそれぞれ所属する組織に関わりながらも、個人で内省をし、個人として複業を行う、というより具体的な行動のアプローチがなされている点でしょうか。
 私は、前職でグローバルな経営コンサルティングファームにて建築や不動産のエキスパートとして働いていました。しかし、その業務は建築や不動産の枠だけにとどまらず、ハードからソフトと言われる組織改革や人材改革や人事制度、エンゲージメントの創り方、企業文化の踏襲の仕方に関する研修づくり、組織風土の中の人材改革などを行っていました。その中で実際に研修する業務に携わる中で、「一つの組織の中では人(個人の内面)を変えていくのに限界があるのではないか?」と感じていました。
 その点において、ミントのプログラムが組織と個人の両輪で進み、さらに具体的にアプローチに進むということを実際に肌で感じました。プログラムのセッションでのパネルトークやインパクトデーのゲストとして参加し、とても有意義な時間を過ごすことができました。


ー社会システムの循環を正しく作り直していく

ーーなるほど。ご自身が一級建築士でありながらコンサルティング会社で働くきっかけは何だったのでしょうか?

 私の実家は国の重要文化財にもなっている室町時代から400年続くお寺でして、幼い頃からその本堂の建築のかっこよさに魅了され、その謎を解明したいという想いから建築家を志しました。そして、日本最大手の設計事務所に約12年勤務し、日本橋の高層ビルや空港やホテル等、大手企業の日本からアジアの工場づくりサポートなど、建築を通して企業の事業をサポートしていました。その様な中でも、私が大きく影響を受けたのは、やはり実家のお寺本堂のご本尊でした。このご本尊は動物への供養を意味する仏様という少し変わった由来があって、32年に一回御開帳する日があるんですが、その日は動物に人生救われた方々が日本全国から大勢わざわざその日のために集まって下さるんです。ここに凄く感動しまして、「私の原点はここなんだ」と改めて気付いたんです。これはお寺という箱にではなくて、そこにある宗教的なソフトのプログラム、32年に一回御開帳されるというプログラムのなかに仕組みがあるのではないか、と。そこから、今まで設計事務所でハードをつくり続けていたところからソフトへと興味が移行し始めました。ですので、その後は建築より上流の建築系コンサルティングやグローバルな経営コンサルティングの会社で経験を積み、そして昨年ソフトもハードも一貫してコンサルティングも出来て、人・もの・こと、社会に循環をつくりだす会社「CIRCULATION-DESIGN STUDIO」を立ち上げました。
 
ーー なるほど。杉本さんのパーパス、原点が伺えて嬉しいです!様々な活動を展開されている杉本さんですが今、特に熱心に取り組んでいる活動はどんなことですか?

 最近改めて「自分が立ち上げた会社とは何だろう?」と考えています。人は誰しも経済合理性の中で、地域や社会で生きていく上での循環システムの中で役割を担っていかなきゃいけないですよね。「その循環を正しくつくり直していく」ということなのではないかと考え着きました。
 例えば、私が相談を受けたプロジェクトでは、バブル期に出来た200室の客室がある大規模ホテルで、インバウンド期にはアジアからのインバウンド客で賑わっていました。しかし、今回のコロナウイルスの大流行でお客様がゼロに。当然のように収益もゼロになりました。その時に、考えるべきは、「これからもこの200室をこれまで通り運営していくのか?」ということです。例えば、温度の高い温泉を利用して、地熱発電・売電し収益を確保し、施設投資をし、客室数を段階的に減らしながら、高単価な個室タイプの高級宿へ事業シフトしていく等、検討することは可能です。その事業を経営者と共に推進し、その為に必要な金銭面でのサポート、企業や人材に声をかけ協力を仰ぐなど、ソフトとハード両面で一緒に活動していくのが私の会社の役割です。
 このように時代の流れから人口も経済も縮小していきますので、この流れに正しく沿って常に見直していかなければならない、と感じています。しかし、経済は常に成長しなければならないという呪縛にとらわれ、それに向かって皆がなんとなく頑張らなけければならない社会の風潮がまだありますよね。この仕組みを、小さくても、ゆっくり遠回りしてでもいいから、本当にありたい姿になるような仕組みに変えていく必要があると感じています。現在の仕組みに限界がきていてすでに辛い思いをしている方がいるのを、どこの地域でも実感しています。

ーーなるほど。今の社会システムにはすでに限界がきている、と。

 そうですね。「食」もそうです。お米や野菜を自分で作れば、買わなくていいですし、これも循環ですよね。以前新潟で、92才のお百姓さんに「杉本さんは現代版百姓だね」と言われたことがあるんです。その理由を聞いてみると、「昔、百姓は地域から出ることがなかった。でも地域のことを何でもやらなければならなかった。お祭り、家の補修、地域のコミュニティ創り、子ども会で子ども育てて、畑はもちろん、漬物や梅干しをつけたり、、、100個のことをやらなければ生きていけないので百姓なんだよ。杉本さんは、建築や不動産や地域活動を通して、色んな切り口で色んな実践の場を創っているからね。」と。その考え方は古くて新しく、まさにその通りかもしれないなと感じました。自分の会社でも、wataridoriでも、様々な地域の方達と関わり、「ハードやソフト両面で地域の循環が上手く回る仕組み創りをこれからも変わらず続けたい」と思っています。


Vol.2へ続く

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