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グロースマインドセット (Growth Mindset) とは?

本日は、グロースマインドセットについてお話ししたいと思います。

グロースマインドセット (Growth Mindset) とは?

グロースマインドセットを知ってる、または最近よく聞くようになった、という方は多くいらっしゃるんじゃないかなと思います。

グロースマインドセットとは、社会心理学、発達心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学教授のキャロル・ドゥエック氏によって提唱されたコンセプトです。

彼女の有名な著書には、「Mindset」(邦題「『やればできる!』の研究」)や「Self-theories」があります。

グロースマインドセットとは、直訳すると「成長マインドセット」とも呼ばれ、「自分の才能や能力は、努力によって向上できる」という考え方です。ここでポイントなのは、「自分の力で変えられる」という自信になります。

一方、グロースマインドセットと対極なのは、フィックストマインドセット (Fixed Mindset) という「自分の才能や能力は、努力をしても向上しない」「生まれつき元々のレベルが決まってしまってる」という固定的な考え方を言います。

そして、グロースマインドセットを備えている個人は、フィックストマインドセットの個人よりも高い成果を出すということが研究結果でわかっています。その理由としては、グロースマインドセットの人は、自分がスマートにみられるかどうか余計な心配をせず、学ぶプロセスにより多くエネルギーを注ぐことができるからとのことです。

これは会社などの組織にも通用し、グロースマインドセットが浸透した会社は、社員がより自信に満ち、コミット意欲が高く、組織間のコラボレーションやイノベーションを創る傾向にあると言われます。一方、フィックストマインドセットが浸透した組織では、不正行為や社員間での衝突や社内紛争が横行し、他の社員よりも競争優位を得たいというクローズトなカルチャーができてしまうとのことです。

私がいっていた、ミネルバ大学では、教育機関にグロースマインドセットを導入し浸透させている代表的な学校だと思います。

まず、テストや試験はありませんでした。点数によって、生徒の良し悪しを評価するスタイルをとらず、授業内での貢献度合いで評価されました。オンラインで授業は全て録画がされているので、自分の発言内容やグループワークでの貢献度合いなど、多角的な面で、フィードバックとコメントを先生からいただきました。

あとはクラス全員が同じ量を発言することが求められる授業設計になっているので、「正しい、間違いか」「誰の答えが優位か」ということへのこだわりが手放すことができ、自分が本音でどう感じているのか、他のクラスメートはどう解釈しているのか?の内容にフォーカスすることができました。こういったミネルバの授業のおかげで、私の中のグロースマインドセットも、養われたのではと思っています。

特に、伝統的なこれまでの学校にいたときの私は合格点さえ取ればよし、という意識となってしまっていたので、ミネルバの授業によって、学問やコンセプト自体に興味を持つようになって、継続的にこの部分をもっと探究していこう、と好奇心や探究心が掻き立てられたように思います。そしてそれは習慣によって繰り返し行っていくことで、卒業して3年が経とうとする今でも継続的に学び続ける、ということがますます楽しんでいる自分がいます。

このように、グロースマインドセットは、これからの時代にますます必要となってくるマインドセットですが、現在は、グロースマインドセットにまつわる見識があまりにも流行し、バズワード化してしまっている状況とも言えるかもしれません。

そこで研究者本人のキャロル氏は、あまりにも人気が出てしまいあらゆる場でグロースマインドセットが語られるようになった状況を踏まえ、再びグロースマインドセットが本当に意味するもの、としてグロースマインドセットの誤解を取り除くため、研究論文を改めて発表しました。その名も「グロースマインドセットが本当に意味するもの」というタイトルです。


今日はそのキャロル氏が発表したグロースマインドセットにまつわる頻繁に見られる誤解について主に3つご紹介したいと思います。


1.もうすでに私にはグロースマインドセットが備わっている!元々持っているの。

よくある誤解として、グロースマインドセットは ”柔軟な発想を持つ” とか ”オープンなマインドでいる” や ”ポジティブに物事を考える” ということと混同されがちだということです。このように、元々グロースマインドセットを備えている、と自覚する人がいる傾向にあるということですが、キャロル氏は、誰もがフィックストマインドセットとグロースマインドセットを両方兼揃えていると言います。

この両方ミックスした状態が、経験とともに進化していくということです。

ピュアにグロースマインドセットだけを持っている人は存在しないということです。

2.グロースマインドセットを養うには、努力に対して褒めてあげることだ。

学校や会社で、褒めてあげることがグロースマインドセットを養う上で必要だ、という誤解です。どちらの場合でも、学校や会社で、”結果”を出すことは大切であって、非生産的な努力を褒めてもグロースマインドセットには繋がらない、ということです。努力自体を褒めてあげるのではなく、”学びの過程” について褒めることが重要とのことです。例えば、誰かに的確に助けを求めたことや新しい戦略を試してみたこと、挫折をバネにして同じ失敗をしないように乗り越えたことなど、取り組んだ過程で学びや進歩につながる行為について特に褒めることが大事となっています。

研究結果によると、生徒の成績や会社の業績は、こういったプロセスに深く取り組んでいることが大きく寄与しているとのことです。


3.グロースマインドセットを取り入れれば、良いことが起こる!

例えば、ミッションステートメントなどにグロースマインドセットを取り入れる企業が増えてきているようです。”成長” や ”イノベーション” など前向きなキーワードをミッションステートメントに入れること自体は非の打ち所がないですが、これを実際に社員が取り組みやすいような施策を導入できていない会社が多いとのことです。
元々のプロジェクトのゴールが達成できなかったとしても、その学ぶ過程を評価して何度もリスクを取りやすいように奨励していったり、自分たちの仕事の手柄を主張するのではなく、異なる部署と協力体制をとっていくような支援など、実際に会社の評価制度や業務フローの中に取り入れる必要があるとのことです。
グロースマインドセットは、行動によって徐々に醸成されていくものだからです。


以上が3つの誤解でしたが、キャロル氏は、グロースマインドセットを実践していくことは一筋縄ではいかないといっています。

なぜなら、フィックストマインドセットのトリガーが常にどんな人にも付き纏うからです。

困難な時にぶつかったり、誰かから批判されたり、人よりもよくない結果となってしまった時、どうしても不安な気持ちになったり自己防衛するなどの反応をしてしまいます。

特に仕事現場はフィックストマインドセットがトリガーになるシーンばかりかもしれないですね。自分の誤りを認め、フィードバックを相互に行って、情報共有をフラットに行っていくような組織作りもなかなか簡単ではないですよね。(多くの日本企業はティール型組織、とか自立型組織、とかそういう方向に向かってはおりますが。)

キャロル氏は、グロースマインドセットを発揮していくには、自分の中のフィックストマインドセットとうまく付き合っていくことが大切だと主張します。

特に、「セルフダイアログ」と言われる、自分自身に無意識のうちに問いかける独り言で人はネガティブな考えに陥る傾向があるということです。

例えば、失敗をしてしまい、必要以上に他人から批判されていると心配してしまったり、「ああ、何をやっても私はうまくいかない」「まだまだ力不足だ」と自分の中で自分に声を掛けるくせを意識することが大切だということです。

こうやって自分の中で、どんな時にフィックストマインドセットのトリガーが出てきてしまうのか、傾向を知っておき、ネガティブなセルフダイアログをしてしまっているな、と気づき、適切な方向に行動していけるようにしていく訓練が必要なようです。

日本人は特に、こういったセルフダイアログがネガティブな傾向がある人が多いのかなという印象です。私も含め、無意識のうちに「ああやっぱり私はだめだ」と思い込んだり、「まだまだ十分に成果を出せてない」と思いがちです。

文化的にも、常に自分に対して謙虚でいなければいけない、という教えが影響しているのだと思います。

そこで、そのセルフダイアログに気づき、成功するか失敗するか、ではなくどうやって学ぶプロセスを作っていくか、そこから学びを得るか、そのコツみたいなものを自分で積み上げていくか、それを周囲とも共有し互いに学び合うようなことができるといいのかな、なんて思いました。

はい、グロースマインドセットについて知っておいた方がいいことは、いかがでしたでしょうか?

皆さんの感想などもぜひ教えていただけたら幸いです。

次回のテーマは、個人が「パーパス」を持つこと についてお話ししたいと思います!




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