心の棲家を求めて
賃貸物件探しの経験しかなかった私にとって、古民家探しは未知の挑戦でした。10月22日から探しはじめ、11月9日に物件に出会い、12月18日に申し込み。あっという間のようでいて、手探りで一歩ずつ進んだ日々は、私にとって忘れられない学びの時間になりました。
理想の物件
まずは理想とする古民家物件を思い描きました。大和屋根の伝統的な外観、離れや土蔵、そして古びた井戸が浮かびます。朝日が差し込む自然に囲まれた静かな立地で、坐禅を組んだり、茶道を学んだりする日々――そんな物件が見つかれば、伝統文化や自然との調和を深めるための理想的な拠点になるのではないかと夢が膨らみました。不動産各社に物件の希望を伝えて紹介を待ちました。ちなみに、ご参考ですが上の写真は480万円、下の写真は300万円の物件です。
利用した主な検索サイト
古民家探しには主に以下のインターネット検索サイトを活用しました:
空き家バンク: 各自治体運営の物件情報を事前登録制で提供。例: 京都市空き家バンク
カントリーホーム: 民家特集ページあり。ただしフィルタ機能が限定的。
田舎暮らし物件.com: 地域ごとのフィルタ検索が可能。
地元の不動産会社へ数社お問合せしましたが、エージェントが検索するのは自社と他社の一般公開されている検索サイトのデータベースでした。
検索の難しさ
まとまった古民家データは存在していませんでしたので、複数のインターネットサイトで中古一戸建ての中から、自分の理想とする物件を探す必要がありまいした。私のイメージする古民家が有るのか無いのかの判断に至るまで、ひたすら検索結果を目検する必要がありました。
残念なことに検索フィルタの問題で、目検の件数が増えました。
利用した検索条件は、地域、戸建、木造、平屋。ほとんどの検索サイトは、築年数を具体的に何年までなど、上限を入力する仕組みでした。古民家なので、築年数を80年以上など大きな数字を入力したかったのですが、指定できませんでした。また、年数での並び順指定もなかったので、古民家特有の条件に合致する物件を探すのは手作業になりました。
古民家の価格水準
数週間の物件探しの後、古民家物件の価格感についても勘所がついてきました。
不動産仲介(売主から購入):おおよそ200万円〜800万円
立地により価格が変わる。改修が困難を極めるか高つくケースで、工務店が手を出していない。不動産仲介(不動産会社所有):800万円〜(1億円を超える物件有)
工務店が買取り改修して販売しているケースあり。改修の度合いにより価格が変わる。
なかなか辿り着けない理想の古民家
理想の古民家を探すのは想像以上に難しく、根気よく探し続けるしかありませんでした。朝晩4時間ずつ、ネットをくまなくチェックする日々。見つからないもどかしさと、次こそはという期待感が入り混じり、心の中は焦りと希望の交錯でした。都内で日当たり良好な東南角部屋を探すのと同じくらい難易度が高いことに気づきました。
複数の不動産会社へ古民家のお問合せをしたり、空き家コンシェルジュと直接お話をして、写真のようなイメージの古民家物件は人気が高く古民家マーケットに出てくるのは稀であることがわかりました。
理想的な物件は改修が少なく費用も低く抑えられます。このような物件は、知り合いを通じ引き渡し完了。
市場に出てくる物件は、工務店や不動産会社が手をつけなかった理由付きの物件。解体やライフラインなどの思わぬ出費が必要となる物件など。
市場に出た場合、何かしらの理由がついても、写真のようなイメージの古民家は大人気。
当たり前のことだったのかもしれませんが、私の中では発見であり重要な視点でした。
理想の古民家に辿り着くステップ(正論)
日々、検索サイトで新着物件に目を通す
メーリングリストへ登録して一斉発信される物件案内を受け取る
内覧予約
内覧とともに申し込み(場合により10万円or10%程度の手付金あり)
契約
ほとんど、#1のステップで滞っていました。不動産会社や空き家コンシェルジュなどからの古民家探しのアドバイスは明日見つかるかもしれないし、数年かかるかもしれないということでした。
空き家バンク物件
空き家バンクの物件を見るには、事前登録が必要です。自治体ごとに運営されているため、対象地域ごとに申請手続きが求められました。12市町村に対して登録申請と宣誓書(良い村民でいることを約束)を提出しました。この手続きですが、早い市町村で1週間程度、1か月を超えても連絡のない市町村もあります。久しぶりに、判子押印と原紙の送付が前提の書類手続きをすることになり、仕事と古民家探しで多忙になったスケジュールに紙書類対応の追い打ちがかかりました(涙)。
古民家あるある
空き家や相続した古民家を販売物件に持ち込むまでも大変な作業ということを学びました。販売中となっていても実は販売保留となっているケースが2件ありました。買い手がついて契約交渉を始めると相続手続きの問題が発覚するケースもあるようです。それぞれ、不動産屋さんと空き家コンシェルジュの担当物件だったのですが、よくあることだそうです。
地域のつながり
空き家コンシェルジュとの会話を通じ、理想の古民家はインターネットに出回る前に別ルートで紹介されることが多いと分かりました。また、不動産会社によっては、地元に強いつながりを持ち、独自ルートで古民家物件を多く確保するケースがあることを学びました。
物件との出会い
古民家探しを始めた10月22日から約3週間後、とある高尚な方から意外な物件を教えていただきました。資料を拝見し、『こんな風情のあるところがあるなんて!』と驚きました。私の検索条件には該当しないはずです。戸建てではなく土地販売の上物として古民家が付属していました。何はともあれ、ようやく心が躍る物件に出会え、ご縁に感謝しつつ大変うれしくも安堵したのを覚えています。直ぐに物件担当者に連絡し初回の内覧は11月9日に決まりました。
次回は、内覧を通じて見えてきた古民家の現実をお届けします。古民家ならではの魅力と課題に直面した体験談です。どうぞお楽しみに。