はじめに
坐禅を日常に取り入れながら、心にゆったりと目を向けられる場所に住んでみたいと思いました。古民家という選択肢を知り、自然と調和しながら志に向き合う日常を実現してみたいという思いが芽生えました。古民家をめぐる新たな挑戦を、感謝の気持ちを込めて綴ります。実体験の記録です。
きっかけ
今年の5月から、京都に通い坐禅、茶道、着付けを習い始めました。横浜にある自宅は二畳分の畳スペースを、坐禅や茶道の練習場として使っています。そこに机を置き、正座の訓練も兼ねて、仕事や写経の場所としています。この畳スペースで数ヶ月過ごしているのですが、どこかしっくりこないのです。心のどこかで、もっと深い何かを探し求めているような感覚が常にありました。京都の座禅会から戻り、洋室の片隅でぽつんと佇む二畳の場所を見たとき、京都の地で、この二畳の空間を主役にした新しい生活を始めたいと直感しました。
古民家を知る
当初は、漠然と京都の鴨川付近の中古マンションを候補に考えていました。とある高尚な方から「古民家、良いですよ」と助言をいただき、「こんな感じですよ」と実際の物件リンク(売約済み)を教えていただきました。大和屋根などの伝統的な外観、離れと土蔵付き、井戸もあり自然に囲まれた立地でした。未知の世界であった古民家を知ると同時に、「これだ!」と夢のある答えを見つけた心境になりました。
古民家再生の難しさ
物件探しを始めると、古民家にまつわるさまざまな課題や学びに直面しました。古民家には、築100年以上の歴史的建造物ならではの風格や、大和屋根、広大な敷地といった魅力があります。一方で、ライフラインの整備や修繕費用の高額さといった現実的な課題もります。たとえば、水道の本管の位置や下水の問題、下水道がない場合の生活排水の処理方法といった、都市部の物件ではあまり聞かない課題が身近にあります。また、道路の道幅が狭いことも多く、改修時の資材運搬が人力になるため、工事費用が割高になることもあります。
現代の整った住宅環境とは異なり、ライフライン整備への投資が必要なため、再生されずに朽ち果てる古民家も数多くあるようです。「古民家再生」という概念や「空き家バンク」などの取り組みが全国で進められており、古民家を守り活用する流れが広がっているようです。
古民家の持つ不思議な魅力
知れば知るほど、古民家は単なる居住空間を超えた存在に感じるようになりました。坐禅や茶道を通じて学んでいるのは「自然との調和」を日々実践すること。古民家は自然と調和した日常がもたらす静かな喜びを共有できる夢の溢れる場所のように感じられます。
そして、ようやく自分の原点である『自然保護への貢献』に改めて向き合えるような気がしました。坐禅や茶道などの伝統継承を取り込んだ日常と自然の調和を実現するための古民家再生。これからを過ごす場所として、大変有意義な拠点になるのではないかと考え始めました。
初心とともに
心の棲家として古民家の再生を実現する一歩を踏み出そうとしています。山あり谷ありの道のりになると思いますが、そのすべてが関わる人々の心や価値観を豊かにし、成長させてくれると信じています。今この瞬間にたどり着いたことへ感謝し、初心を胸に、一歩ずつ着実に、丁寧に歩んでいきたいと思います。
次回以降は、物件探しの中で出会った驚きや学び、そしてそれをどのように克服してきたかをご紹介します。どうぞお楽しみに。