【雑誌ベストカー提携企画】 本当の自動車技術講座…紙面では書ききれなかった正しい知識 < 世界のガソリン事情と、エンジンの効率 >
雑誌ベストカーとの "Relation 企画" 配信「限られた紙面の中では伝えきれない、確かな知識や情報を届ける」。ベストカー編集委員 梅木さんのご協力で、取材の現場からそのまま技術講座の内容の全てを届けます !!
「水野和敏が斬る!!…紙面では書ききれなかった確かな検証」との相互配信です。
今回は、日頃何気なく使っている レギュラーガソリンについて伝えます。
円安やウクライナ情勢による価格の高騰ばかりが話題になりますが…本当に、日本のレギュラーガソリンの価格と性能は「バリューの良い仕様」になっているのか ?
今回は、本質を見極めて思考力を向上させるためにも、良い例題です…!!
まず最初に… 先進国の中でオクタン価90前後の 耐ノッキング(異常燃焼)性が劣るレギュラーガソリンを未だに使っているのは日本だけという事を知っていますか ? (逆に、日本のハイオクガソリンは世界一素性は良いのですが…!!)
ヨーロッパやアメリカも以前は オクタン価90程度のレギュラーガソリンを使っていましたが、環境対策用のエタノール混合ガソリンも含めて、実売のレギュラーガソリンのオクタン価は 95程度まで引き上げられています。
先進国から取り残された、オクタン価90程度の日本のレギュラーガソリンを使うと、オクタン価95程度のレギュラーガソリンで開発されている欧米車は、ノッキング(異常燃焼)の発生によりエンジン破損の恐れがあるため、日本で走る殆どの輸入車はハイオクガソリンを使わざるを得ないのです。
しかし、輸入車はその結果、出力だけでなく「実用トルクも向上しているので、アクセルの踏み込み量が少なく」なり、高速走行や 流れに乗った走行での実用燃費は優れ 、実験等の結果ではレギュラーガソリンとの価格差を凌いでいます。国産のレギュラーガソリン用に開発されたダウンサイジングターボが、実用燃費や出力で敬遠されHV仕様に人気が移るのとは対照的です。
何故、欧米はレギュラーガソリンのオクタン価を90➪95に上げたのか…?
一言でいうと、出力アップだけではなく、実用燃費やCO2排出量削減が向上するからです。 特にガソリン代が、250~300円/Lで高額なヨーロッパでは「店頭の販売価格の差と、実用燃費の向上代」を比較し、「オクタン価90➪95で販売価格が+5円UPするより、実用燃費や出力が向上して-10円安くなる方が合理的。そして燃費の向上は、CO2排出量も低減できます。更にノッキング(異常燃焼)が発生しにくいから、ダウンサイジングの効率も上がる」ことなどから、レギュラーガソリンのオクタン価を95に変えています。
ダウンサイジングターボエンジンを「オクタン価90程度のノッキングが発生しやすいレギュラーガソリン仕様で使う」ことが本当に経済的でエコロジーなのか ? これは私が以前から言い続けている事ですが…
今回はこの辺を、梅ちゃんこと「ベストカー誌編集委員の梅木さん」と語りあいました。 最近の、欧州車の著しいダウンサイジング化と実用燃費の向上は、色々なメディアでも話題になっています。
今や日本のレギュラーガソリンは『ガラパゴスのガソリン』と言えるかもしれません…?
「ハイオクは贅沢でマニアが使うガソリン、クルマはレギュラーガソリンで十分」と、お客様が言うから、市場の声に基づきレギュラー仕様で開発しています…。これが本当に 本質を見抜いた上でメーカーが開発する合理的な答えなのでしょうか…?
今回のテーマは、単にクルマに関わる話としてだけではなく「本質を見抜いて未来を創る」一つのケーススタディとして、皆さんの日頃のビジネスなどの参考にも活用して下さい。
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