<定期購読マガジン特典映像> 【正しい ワンポイント・メカ解説編-第4回】タイヤ編-Ⅰ "空気圧について”
正しい ワンポイント・メカ解説講座。今回は、タイヤ編-Ⅰ” 空気圧について ” です。日常誰もが知っていそうなことですが…正しい知識を持っていますか ?
「タイヤの空気圧の点検と調整はガソリンスタンドでやってもらえばいいや」…私はそうしません。 クルマを開発する時、レース車でも市販車でも車と併せてタイヤの開発も自身で遣ってきたからです。
タイヤの中は空洞で、空気を入れて初めてタイヤとしての機能を発揮するのです…
一般にタイヤの空気圧点検は「燃費の為」的な宣伝や媒体の情報は流れています。
しかし、空気圧は事故やパンクや摩耗の重要なファクターなのです。
例えば…欧州車は「走行速度や積載重量により空気圧設定を変えている」のに「日本車は何故変えていない」のか?それは日本の技術者がタイヤを解っていないからです。
一例として…指定圧より低い空気圧で、人と荷物を載せて高速道路を120Km/h程度で走ると、タイヤの接地面の形がどうなっているか皆さん知っていますか…?
60Km/hではキチンと曲れたタイヤが、120Km/hでは「ゴム風船のように変化して」グニャグニャで踏ん張りが無くなり、ただの車線変更でも事故を起こすのです。(高速道路の直線で8の字ブラックマークが残る事故がこれ。)
でも、警察や事故鑑定士は「ハンドル操作のミス」で片づけています。知らないから…! 実際は空気圧点検不良なのです。
タイヤは路面の衝撃等を抑える為にゴム製で軟らかく作られています。これが原因です。
速い速度や積載荷重により、タイヤの地面との接地部分の後ろに「スタンディング・ウェーブ」という歪みによる変形が起こり、この変形によりグリップが無くなり踏ん張りが無くなるのです、又スピードメーターも誤差が大きくなります。
単に「燃費が悪い」等という、そんな生易しい事ではないのです。
これを効果的に防止する方法は「走行条件や積載量により空気圧を適正にする」しかないのです。ですから欧州車は「日常使用での適正な柔軟性と、ハイスピードや荷物積載時の硬さUP」を指定空気圧を変えて両立させているのです。(これがタイヤの正しい使い方です!)
ですから皆さんも、自分の使い方やクルマに合わせてきちんと空気圧のメンテナンスをする必要があります。 正しい知識を持って使用する時期や用途に合わせてやりましょう。
話は変わりますが…日産GT-Rで私は「300Km/hで隣りの人と会話ができる」と言いましたが、300Km/hで「スタンディング・ウェーブ」を防止して「走り、止まり、曲がる」が保証できるタイヤは、規格すらありませんでした。
だから、専用タイヤを私自身がメーカーと一緒に開発して造りましたし、300Km/hでもスピードメーター誤差は8%程度まで詰めたのです。(通常の高性能車では250Km/h以上だとタイヤの変形により速度指示が15%近く狂います。)
これらはほんの一例で、タイヤの空気圧の点検や設定については、もっと多くの伝えたい事があります。
ここから先は、クルマを観ながら解り易く動画で説明します。
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