_景岳全書__婦人科を読む_

【「景岳全書」婦人科を読む】2.婦人規上 2-1.総論類 婦人九證一(1)

【本文①】

婦人諸病、本與男子無異、而其有異者、則惟経水胎産之属。
故本門亦止列九証、曰:経脈類、胎孕類、産育類、産後類、帯濁類、乳病類、子嗣類、癥瘕類、前陰類。
凡此九者、乃其最切之病、不得不叧詳方論。
此外雑証、但與男子相同者、自有各門論治之法、故不以男女分而資贅於此。

【書き下し】

婦人の諸病は、もと男子と異なること無し、而して其の異なること有るは、ただ経水胎産の属のみ。
故に本より門亦た九証を列するに止む、
曰く:経脈類、胎孕類、産育類、産後類、帯濁類、乳病類、子嗣類、癥瘕類、前陰類。
凡そ此の九の者は、乃ち其の最も切なるの病にして、方論つまびらかにかざるを得ず。
此のほかの雑証、ただ男子と相同じくする者は、自ずから各門に論治の法あり、故に男女を分かつを以て資し此より贅せず。

口語訳】

女性の諸々の病は、本来は男子と同じである。異なることがあるとすれば、ただ月経と妊娠分娩の類いの疾患である。

ゆえにここでは9つの証を挙げる。経脈類、胎孕類、産育類、産後類、蔕濁類、乳病類、子嗣類、癥瘕類、前陰類をいう。

一般的にこの9つの証は、産婦人科疾患の中でも最も重要な病であり詳しく方薬や治療の方法がなく、今後確立しなければならない。

これらの他の証で、男子と同じ証は、各疾患に診断や治療法に系統だった相関がある。そのためここでは男女の区分を繰り返し述べない。

【山口解説】

女性と男性の病は、本来同じですが、月経や妊娠、出産に絡んで生じる病は女性特有のものです。よって、この「婦人規」では、それらに絡んで生じる病を9つに分類して、生理、妊娠、出産、産後、帯下、母乳、受胎と四時男女陰陽の地利飲食、腹部の塊、女性の外性器における病を論じてあります。


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目次

書き下し・口語訳/仁木小弥香
解説/山口誓己

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