【「景岳全書」婦人科を読む】1. 序
張介賓
字は「会卿」、号は「景岳」。室名を「通一子」とも号していました。西暦1563年、明の末期の生まれで、これは日本で言えばちょうど安土桃山時代。豊臣秀吉、徳川家康、織田信長が覇権を争っていた時期にあたります。彼は易経を深く研究し、易学と医学が同じ理論であるとし、易学の理論を医学の理論の解釈に用いました。主な著書には「類経」「景岳全書」があります。彼は後に「張仲景(傷寒雑病論著者)の後、千古に一人」と称され、偉大な功績を讃えられています。
景岳全書
張介賓は78歳でこの世を去りますが、「景岳全書」は彼が晩年に書き上げた全六十四巻からなる書です。刊行されたのは彼の死後60年後になりますが、彼の学術理論の集大成だといえます。
今回解説する「婦人規」はこの「景岳全書」の中にある、女性の病に焦点をあてた類です。張介賓は婦人科の専門として世に名前が知られていたわけではありませんが、女性の病を全面的に、かつ系統的に論じたこの類は婦人科の専門書であるといってもいいのではないでしょうか。
婦人科の専門書として有名なのは宋の陳自明(ちんじめい)が著した「婦人大全良方」、そしてそれに明の薛己(せつき)が注釈と自験例を加えた「校註婦人良方」が有名ですが、これらは非常に膨大ですから、まずは「婦人規」から勉強して後に、これらを読むのがよいと思います。ちなみに「婦人規」も、「婦人大全良方」の論から多く採用して論述されています。
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著者/仁木小弥香・山口誓己
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