【練塾ダイジェスト】漢方処方解説「右帰丸」
今回扱った漢方薬は「右帰丸」でした。
主要な症状は、疲労倦怠感、精力減退、腰痛、夜間排尿などです。
食欲減退はありませんが、下焦の冷えがあるので、排尿異常や下痢の傾向があります。
「右帰丸」は、熟地黄・山薬・山茱萸・枸杞・阿膠・杜仲・当帰・兎糸子・桂枝・炮附子の10個の生薬から構成されています。
この薬は、腎の津液が虚し、少陰経の陽気、つまりは命門の火も虚しているものに用います。
地黄、山薬、枸杞で腎の津液を増やし、桂枝、附子で少陰経の陽気を補います。
腎の津液を補う、つまり腎虚証の漢方薬としては「八味丸」がすぐに思い浮かびます。
「八味丸」の構成生薬は、地黄・山薬・山茱萸・桂枝・附子・牡丹皮・茯苓・沢瀉です。
「右帰丸」と「八味丸」の違いは、「右帰丸」の方が辛味の生薬が多いということでしょう。桂枝と附子に、杜仲や兎糸子も加わっています。
なので、「右帰丸」は「八味丸」よりも少陰経の陽気が虚しており、腎の津液も虚していると考えられます。
鍼灸治療でもとても参考になる漢方薬だと思います。
同じ腎虚証だとしても、「八味丸」なら「復溜」を少し深めにしてより陰を補ったり、「右帰丸」なら「太渓」を用いて腎の陽気も補うほうがよいと考えられます。
そのように選穴や手技にバリエーションを持たせられることの参考になると思い、今回は「右帰丸」を扱いました。
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