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ファンノベル・アシアン戦記 ~第2章~

※大事な注意!※

この物語は海神蒼月による二次創作「空想創作物語」です!
実際におられる(居られた)ライバーさん名が登場しますが「ご本人様とは一切関わりがありません」のでこの物語に関してご本人様 並びに関係各所へのお問い合わせはご遠慮願います。
また、実際のライバーさんに登場役として海神蒼月の演出・解釈等を加えてありますので一部の方の解釈違いを生む可能性がありますが、ご本人様・並びに関係の方以外の抗議は対応しかねます。
予めご理解の程をお願い致します。
では、始めます。

第2話・旅は道連れ。

トモケナギノ大聖堂へは、セイファルアから街道を南下してフェティクスの街を経由し、東へ向かいモノフェルの街を通り海沿いを行くとたどり着くファーリア湾に面した場所にある。
フォース達の時代、つまりは第2次神聖大戦の頃に魔導機関が開発されたお陰で人の移動手段は実は結構便利な物になっているはずだったのだが、聖󠄀ファーリア大陸ではまだ普及が進んでいないようで未だ中世ファンタジーな移動手段が主になっている。
今はフォースが治める聖フォース大陸や北方の大陸、トゥスファニーでは随分と機械化というか魔導機関化が進んでいるようだ。
その証拠に、俺はフォースからミニタブレットのような移動通信手段を渡された訳で、つまりはそのくらいの文明はこの世界にもあると言うことだ。

で、だ。
俺とハルちゃんは移動の為に馬車を手に入れることにした。
歩くには遠すぎるし、なによりハルちゃんの体力が心配だ。
「あるくのやだー」
なんて言いながら結局ちゃっかり付いてきているグワンに関しては心配はしてない。
最悪馬にでもくくり付けときゃ良いだろう。
とは言え、この世界で馬車を手に入れる手段がよく分からなかったのでひとまずは一度お世話になったギルド「ほしふる組」を訪ねたら、そういうのを扱う商人を紹介されたので行ってみたらこれがまたなんとも、善人を絵に描いたようなオッサンでとても上等な馬車を譲ってくれた。
…まぁ上等な分、安くはなかったのだがそこはロザリーからもらったお金が物を言った。

早速それから市場へ出向き、食料や簡単な寝具など3人分の旅支度を調えていざ出発!という段になって俺たちの馬車の荷台に紫色した猫を見つけた。
「あ、かわいい」
ハルちゃんが一番先に見つけた。
「う…なんかこの猫、ヤバい気がする」
何故かグワンが引いている。
「…確かにわりかしデッカい猫だな。こっちの猫ってこんなデカいのか?」
俺も見てみたが、人間の赤ん坊位のサイズ感だ。
俺が思い浮かべる猫イメージからするとかなりデカい。
「いえ、結構大きいと思います」
ハルちゃんもちょっと苦笑い風味。
「なー、わだっちゃん。コレ、どうするよ?」
コレ、と親指で猫を指す。
「どうするって言われても、つまみ上げて放り投げるのも寝覚めが悪いだろうに」
いや、そもそも持ち上げるにも重そうな大きさだし。
「猫はいじめてはいけませーん!」
ハルちゃんではない女性の声。
俺とグワンとハルちゃんが顔を見合わせる。
そのまま視線を猫へ。
猫、起きとる。
「さては妖怪か!?」
右足を引いてファイティングポーズ。
ポーズだけ。
「だーれが妖怪ですか!こんなカワイイ猫を捕まえて!」
紫の猫、立つ。
二足立ちの猫。
「いや、普通に二足歩行の猫は妖怪だろ」
ファイティングポーズを解除して両手だらりの俺。
「で、しゃべる猫さんよ。俺たちはこれからトモケナギノ大聖堂に向かうんだ。出荷されたくなかったらそっから下りた方が良いぞ」
俺が言うと猫はフンスと鼻息を荒げる。
「仕方ない!私がカワイイのは仕方ないから憑いていってあげましょう!」
猫が腰に手を当てる。
…腰?
「なんなら歌いますよ?」
どこから出したんだ、マイクによく似た何かを持ってるが。
「あ、そういうの間に合ってるんで」
首根っこ持って降ろそうかとも思ったけど明らかにこのデカさの猫を片手で持ったら首の皮がエラいことになりそうだ。
ので、止めた。
「では歌います。パ○プンテー」
うわ、この猫!
それ唄じゃねぇし!
「今日のパルプ○テの効果は!『いつもよりタンスの角に足の小指をぶつける確率が上がる』です!」
猫、ドヤ顔。
いや、パル○ンテの効果は自分で決めるんかい!ってかなんでそんな地味に嫌な効果なんだよ!
「ホント間に合ってるからやーめーてー」

馬車、進みます。
進んでいます。
御者台には俺とグワン。
荷台にはハルちゃんと猫。
「なー、わだっちゃーん。あの猫、マジで連れてくん?」
鼻くそでもほじりそうな勢いでグワンがダルそうに聞いてくる。
「仕方ねぇだろ、放り投げたら末代まで祟りそうだし、地味な嫌がらせみたいなパルプ○テ喰らわされるのは、それはそれでダルい」
肩をすくめてそう答えると「あー。だなー」とグワンも諦めモードに入ったらしい。

さすがに自分で歩いてる訳ではないとは言ってもセイファルアからフェティクスまで馬でも、これだけのんびり歩かせてれば まるまる2日はかかる。
まぁ、この手の中世ファンタジーではありがちな「野宿」ってヤツは、我々一行にも等しく降りかかる訳でして。
なんだかんだとセイファルアを出立したのは昼も過ぎてたから日が暮れた頃には多分フェティクスまでの行程の1/5程度しか来ていないだろう。
聖ファーリアの旅では未だ街道を往く行程でも野宿はまだ一般的で旅籠屋はたごやなんてのもそうそう建っていないのが現状だ。
この辺はずっと平原だから、道を少し離れればキャンプを張る場所には事欠かない。
とは言え、進行方向左手にはレルア・ギレス森林帯があり、隣り合うようにギレス山地が伸びているので、野生の動物は現れる可能性がある。
ウサギだのリスだのが出てくる分には可愛いが、モンスターや野獣が出てこない保証も無い。
なので街道警備の兵士達の存在はとても心強い。

夜ともなれば元の世界のように街灯がある訳でもなく、深夜に煌々と明かりをともす家や店がある訳でもない。
所々ぼんやりと灯る焚き火の明かりが見える程度だから星が綺麗に見える。
傍に立つ木にもたれて見上げると、なんだかやけに感傷的センチな気持ちになる。
この世界にもこうして数多の星々があるのなら、どこかに元いた地球があるんじゃなかろうかと考えてしまう。
「アシアンさん、これどうぞ」
乾パンと木の椀入りの具だくさんスープをハルちゃんが持ってきてくれた。
「あ、ありがとう」
俺が受け取るとハルちゃんはそのまま俺の傍らに腰を掛けた。
「星、綺麗だね」
星空を見上げたハルちゃんの視線は、なんだか星空のその先を見ているような気がした。
「ん、綺麗だな」
その視線を追うように俺もまた、星空に視線を送る。
パンをひとかじり。
いやじゃない沈黙。
焚き火の傍ではグワンが大の字で寝てる。
緊張感の無い奴め。
猫は…焚き火傍で丸くなってるか。
小さく笑いが出てしまう。
「…ハルちゃんはなんで『大聖堂』に行きたいんだ?」
なんとなしに、素朴で単純な疑問を口にしてみた。
ハルちゃんは、きょとんとしてから「そうですね…」とちょっと考えた素振りを見せてから
「どうして自分がここに居るのか、その理由が知りたいから…ですかね」
と、悪戯っぽい笑みを見せた。

「ま、わだっちゃんと会ったんだから会うわなぁ」
ボヤキなんだか独り言なんだか、グワンは猫を見遣る。
「ですよねぇ。こんなに都合良く会えるとも思ってなかったですけど」
猫、丸まったまま。
「わだっちゃんは気がついているのか?」
誰にともなく、独りごちる。
「どうでしょうねぇ。神はそう言うところ意外と気付かないかも知れませんね」
猫は猫らしく欠伸をしながら。
「そうかもな」
だとしても。
気付いてなくてもちゃんとこうしてられる。
なんでアシアンなんて名前を名乗ってるのかは不思議だが、わだちゃんのこと知る人ならすぐに解るんじゃないか、とは思う。
「どっちでも良いか、そんなこと」
俺もそう吐き捨てて草っ原に転がった。
「どうでもいいです、そんな些細なこと」
わだっちゃんみたいに、のどかでまったりした時間が心地よくてそのまま目を閉じたら眠ってしまった、らしい。

第2話・終

あとがき

第2章を書き始めてから、やたらと時間が経ってしまいました。
忘れてません。
ただいま、note。
ただいま、アシアン戦記。

それでも日々リアルライフの仕事をこなしながらバーチャルライバーをしつつ、配信をめぐる日々の中で頭も回らず、時間もないなかでは中々自分の妄想力が低下してたのも事実です。
とは言え、理想的に全部準備して描くコトは今の現状では厳しいのでぶっつけ本番、ノリと勢いで行くことにしました。
某猫の言うこともたまには役に立つw>ノリと勢い
さて、第2章は主に自分が配信者として活動していく中で大切にしていきたい面子とともに旅をしてみたくなりました。
海神蒼月公認にして自称妹のハルちゃん、なんだかんだ(本来の意味で)気が置けないグワン君や紫音さん(パ○プンテ猫ことw)と旅をしたら楽しそうだな、という感じでこの面子にすることにしました。
1話は完全に自分がリスナーという立場で、舞台の上で活躍するライバーさんと共に旅が出来たら、という憧れでした。
書き始めた頃と今のハルちゃんの感じが(良い意味で)随分変わったので、どうやって今の感じに合わせようかと考えています。

登場人物

・アシアン=ブルームーン役:海神蒼月
かつて設定した自分の世界に気がついたら飛び込んだメタ視点を持つ主人公。

SHOWROOM:ぶるすて🚐🌙 ~BLUEMOON STATION~
https://www.showroom-live.com/r/b0b7f4532887

・ハル役:ハル
化川桜那ちゃんのうどん屋で出会った可憐な少女。
人見知りな所があるが、アシアンとともにトモケナギノ大聖堂へ向かうことに。さて、その真意とは?

SHOWROOM:はるーむ
https://www.showroom-live.com/r/38d806117647

・グワン役:グワン
何故かアシアンを「わだっちゃん」と呼ぶノリの軽い男。
戦闘能力はそのおちゃらけっぷりからは想像出来ないくらい高い模様。

SHOWROOM:グワンの一夜城
https://www.showroom-live.com/r/BloodJ006

・『猫』役:紫音
(自称)パル○ンテとマ○カンタが使える猫。
ディップアイスのようなマイクを操る猫。
色々謎多き猫だがなんか鍵を握る存在でもあるようなそうでもないような。

SHOWROOM:singer 紫音 つかのまの夢と彩りを
https://www.showroom-live.com/r/shion01

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