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ATAMI ART GRANT 2022が開催されました!
「熱海の魅力をアートにより再発見」することを目的に2021年にスタートした「PROJECT ATAMI」は、滞在制作型プロジェクトである「ACAO ART RESIDENCE」と、若手アーティスト応援プロジェクト「ATAMI ART GRANT」を二本の柱として取り組んでいます。
「PROJECT ATAMI」の柱のひとつ、若手アーティストの制作活動支援を目的とした取組「ATAMI ART GRANT 2022(アタミ アート グラント 2022)」は、今年第二回目として「渦 ‒ Spiral ATAMI」をテーマに、熱海の街に彩りをつくるアーティストを公募し、30組の認定者を決定しました。
公募で選ばれた30組と「ACAO ART RESIDENCE」参加アーティスト20組は、本取り組みに共感してくださった行政・企業・個人のご協力の下、2022年11月3日(木・祝)~ 11月27日(日)の期間、熱海の魅力溢れる街中に作品の展示を行いました。
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今年のATAMI ART GRANTでは、ドバイでの活動経験を持つ次世代キュレーター、Sophie Mayuko Arni (ソフィー・麻由子・アルニ)さんがアラブ首長国連邦 (United Arab Emirates : UAE)と日本の外交関係樹立50周年を記念し「East-East: UAE meets JapanVol.5, Atami Blues」という企画展を、UAEにルーツを持つ外国籍アーティスト達と共に展示しました。
他にもイギリス、イスラエル、カナダ、スウェーデン、台湾、中国、フランスから様々なバックグラウンドを持つアーティスト達が参加し、とても国際色豊かなものとなりました。
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「East-East: UAE meets JapanVol.5, Atami Blues」はUAEと日本を拠点とする 8 人のアーティスト達によるサイトスペシフィックインスタレーションで、展示会場の一つであるHOTEL ACAO ANNEXを主な舞台に、アラビア半島と太平洋の海岸での旅、ノスタルジア、 サステナビリティを反映した作品が展示されました。
トップの写真はアブダビを拠点に活動するアーティスト、Hashel Al Lamki (ハシル・アル・ラムキ)さんの「Lucy」という展示作品です (photo by Naoki Takehisa)。UAEでかつて盛んだった天然真珠の採取業をテーマに、UAEの真珠にまつわる歴史や、過酷な自然の中伝統的な採取法を営み続けた潜水夫達の物語が描かれた絵画を、ホテルの営業中は結婚式など宴のための場所として使用されていた、サロン・ド・錦麟に展示しました。
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日本の高度経済成長期の最中1973年、何千年もの年月をかけて構築された壮大な自然の中に、豪華絢爛なインテリア装飾と共に建設された現HOTEL ACAO ANNEX (旧ホテルニューアカオ)。
キュレーターのソフィーは「熱海のリゾート建設は、今日のアラビア半島海岸の発展を反映しています。UAEも現在、何千年にもわたって開拓されてきた環境の上に建てられた、大規模なホテル建築に観光客を受け入れています。 」と述べ、UAEと日本のアーティストや建築家達が「沿岸」という環境を共通点に何を考えるのか?観る者に様々な視点を与える展示となりました。
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昨年のATAMI ART GRANT 2021から1年、宿泊施設としての営業終了からイベント施設としての新たな試みを経たHOTEL ACAO ANNEX。ART GRANT参加アーティストはもちろん、PROJECT ATAMIに関わるメンバー全員もたくさんの時間を
過ごさせてもらった場所です。
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今年も館内中が42作家によるアート作品で彩られました。
来年には再びホテルとしてのオープンを控えるニューアカオ。一つの時代を終え、さらに未来へと進んでいくちょうど節目となった貴重な1年を、そばで見させて頂きました。
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今年も熱海の地元の方々を含めたくさんの人達に協力頂き、新しい会場に作品展示をしたり、新たな取り組みにチャレンジしました。
スウェーデン出身のAmanda Moström(アマンダ・モストロム)さんは今年から会場になってくださった熱海市渚町の老舗カラオケパブ、ホワイトハウスのオーニングテントに、ドローイング作品を展示しました。アマンダが熱海での滞在を始めてからお店に遊びに行き、ぜひ作品を展示させて頂けないかとお願いしたところオーナーの木田さんは快く承諾下さり、「あそこもいいかも」と他に会場になってくれそうな所まで教えて頂いたりしました。
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中央町にあるバーコマドのオーニングテントにも、アットホームで落ち着きのある飲み屋街に温かな彩りを加える作品が。昔は赤線地区にある連れ込み宿として営まれていた建物の2Fには、台湾出身アーティストBIRDMANのカラフルな作品が。
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バーコマドのオーナー、高須賀さんのご協力にあずかり、ART GRANT開催期間中に全5回、バーを貸し切ってのトークイベントも行いました。参加アーティストとそれぞれの担当キュレーターが地元の人々も交えながら、ART GRANTを通した熱海での滞在や作品制作、展示までの道のりを振り返る交流の場を作ってくださいました。
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イスラエル出身のアーティストで、「紙」をメディアに制作活動を行うGali Sharf (ガリ・シャーフ)も、nagisArt caféを含む市内の3か所 (cafebar & guesthouse ennova, COEDA HOUSE)にそれぞれ異なる物語が描かれた作品を展示しました。ガリは日本に来るのは今回が初めてで、描かれた物語はガリが熱海の街を歩き回って散策し着想したものです。
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熱海の人気観光スポット来宮神社も、今年から会場としてご協力くださいました。竹久直樹の大型写真作品5点が、来宮神社に祀られている大楠横を含む境内の各所に配置され、秋晴れを楽しむ参拝者の方々の目に触れました。
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竹久さんが写真撮影を通して行う「人が見たい、ききたいと信じることであらわれるもの」への調査を元に、普段だと意識することのない熱海の工事現場をテーマに撮影し、熱海に響くこだま(=木霊)、を楠の木霊を祀る来宮神社で展開した新作です。
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来宮神社の大楠の後ろには、中島崇さんの作品も。圧巻の大楠や御社殿など、境内に目が行きがちな来宮神社ですが、その周りにある自然の美しさにも気づいて参拝者の方にさらに神社での時間を楽しんで欲しいと、大楠の後ろに流れる小川に沿ってPPバンドを一直線に通した作品です。
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緑豊かな来宮神社に朱色がよく映え、宮司さんにもいいですね!と喜んで頂きました。
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かつての文豪達が滞在しながら執筆を行なったといわれる、熱海市指定有形文化財の起雲閣も、今年から会場としてご協力くださいました。1919年に個人の別荘として建築され、その後は旅館として業態を変えながら地元の人々に愛され守られてきた起雲閣ですが、その見どころは中央にある大きな日本庭園。
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アーティストの髙木彩圭さんが、起雲閣内の展示室全体を使って展示してくれました。お庭が一望できる大きなガラス窓を構えたこちらの展示室ですが、9月に参加が決まり、市内各会場の下見会で初めて起雲閣を訪れた時点で髙木さんからぜひこの場所で展示できたら、と言ってくださいました。
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日頃から自然をテーマに多様なメディアを通して制作活動を行う髙木彩圭さん、10月からから11月にかけて熱海にじっくりと滞在し、起雲閣や庭園内はもちろん、街中も歩き回って撮影した写真や映像を幾重にも重ねて行き、無機質な印象の展示室の中でとても立体感あるインスタレーション作品となりました。
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こちらの展示室を含め起雲閣では通年、様々な企画展を催していますが、現代アート作品の展示は今回のART GRANTが初めて。文化財と言うこともあり、館長さん達と作品の設置や見せ方について制作段階から何度も話し合いを重ねて実現させ、髙木さんや会場側の方々、皆にとっても特に思い出深い展示になったと思います。
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起雲閣から歩いてすぐの、熱海魚市場一体にも大野光一さんの大型作品を展示させて頂きました。
魚市場は獲れたての魚の販売はもちろん、熱海の地元の方々が主催する様々なイベントにもよく使われる大事な場所です。
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アーティストの大野さんは、会期中の週末に合わせて参加できるワークショップも行ってくださり、人々の交流の場としての魚市場らしい時間が流れました。同じくART GRANT参加会場の一つであるAtelier&hostelナギサウラのオーナー、戸井田さんが熱海魚市場にも展示をしてみてはどうか?とアドバイスくださったことから、魚市場のオーナー宇田さんとのご縁に繋げて頂きました。熱海を愛する地元の方の想いがあって実現できた展示です。
今年は、TOYOTA社と一緒に、TOYOTAの給電車MIRAIを使った作品展示も行いました。まだ災害時を含む非常事態など防災の側面での認識がある給電車、もっと多様な利用案をアピールしたいとのことで、車のバッテリーから電気を取り出せる給電機能を、アート展示に使わせてもらいました。
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「Dreaming Car」夢見る車をテーマに、まるでMIRAIが意志を持って思い描く夢を覗き見るような、不思議な感覚を体験できる作品です。
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アーティストユニットのMESも、シルバーのMIRAIを使って屋外会場の一つACAO BEACH入口でインスタレーション作品を展示しました。
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いつもは陽が落ちると暗く、ほぼ何も見えなくなってしまうACAO BEACH入口ですが、サーモグラフィーを使って撮影した映像や照明のカラフルな色合いで、ART GRANT会期中のACAO一帯を盛り上げてくれました!
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また、イベント全体を通した企画として、スタートバーン社が提供するFUN FAN NFTでNFTアートのスタンプラリーも実施しました。
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ART GRANT参加アーティストの岸裕真さん、米澤柊さんのお二人がATAMI ART GRANT2022のためにそれぞれの会場をイメージしながら制作してくれた、完全オリジナルのNFT作品が熱海市内に散りばめられました。
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全会場のNFTをコンプリートしようと探しにきてくださる方達もいらっしゃり、イベント全体の回遊度をグッと上げてくれたので、是非とも来年以降も続けて行いたい企画です。
さらに東京・新宿から熱海までの片道バスツアー、「ARTAMI des BUS ART Tours」もART GRANT期間中に全5回開催。
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熱海市内の会場の作品をガイド付きで一気に回って観覧し、街全体の魅力をもっと身近に感じてもらえたらと、地元展示会場の一つ、薬膳喫茶gekiyakuのオーナーである近藤尚さん・鈴木夢乃さん夫妻と一緒に企画しました。
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薬膳喫茶gekiyakuの特製ランチBOXや地元で人気の「熱海ビール」とコラボレーションしたATAMI ART GRANT限定ラベルビールなどのお土産、また26日の最終回にはミュージシャンの七尾旅人さんがスペシャルライブをしてくださるなど、本当に盛り沢山でとっておきの企画となりました。
ATAMI ART GRANT 2022は熱海愛に溢れる地元の方々の力をお借りし、一回目の昨年よりもさらに市内の会場の規模を広げ、サイトスペシフィックな作品展示を行えたと思います。最終的には合計で約18万人にご観覧頂き、会期中にも頻繁に様々なイベントを行ったり、ART GRANT全体のPR活動にもより力を注いでチャレンジしたりと、新たな取り組みを実践できました。
今年の経験を元に、次はいよいよ三回目となる来年のATAMI ART GRANT 2023へ向けて早速準備を進めていくつもりですので、どうぞ引き続き応援をよろしくお願いします!
事務局 竹内