ベッソンの中細管と太管のユーフォニアム
1974年からレシーバーシャンクのサイズが変わった
ベッソンのユーフォニアムは、1974年にそれまでの「中細管」から「太管」に変わりました。しかし変わったのはマウスピースを差し込むレシーバーのみで、マウスパイプやボアサイズに変更はありませんでした(同じ工場で生産のブージー&ホークスもです)。
普段から「細管」「中細管」「太管」と言って、なんだか管全体の太さが違うようにイメージしてしまいやすいですが、ユーフォニアムの場合は、とかくこのレシーバシャンクの内径が違うだけのケースが多いです(ヒルスブルナー、ウィルソンなども)。
と20年以上前から言っているのですが、なかなか信じて貰えませんので… 検証します!(ざっくりと)
検証してみた
用意したのは、1974年前後のベッソンの「中細管」と「太管」のマウスパイプ。海外で廃棄になったボロボロのものを取り寄せました。まずこれをバーナーで炙って、マウスパイプとレシーバーシャンクをバラします。
太管の方は割とあっさり外れましたが、中細管の方はガッチリはまっていた上に歪みもあって、いくら炙ってもビクともしません。数時間掛けて炙りと力技を繰り返し、なんとかして外しました。リペアの方は、本当に毎日毎日大変だと思います。
まずは、マウスピースを入れるところを計測。これは違っていて当然。
続いて、レシーバーの末端を計測。中細管の方がわずかに太いですが、太管の方は半田の残りが完全には取れていませんので、誤差の範囲でしょう。
今度はマウスパイプです。まずはレシーバーとの接続側を計測。中細管の方がわずかに太いですが、かなりきつくレシーバーが嵌め込まれていて真円ではなく歪んでいましたので、これも誤差があると思われます。
さらにピストンシリンダーに接続する側を計測。どちらも管に対して垂直にカットされておらずガタガタでしたが、一致。
検証の結果
いずれも0.1mm程度の違いが見られましたが、計測したものの状態、パーツの個体差、計測の仕方などによる誤差の範囲と思われます。意図的にマウスパイプの設計を変えたとまでは言えないかと思います。
仮に設計を微妙に変えたとしても、新しい太管の方が古い中細管より細いというのでは、わざわざ新しい仕様として太いものに置き換える意味がよく判らなくなります。
それより、イギリス工場時代はパーツの個体差が結構あって、ロット番号で管理して先入れ先出しなんてことはなく、パーツ箱の中から嵌合するものを選んで組み上げていたと、工場関係者から聞いておりますので、今回計測した両者の違いも、おそらくは個体差に由來するものではないかと思われます。
【筆者注】
・かなりざっくりとした検証です。
・検証に使ったマウスパイプとレシーバーは史料として、大切に保管しております。
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