
【オーストラリア】論点はどこに?
シドニーのとある学校で一部の生徒たちとその保護者たちが起こしたデモが注目を集めた。
デモはその学校で勤務していた補助教員Aが解雇されたことに抗議するものだという。問題はこのAが解雇された理由だ。Aは強いイスラム思想と反イスラエル思想を持つ人物で、彼がとったある行動が問題視された。
先日イスラム系看護師2名が「イスラエル系の患者が来たら処置せず危害を及ぼす」との発言をしているビデオが公開され、看護師のうちの1人が脅迫等の罪で検挙された。
この問題について補助教員AがSNSで「選り好みによる道徳的暴挙( Selective moral outrage)」だとして
オーストラリアの政治家たちへの嫌悪感をあらわにした動画をSNSで拡散したことによって、ニューサウスウェールズ州(NSW)の教育省から解雇を言い渡されたというわけだ。
このNSW教育省の決定を不服としてデモ活動を始めたのはイスラムを信仰する生徒とその家族がほとんどだった。パレスチナ解放を望むイスラム系の人々は多く、故にイスラエル、イスラエル系の人々を嫌悪する人が多いのは周知の事実だ。
ただ個人的には州立学校で勤務する公務員Aが就業規則に従わなかったとして解雇されるのは当然のように思う。彼が勤務していた学校は州立の男子校で私立のイスラム系の学校ではない。公務員の政治活動については事前に雇用主の許可を要する場合が多く、今回のように偏った主張をSNSで幅広く拡散するという行為はあってはならないことなはずだ。
Aはこの学校で13年間も補助教員として勤務してきたという。そもそもなぜ強い宗教感を持つAが雇用されたのか疑念を抱かずにはいられない。ひょっとしたら採用された当時は今よりも人物チェックがゆるかったのかもしれないが、それにしても、、、だ。
それからもう一つは、そもそも問題の発端となった看護師たちの発言は看護師としてあるまじきものなのではないかと思える。これを人種差別だという訴えはあまりにも無理があると感じる。
医療の現場にも教育の現場にも宗教観は持ち込まないというのが鉄則だと思うのは私だけではないはずだ。
人種や宗教による差別の問題なのか、公務員としての倫理観の問題なのか。この問題の論点とは一体どこにあるんだろうか?