ロックダウンが感染を拡大させる時
前回の記事で「ロックダウン」という用語のあいまいさについて書きました。その上でこの記事では、「ロックダウン」という言葉を「地域隔離」と「外出禁止」という二つの対策が任意の強度で複合したもの、という意味で用います。どの程度どちらの対策を盛り込むかは国や地域で異なっていると考えます。その上でロックダウンが引き起こす危険な状態について考えます。
ロックダウンという言葉が特に用いられるとき、それは特定の地域や都市について限定的に用いられるというニュアンスがあるかと思います。「地域隔離」の文脈で考えるとレッドゾーン指定することで域外との移動を制限しレッドゾーン外への感染の拡大を抑制するという効用があると一般に考えられるでしょう。
「外出禁止」の文脈で考えてみても、対象を域内に制限することで経済的なダメージを限定できる、つまり域外では正常な経済活動が維持できると考えられ良いことだらけのようにも思えます。
しかし、現実は異なります。
イタリアで3/8にイタリア北部の封鎖が行われた際、封鎖直前に封鎖区域外へ脱出する人々が発生しました。その結果、3/10にイタリアは封鎖対象を全土へと拡大します。
部分的な「地域封鎖」にしても「外出禁止」にしても、その不自由を嫌って、あるいは安心安全を求めて、あるいは失業により職を求めて、その地域を脱出する人々が必ず発生します。その中には感染者も含まれているはずです。
一方、ロックダウン対象地域の外の人々は、自分たちの地域はまだグリーンゾーンであるから日常生活を送っても良い、という誤ったメッセージとして受け取る可能性があります。
この二つが重なり合うことで、ロックダウン対象地域外での感染の爆発的増加の可能性が高まるのです。
結果的にロックダウン対象地域外でも「外出禁止」などの社会距離拡大戦略が必要になります。
上の記事にあるように全土封鎖に踏み切る国が多いのはこうした事情と思われます。
特定地域を強くロックダウンするより、緩やかでも日本全土、すべての地域で外出自粛を徹底するほうが効果的ではないかと思うのです。そして外出自粛は今すぐ私たち自身で行える対策です。
できるだけ人との接触を避け家で過ごしましょう。あなたの外出自粛はきっと東京のロックダウンより感染拡大を防ぐ効果があります。
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