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【一般社団法人つなげる30人・理事鼎談】全国各地の「30人」をつなげる先に待つ未来とは?

一般社団法人つなげる30人・理事インタビューシリーズの最後に、本稿では、加生健太朗、野村恭彦、日比谷尚武による鼎談をお届けします。

一般社団法人の事業計画を発表したことを受けて、これからの具体的な計画や、各自の意気込みや思いなどをひも解いていきます。

●リーグ初年度は10地域で

——6月7日に「一般社団法人つなげる30人」の事業発表会を行いました。改めて、今後の展開を聞かせてください。

🟥加生: まずは、これまで関わってくださった全国の約900人近い「つなげる30人」関係者に深い感謝を申し上げたいと思います。特に立ち上げ時から常に応援いただいた渋谷区をはじめ、その他関係する自治体の方々、そして各エリアの立ち上げを主導したプロデューサーの方々なくしては、すべてが絵にかいた餅でした。

今後はより全国の関係者をつなげ、さらに「つなげる30人」の普及啓発に努めていきたいです。具体的には、「つなげる30人リーグ」や「つなげる30人図鑑」の企画運営に取り組んでいきます。

「つなげる30人リーグ」とは、これまでの活動をさらに広げ、かつ全国各地のプレイヤー(加盟団体)同士をネットワークし、連携を深めていくことを目的とします。

今年度はトライアルなので10地域までの募集となりますが、毎年増やし、5年後には国内で30地域をひとつの目標にしたいと考えています。将来的には海外展開も夢見ています。

また、「つなげる30人図鑑」は、OB・OG含めてプレイヤーの一人ひとりを一覧で見られるようなデータベースのことです。

ほかにも「つなげる30人ラボ(仮)」を立ち上げ、実践研究を通じてコレクティブ・インパクト分野等の知見創出にも貢献できたらと考えています。

●自主自立、相互支援の仕組みを作りたい

——一般社団法人化したことで、理事の3人それぞれがやりたいこととは何でしょうか?

 僕が考えていきたいのは3つあります。

1つは、引き続き情熱を持ちつつも、自分だけが手足を動かしすぎないことです。周りの人たちの熱量を生かしながら、一般社団法人を盛り上げていくのが最大のテーマです。

熱量のバランスも大切で、理事やその近しい人だけが盛り上がっているのではなく、各地の会員それぞれが「つなげる30人」の趣旨に賛同して、会員になっていただき、一緒に価値を高めていきたいと思っています。

2つ目が、昨年、長崎県佐世保市で生まれたケースのように、完全に自主自立で開催する仕組みを作ることです。そのためには、いかに会員同士の相互支援、相互学習によって運用できるかが大事だと思っています。時間はかかりますが、このことに取り組みたいです。

最後は、地域のベストプラクティスがあったとき、それをすみやかに共有していくことです。これを実現するにはエリアを超えたつながりと、継続的な関係性がキーになるはずです。

●短期的な成果を求めない活動であるべき

🟦野村: 僕は「つなげる30人」を、スローイノベーション、スローリーダーシップと絡めて考えています。ビジネスの成功などとは違うものを探求するための、強いコミュニティーにしたい。

昨今はソーシャルセクターですら、ファストに解決できるものに取り組み、それを皆が評価しています。わかりやすさを求める風潮がありますし、結果が出ないとメディアが取り上げないから、ますますファストなイノベーションばかりが注目されてしまいます。

そうではない価値観を持っている人たちの集まりが「つなげる30人」だと思うし、僕らは短期的に成果が出なくても正しい方向に進んでいるのだと、強い気持ちでいられるコミュニティーになったらいいなと感じています。

重要なのは、そういう気持ちを押し付けがましくなく、皆で共有できるかどうか。例えば、まったくアウトプットが出てないけど、すごく大事なことにチャレンジしている人を表彰するアワードを設けるのは良いかもしれませんね。

●広報活動を加速

——日比谷さんはいかがですか?

🟩日比谷: いろいろな地域を回る際に、「つなげる30人」のプロジェクトを積極的に紹介したいです。理事になったことで、「もし興味があったら、具体的にご案内しましょうか」と、行く先々で責任持って伝えられるようになりました。たとえその時には条件が合わない地域に対しても、開催候補として何かあった時にすぐに提供できるような仕組みを作っておきたいですね。

🟩

🟦野村:日比谷さんは人と人とをつなぐのが得意だから、例えば、毎月定例で「つなげる30人」の説明会や事例発表会を開いて、そこをつなぎ先にしておくといいかもしれないですね。ひとまず説明会に来てくださいよ、と。

それと、月例会の良いところは、どの地域も1年に1回は成果を発表できるということ。そうした場があれば、各々の活動も自然に広まっていくのではないでしょうか。

🟩日比谷: そうですね。僕ももっといろいろな地域の30人プロジェクトを知ったほうが、つなげる機会が増えるかもしれません。実際、渋谷以外でこれまでに足を運んだことがある地域は、京都だけですし。

●地域を超えて、誰もが自由につながるプラットフォームの実現

——各自の役割や動き方も変わっていくのでしょうか?

🟦野村: 僕は京都も広島も自分で続けますよ。もっとやりたいことがあるから。僕自身はプラットフォームを作ることが目的ではなく、「つなげる30人」という枠組みで、本当に街を変えるような事業やエコシステムを生み出せるかどうか、そこにチャレンジしたいと思っています。

一方で、他の地域の人たちが何をやっているのか、今までは詳しく知りませんでした。だから、そこともつながりたいと思うし、自分が実験していることも伝えたい。

繰り返しになってしまいますが、僕個人で言えば、ただプラットフォームを作りたいわけではなくて、皆でそれを一緒に作ることで、思いを持った地域同士がつながり合えるのがメリットですよね。プラットフォームがあることで、自分が取り組んでいる京都や広島の活動もより良いものになっていく。これは一般社団法人になることの意義だと思います。

🟥加生: これまではエリア同士をつなげることができる人が限られていました。例えば、名古屋と横浜をつなげたいと思っても、両方を知っている人でなければ無理でした。また、地域をつなげるのもパワーやエネルギーが要ります。

今までは誰かを経由しないとつながれなかったのを、「つなげる30人図鑑」などのプラットフォームを通じて、つながりたい時に、つながりたい人とコミュニケーションを取れるようになります。これがきちんと機能すれば、地域のベストプラクティスを横展開することも可能です。

🟦野村: 地域間の学び合いも増えると思いますよ。広島の例でいうと、この地域は各企業の役員レベルとしっかり握れているので、毎年新しい人を「つなげる30人」に送り込んでくれる体制ができています。ここが広島の強み。

一方で弱さは、参加しているNPOが少ないこと。それだと解像度の高い地域課題や社会課題が議題に上がってこないのです。

このように、地域ごとに特色や、長所・短所があるはずですので、そこをお互いに学んで、いいとこ取りできるといいですね。

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