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2024/12/11開催「渋谷をつなげる30人」第9期 Day3レポート
Day3の位置付け・目的
Day3の大きなテーマは 「オープンセッションの準備」 です。
Day2では、企業・NPO・行政といったセクターを横断し、共通のテーマを持つグループが形成されました。しかし、「つなげる30人」のプログラムでは、企画をグループ内だけで進めるのではなく、ステークホルダーとの共創 が重要になります。
そこでDay3では、次のポイントに沿って準備を行いました。
共に推進すべきステークホルダーは誰か?
ステークホルダーが快く応じてくれる「呼びかけ」(問い) とは何か?
この2点を大きな軸にした準備を進め、次回の Day4 では、自分たちでセッションを開き、ステークホルダーを招待します。そして、問いを元に多様な想い・意見・アイデアを引き出していきます。
Day3は、そのための重要な準備の時間でした。
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特に以下のポイントを重視し、セッションを設計、運営をしました。
※Day1およびDay2の様子は下記から御覧ください。
プログラムの流れ
13:00-13:40 オリエンテーション・チェックイン
14:00-14:30 オープンセッション概要説明
14:35-15:10 【グループ対話①】オープンセッション開催目的
▶Round.1 これまでの話しの感想共有
▶Round.2 オープンセッションからどんな成果を得たいと感じるか?
▶Round.3 改めてチーム結成のストーリーの確認
15:10-16:30 【グループ対話②】
▶「問い」ブレーンストーミング
▶「ステークホルダー」ブレーンストーミング
▶ 「セッション設計シート」作成
16:30〜17:00 全体共有
17:00〜17:20 チェックアウト
17:20〜17:30 アンケート&アナウンス
オープンセッションとは?
オープンセッションは、「つなげる30人」のプログラムにおいて、多様なステークホルダーと共に対話し、協働の可能性を探り、共に未来を創るための「開かれた対話の場」です。
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一般的な組織の会議が「固定メンバー」「密室的な議題」「上下関係のある関係性」に基づいて行われるのに対し、オープンセッションでは以下の特徴があります。
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メンバーは普段出会わない属性の多様なステークホルダーが集まり、議題はオープンで魅力的な「問い」をテーマにすることで、参加者がワクワクしながら考える場になります。運営は議長に依存せず、中立的な進行役が対話を重視し、立場や年齢に関係なく参加者は対等な関係で自由に意見を交わします。企画の初期段階でステークホルダーと対話を行うことで、実現度の高いプロジェクトへとつなげることができます。
オープンセッションの目的は、ステークホルダーの声を早期に取り入れ、組織内だけで進めると陥りがちな「独りよがり」な企画を防ぎ、現場のリアルな声やアイデアを反映することです。
また、有効に進めるための以下の4つのポイントがあります。
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1.問い
オープンセッションの中心となるのは「問い」です。
良い問い は、参加者がワクワクし、共感して一緒に考えたいと思えるものです。
例えば「新型スマホを売るためにどうすればいいか?」のような自己都合な問いではなく、「家族の絆を強めるためにはどうすればいいか?」という問いに変えることで、多様なステークホルダーとアイデアが集まります。
また、「どうしたら楽しく渋谷の落書き問題を解決できるか?」という開かれた問いは、ステークホルダー同士の対話を促し、具体的なアクションにつながりました。問いを立てる際は、問題意識をステークホルダーと共有し、「共に考えたい」という気持ちを引き出すことが重要です。
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2. 想い
オープンセッションの成功には、テーマを推進する側の「想い」が欠かせません。自分たちがなぜこのテーマに取り組むのか、何を達成したいのかという「想い」を明確にし、それを問いに込めることが重要です。「こんな場で一緒に考えたい」という姿勢がステークホルダーに伝わることで、共感と協力が生まれます。また、自分たちの仮説が現実と一致しているかを確認する機会にもなります。
3. ステークホルダー
多様なセクターのステークホルダーの存在が、つなげる30人のオープンセッションの醍醐味です。単なる関係者ではなく、一緒に考えたい人や取り組みたい人を指します。ステークホルダーの範囲や選定が、対話の深まりと新たな協働の可能性を生み出す鍵となります。
例えば、以下のような視点でステークホルダーを捉えることが可能です。
当事者:テーマに直接関わる立場の人や課題を実際に感じている人。
例)落書き問題であれば「書いたことがある人」「書かれたことがある人」など。共に取り組みたい人:課題解決やアイデアの実現に向けて、協働の意欲や専門性を持つ人。
例)企業担当者、NPO、専門家、地域団体など。行政・組織関係者:制度や仕組みづくり、資源提供の役割を担う人。
例)行政職員、自治体関係者、政策に関わる人。広い視野を持つ第三者:新たな視点やアイデアをもたらす外部の参加者。
例)クリエイター、教育関係者、メディア関係者など。
ステークホルダーを招く際には、「共感」や「関心」を引き出せる問いを明確にし、自分たちの想いを伝えることが大切です。また、初期段階では組織内の関係者を巻き込み、理解や協力を得ることで、後の展開がスムーズになります。
オープンセッションでは、普段出会わない属性の人々と対話することで、自分たちの仮説が現実と一致しているかを確認し、思い込みを超えた新たな気づきやアクションにつなげていきます。
4. 方法論
オープンセッションは、発散と収束 を繰り返しながら進めていきます。
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短時間の場合(60~90分):発散に集中し、問いを起点にアイデアを広げ、1度収束させる形で進行します。時間が十分にある場合(120分以上):発散と収束を2回繰り返し、問いを深めて洗練させます。対話を重視しながらも、時間や参加者の特性に合わせて柔軟に設計することがポイントです。
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上記の要素を、各チーム内で円滑に話し合うために下記のような「セッション設計シート」を活用し、対話を深めていきました。
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Day3の成果
各グループごとにDay3での対話の成果を共有し、それぞれセッション準備とステークホルダーへの声掛けを進めていく事になりました。
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▶シブツナ
日時:1月20日(月)17:30-19:00
目的:渋谷から地方の魅力を発信し、地方に人口を増やす。東京に出てきた地方出身者は地元への思いが強いことを背景に、ふるさとへのつながりを考える。
参加者:東京生まれ東京在住の人、東京生まれ地方在住の人、地方生まれ東京在住の人、地方生まれ地方在住の人、海外生まれ日本で働いている人、地域活性化センター関係者
問い:渋谷でふるさとをどのように感じることができるか?地方への印象や、旅行の頻度・目的について知りたい。
▶シブヤのヒナン
日時:1月21日(火)10:00-12:00
目的:渋谷を安全安心な場所にする。避難場所についての理解を深め、住民の安心を創出する。
参加者:防災関係者、住民、防災の専門家、避難せず帰宅を希望する人、避難場所責任者(例:小学校の先生)
問い:自身が今災害に直面したらどう行動するか?どのようなイベントなら防災活動に参加しやすいか?避難所に何を期待するか?
▶みらいこどもたいけん
日時:1月22日(水)16:00-18:00
目的:渋谷のスローガン「違いを力に変えるまち」に基づき、多様な子どもたちの個性を伸ばし、やりたいことを見つける機会を提供する。子ども自身が考え、行動する体験の場を創出する。
参加者:中高生、その保護者、投資家、中卒・高卒者
問い:「将来何を成し遂げたいか?」子ども自身の将来のビジョンについての考え方。保護者の視点から、子どもの「やりたいこと」をどう支えるか。
▶シブヤ発見部
日時:1月23日(木)13:00-15:00
目的:シャッター商店街を復活させる(経済的活性化・愛着の向上)。長期的には商店街の魅力を発信し、持続可能な活性化を目指す。
参加者:商店街関係者、渋谷在住の70〜90代の住民、渋谷区商店街担当者、元商店街関係者、ツアーガイド、インバウンド関係者・商店街の元組合員、シャッター店舗関係者
問い:渋谷の商店街ならではの魅力とは何か?
大忘年会
Day3終了後には、1期〜8期までのOBOGとの合同大忘年会が開催されました。渋谷区の長谷部健区長からはビデオメッセージをいただき、3月の発表会に向けた激励の言葉が届けられました。また、Day3の成果をOBOGへ早速共有し、助言を受ける場面も見られ、世代を超えた交流で会は大いに盛り上がりました。
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