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【地方創生における敦賀モデル草案】 〜地方都市が行政予算で地元プレイヤー発掘・育成するには〜

最近、地方創生に関する議論が再び活発になっています。(界隈では「地方創生2.0」とも言われているそうです)

そもそも「つなげる30人」は渋谷区を起点に横浜・名古屋・京都・広島等の大都市圏を中心に初期は拡がり、現在では中核都市へと拡がりを見せており、2014年以降の所謂「地方創生ブーム」の際、直接的な関わり合いはほとんどありませんでした。

地方創生の本質とは

まず、地方創生の本質は、地域の特性や資源を最大限に活かし、持続可能で自立的な発展を目指すことと捉えています。

つまり、地域の行政、企業、NPOなどが協力して創造的な解決策を生み出し、地域経済の自立を促進し、その結果、地域の魅力を再発見・発信し、地域ブランドを強化しながら、人材の育成や地域自治の強化が進むことが、持続可能な地方創生を実現する鍵と考えます。

しかし、それに照らし合わせた時、現状の地方創生事業に対して、「つなげる30人」として感じる課題は以下の点です。

課題

1️⃣ 地域ごとの運営方法の違い

地域の特性や背景が異なるため、地方創生事業の運営方法にもバラツキがあります。(個別にうまく行っているケースは多々あると思っています。)地域に合った方法を取らなければならない反面、標準化が欠けており、国策として面で効率的に展開できないことがあります。

2️⃣ 財源が国の予算に依存し、予算が切れれば事業も終了

地方創生事業は国や自治体からの予算に依存していますが、予算が終了すれば事業も終わるため、持続可能な運営が難しく、継続的な発展が阻まれることが多いです。

3️⃣ 都市間のつながりが不足している

都市間での協力や情報共有が不足しており、成功事例や課題解決のノウハウが地域間で広がらないため、効率的に地域創生を進めることができません。

4️⃣ 外部コンサルタント依存が強い

地域創生事業が外部コンサルタントに依存しすぎていると、地元の自主運営が育たず、地域内で持続可能な運営体制が確立しにくくなります。(2️⃣ともつながりますが、コンサルタントのノウハウは移転されず、コンサルタントが去れば誰も運営できなくなります)

5️⃣ セクター間の連携ノウハウが不足し、持続可能なビジネスの創出が難しい

行政、企業、NPOなど異なるセクターが協力するノウハウが不足しており、効果的な連携が難しい状況です。このため、持続可能なビジネスモデルやソーシャルビジネスを創出するのが難しく、地域創生の長期的な成功に結びつきにくいです。

提案

これらの課題に対し、私達は地元のプレイヤーを発掘・育成するためのアプローチを提案できます。

1️⃣ 地元主導の運営で、地域ごとの違いを超える

「つなげる30人」の特徴は、少人数での密な関係性と協力を基盤にした運営方法です。この手法を地方創生事業に取り入れることで、どの地域でも進められる運営方法を標準化し、地域ごとの違いを超えて成果を上げやすくします。これにより、地域全体に成功を広げていける可能性が高まります。

2️⃣ 地元プレイヤーの発掘と育成

「つなげる30人」は外部の財源や支援に依存せず、地域住民や関係者が主体となって運営しています。この方法を地方創生に応用し、地域内でリーダーを育成することが重要です。地元のプレイヤーを発掘し、その人たちが地域創生を推進できるような体制を作ることで、中央や財源に依存しない、自立的な地域づくりを可能にします。

3️⃣ 都市間連携の促進

中心都市同士が協力し合い、成功事例や課題をシェアすることで、都市間のつながりを強化できます。これにより、地域ごとの独自性を活かしつつ、共通の目標に向かって協力して進んでいけます。

4️⃣ 地元人材の育成と交流

「つなげる30人」は、外部コンサルタント頼みではなく、地域内でリーダーを育成し、そのリーダーが地域を牽引する形を取ります。また、異なる地域間での人材交流を進めることで、新しいアイデアや視点を持ち込み、地域の活性化を加速させます。

5️⃣ クロスセクターコミュニティの創造

行政、企業、NPO、住民が集まり共に課題解決に取り組むことで、持続可能なソーシャルビジネスが生まれます。このアプローチを全国的に広げることで、地域創生を加速し、地方全体に貢献することができます。

福井県敦賀市での挑戦

私たちはまず、福井県敦賀市での挑戦を通じて、これらのアプローチのモデルを作りたいと考えています。

敦賀市は人口6.3万人の都市で、2024年春に北陸新幹線が延伸し、現在は終着駅となっています。2020年から1年の準備期間を経て「敦賀をひろげるプロジェクト」の一貫で「敦賀をつなげる30人」をスタートし、現在第3期を運営中です。

特に、「敦賀をつなげる30人」では、行政予算を単なる「都市部コンサルへの外注費用」として使うのではなく、「地元人材を発掘し育成するための投資」として活用しています。

これにより、地元の住民が主体となりプロジェクトを進め、持続可能な運営体制を確立することを目指しています。行政からの予算が終了した後でも、地域のリーダーが自ら運営できる体制が整うため、地域創生の持続可能性が高まります。

このように、地方創生における「つなげる30人」のアプローチは、単なる外部依存から脱却し、地域内での自立的な運営と人材育成を中心に据えたものです。この方法を通じて、地域の未来を担う人材が増え、持続的に発展する地域を築いていけると信じています。

これまでは政令指定都市や中核都市で実施されてきた「つなげる30人」とは異なり、敦賀が示すモデルは、全国1,741の基礎自治体のうち、1,453自治体が人口10万人未満という現実を踏まえ、より多くの小規模自治体に適用・展開できる可能性を持っているのです。

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