マインドをへし折られて気がついたこと
小学校の頃は、わがままで横暴な性格だった。
思い通りにならないとがあれば、ケンカをすることも多々あった。
その中で、今でもよく覚えているエピソードがある。
今から書く話は、正直、本当に最低だ。
* * *
僕が小学生の頃は、ビックリマンチョコが大流行していた。
同世代の人にはわかってもらえるだろう。
おまけとしてシールが封入されていて、レアなシールを求めて、みんなこぞってビックリマンチョコを買っていた。
同級生の友達の中のひとりに、お寺の息子がいた。
その友達は、とんでもないことをやっていた。
レアなシール欲しさに、自分のお寺のお賽銭を盗んでは、ビックリマンチョコを箱買いしていたのだ。
それを知った僕は、その友達をボッコボコにした。
「お前、ふざけたことすんなよ!」と言って。
ここで終われば、正義感の強い少年の話。
最低なのはここからである。
当時の僕は、ボッコボコにした友達からビックリマンシールをうばい、その中からレアなキラキラシールだけをとり上げていた。
「そんなことすんなよ!」と正義を振りかざしながら、それ以上に最低で最悪なことしていたのだ。
* * *
小さい頃は、とにかくプライドが高かった。
何でも力で制圧しようとする勢いだったと思う。
人に陰口言われていると聞けばすぐに、「お前、文句あるんなら来いよ!」と言ってぶん殴りに行こうとする。
そのくらい喧嘩っ早かった。
当時、僕の住んでいた地域では、力が強い奴が目立つ雰囲気があった。
決してケンカがすごく強いわけではなかったが、自分のプライドを守るために強くいたかったんだと思う。
でも、そんな理不尽なことがずっとまかり通り続けるわけもない。
その日は、突然やってきた。
小学校高学年のある日、学校に行ったら誰も僕と話をしてくれないのだ。
そう。
いよいよ、みんなから総スカンを食らったのである。
悲しさをはじめて味わった。
しばらくは、無視されたり、靴を捨てられたりする日が続いた。
そんな日が長く続くと、その事実を知った先生が見かねて、僕が学校でいじめられていることを僕の両親に報告したらしい。
親から突然、「あんた、いじめにあってんの?」と聞かれた。
先生や親に心配されていることが、当時の僕には「恥ずかしさ」でしかなかった。
だから僕は、「ただの勘違いだ!」と突っぱねた。
プライドが高かった。
だから、誰にも相談できなかった。
* * *
今振り返ると、このいじめの経験を通してはじめて、「人の気持ちを考える」ということや、「気遣う」ということを覚えたのではないかと思う。
そして、悪事はいつかバレるし、自分の行いはいつか自分に返ってくるということも。