博識ではあるが分析の鋭さを全く感じさせず、なぜこの人が「現代の知性」扱いされるのか不思議なニーアル・ファーガソンが、ウクライナ問題について故サミュエル・ハンティントンが誤っていたかのように述べている。
ハンティントンは1996年の『文明の衝突』で
と踏まえた上で、第一の可能性として
と書いてはいたが、それよりも可能性が高いシナリオも二つ示していた。現状が二つ目のシナリオに近いことは明らかだろう。
ロシア(プーチン)が望んでいたのが三つ目のシナリオだったことも明らかだが、そうならず、軍事介入による分裂になりそうなのは、西側(Collective West)、米英がウクライナ西部の過激ナショナリストを煽動したことに原因がある。断層がずれ動いたのはハンティントンの想定外の「人工地震」のためなので、予測が間違っていたとする評価は不当である。
ウクライナは西側の代理戦争をやって(やらされて)いるわけであり、ロシアと西側の対立の根底には「文明の衝突」があるのだから、ハンティントンは決して間違っていなかったのである。