アメリカ政府のdebt limitと「税は財源ではない」

アメリカ連邦政府の債務上限(debt limit)が引き上げられなければ、6月1日にも国庫が空になって支払不能に陥る可能性が出てきた。

イエレン財務長官は22日、議会に書簡を送り、債務上限が引き上げられなければ6月1日にも政府の支払いが滞る「可能性が極めて高い」という認識を改めて示した。

👇がアメリカの国庫Treasury general account(TGA)の残高推移。

米財務省

「正しい貨幣観」論者が唱える「政府支出は中央銀行の貨幣発行によって賄われている(→税は財源ではない)」なら、支払不能になることは原理的にあり得ないので、このデフォルト危機は「正しい貨幣観」が正しくないことを証明している。

現在の世界標準の財政制度では

  • 政府は国庫金を支払に充てる

  • 国庫には徴税や借入によって入金される

  • 中央銀行は対政府与信によって国庫金を増やさない

  • 政府は国庫金がゼロにならないようにキャッシュマネジメントする

のだから、税金が支出の財源(fund)になっていることは自明である。

米内国歳入庁の学校教育用資料 "Understanding Taxes"

If the debt limit is not raised or suspended before the Treasury’s cash and extraordinary measures are exhausted, the government will have to delay making payments for some activities, default on its debt obligations, or both. If the Treasury’s cash and extraordinary measures are sufficient to finance the government until June 15, expected quarterly tax receipts and additional extraordinary measures will probably allow the government to continue financing operations through at least the end of July.

強調は引用者

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